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フォトンカウンティングCT臨床症例報告 – 放射線医学領域編

フォトンカウンティングCT臨床症例報告 – 放射線医学領域編

本PDFの放射線医学領域編では、NAEOTOM AlphaシステムのフォトンカウンティングCT(PCCT)が臨床成績にどのような変化をもたらしているのか、その動向をご紹介します。その効果は、腫瘍、呼吸器、神経、耳科、消化器、整形外科、小児科、血管といった幅広い臨床分野の症例報告から明らかになっています。

製品の関連性:NAEOTOM Alpha、NAEOTOM Alpha.Peak、NAEOTOM Alpha.Pro、NAEOTOM Alpha.Prime
対象グループ:基本ユーザー、すべてのユーザー
推奨されるビデオ再生用デバイス:ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ(十分な大きさのディスプレイが必要となります)

SIEMENS Healthineers NAEOTOM Alpha 臨床症例報告 – 放射線医学領域編 フォトンカウンティングCT – NAEOTOM Alpha®が臨床成績 にもたらす影響 siemens-healthineers.com/naeotom-alpha SIEMENS Healthineers 目次 HRA 腫瘍領域 呼吸器領域 04 上部尿路上皮癌が原因で生じた重度の尿管 27 卵円孔開存が未診断の肥満患者における急性肺塞栓 閉塞 症のフォローアップ 06 転移性腎細胞癌に伴う非定型的な膵神経内分泌腫瘍 30 COVID-19罹患後に診断された慢性血栓塞栓性 肺高血圧症 08 肥満患者における小肺結節 33 気管支バルブ治療が施行された重度の肺気腫 10 転移性肺腺癌:肺塞栓症合併の疑い 13 膵嚢胞性腫瘍 – 悪性か、それとも良性か? 神経領域 16 偶発的に発見された充実性腎腫瘤 19 左腎盂および尿管に発生した2つの小さな非侵襲性 36 長年の頭痛歴を有する患者における脳脊髄液-静脈瘻 乳頭状尿路上皮癌 22 低血糖の既往歴をもつ患者にみられた膵インスリ ノーマ 24 膵体部の高分化型浸潤性管腺癌 2 フォトンカウンティングCT症例報告 目次 耳科領域 小児科学 38 アブミ骨プロテーゼの転位 54 尿路結石を合併した小児の尿管瘤 40 先天性真珠腫 消化器領域 血管 56 高度の下垂を伴う巨大乳房症 42 後天性横隔膜ヘルニアに起因する小腸梗塞 整形外科領域 44 CTでのみ認められた舟状骨骨折 46 上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎 48 FOOSHによって生じた舟状骨骨折のスク リュー固定 50 非骨性距骨下関節癒合症 52 粉砕骨折を呈した脛骨の偽関節再手術 - 癒合 は得られたか? フォトンカウンティングCT症例報告 3 症例報告 · 腫瘍領域 上部尿路上皮癌が原因で生じた重度の尿管閉塞 Jan Baxa(MD、Ph.D.)、Jiří Ferda(MD、Ph.D.) Department of Imaging Methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University(チェコ 共和国プルゼニ) 経緯 1a 1b 1 アキシャル画像 数週間前から血尿が続いていた55歳 では、標準画像 の女性患者が検査目的で来院。超音 (図1a)にて左 波検査により、左腎の腎杯と腎盂に 腎盂の拡張が確 拡張が認められましたが、その原因 認され、VNC画 像(図2b、矢 については報告されませんでした。 印)では内容物 尿細胞診では尿路上皮癌(UC)は認 として高吸収域 められず、また他に特筆すべき症状 の血液が描出さ の訴えもみられなかったことから、 れています。 さらなる評価のため、造影CT検査が 実施されました。 診断 4時間後に実施されたディレイス 起こしていた腎盂尿管移行部の微小 キャンでは、造影剤の排泄は認めら な限局性浸潤病変は、標準的なCT画 スペクトル再構成を用いたCT画像 れませんでした(図4)。続いて、 像では描出されず、見落とされてい で左腎の腎杯および腎盂の拡張が認 尿管鏡検査が行われ、組織学的検査 た可能性があります。一方、45 keV められ、仮想非造影(VNC)画像で により尿路上皮癌(UC)の診断が確 で表示されたMonoenergetic Plus画 は高吸収域を呈していたことから、 定。患者にはその後、手術が予定さ 像、およびVNC画像とフュージョン 内容物として血液が疑われました れました。 したヨードマップでは、著明な造影 (図1)。腎盂中央部に6 x 5 mm、 効果を伴って鮮明にこれらの病変が 腎盂尿管移行部に4 x 5 mmの2つの 描出されています。 小病変が認められ、これらは45 keV コメント で表示されたMonoenergetic Plus画 上部尿路に発生する尿路上皮腫瘍は 本症例の撮影には、フォトンカウン 像およびVNCとフュージョンした 比較的まれで、尿路上皮腫瘍全体の ティング検出器を搭載した新型CTス ヨードマップ上で描出されました。 約1%にすぎません。組織型として キャナであるNAEOTOM Alpha®が使 どちらの病変も、標準的なCT画像 最も多いのは尿路上皮癌(UC)で 用されました。このスキャナでは、 (120 kV相当の70 keVで表示された あり、症例の90%を占めます。尿管 電子ノイズの影響を受けずに、極め Monoenergetic画像)では確認でき の閉塞をきたすことで、水腎症や感 て高い空間分解能でエネルギー分解 ませんでしたが、その理由としては 染、さらには自然破裂に至ることも CTデータが得られます[2]。フォトン 病変が小さいことと、高吸収の血液 あります。従来、UCが疑われる血尿 カウンティングCTの大きな利点の一 成分により覆われていたことが考え のCT評価には、非造影と造影の両方 つは、毎回のスキャンでスペクトル られます。 のスキャンが必要とされていました CTデータが得られ、撮影前にスキャ 腎盂尿管移行部に認められた小病変 [1]。しかし本症例では、1回の造影 ンの種類を検討したり、撮影後に患 は、限局性の腫瘍浸潤と考えられ、 スキャンのみでスペクトルCTデータ 者を再来院させたりする必要がない 重度の尿管閉塞の原因である可能性 を取得しており、このデータを利用 ことです。こうした特性は、臨床の が高いと推察されました(図2およ して、VNC、Monoenergetic Plus、 現場における診療の質を高め、医師 び3)。 ヨードマップなどのスペクトル再構 がより確信をもって診断を下せる環 成を行うことができます。VNC画像 境づくりに寄与します。 により腎盂内に存在する血液が確認 され、出血が腎盂の中でどの程度を 占めているかも把握できます。両病 変、とりわけ重度の尿管閉塞を引き 4 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 2a 3a 4 4 4時間後に行ったディレイ スキャンのVRT画像では、 腎盂尿管移行部の重度閉塞 のため、左腎からの造影剤 の排泄が確認されませんで した。 2b 3b 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 腹部/骨盤部 スキャンモード QuantumPlus スキャン長 209 mm スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 2.3秒 2c 3c 管電圧 120 kV Eff. mAs 105 mAs 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 8.25 mGy DLP 369 mGy*cm ローテーションタイム 0.5秒 ピッチ 0.8 スライスコリメーショ 144 x 0.4 mm 2 コロナル画像では、左腎盂中央部に小さな病変が認められま す。この病変は標準画像(図2a)では確認できませんが、45 ン keVで表示されたMonoenergetic Plus画像(図2b、矢印)、お スライス厚 0.4 mm よびVNCとフュージョンしたヨードマップ(図2c、矢印)では 著明な造影効果を伴って鮮明に描出されています。 再構成間隔 0.2 mm 再構成カーネル Br36、QIR 3 3 オブリーク画像では、左腎盂中央部に小さな病変(点線矢印)、 さらに腎盂尿管移行部に微小な病変(矢印)が認められます。い スペクトル再構成 VNC、Monoenergetic Plus、 ずれも標準画像(図3a)では確認できませんが、45 keVで表示 ヨードマップ されたMonoenergetic Plus画像(図3b)、およびVNCとフュー ジョンしたヨードマップ(図3c)では鮮明に描出されています。 造影剤 370 mg/mL 注入量 第1ボーラス(70 mL + 40 mL生 理食塩水) – 20秒の間隔 – 第2ボーラス(30 mL + 20 mL生 参考文献 理食塩水) [1] Abouelkheir RT, Elawdy MM, Taha DE, El-Hamid MA, Osman Y, El-Diasty T. The accuracy of computed tomography in the diagnosis フローレート 4 mL/秒 of upper urinary tract urothelial carcinoma in correlation with the final histopathology:A retrospective study in 275 patients at a スタートディレイ 第2ボーラスのトラッキングで下 Tertiary Urology Institute.Urol Ann 2021;13:356-61. 行大動脈遠位部が100 HUに達し た時点をトリガーとし、5秒後に [2] Thomas Flohr, Martin Petersilka, Andre Henning, Stefan 撮影を開始 Ulzheimer, Jiří Ferda, Bernhard Schmidt.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) 126–136. 注記:いわゆる「スプリットボーラス」法が用いられ、第1ボーラスで門脈相 を、2回目のボーラスで動脈相を撮像し、スキャンは1回のみで済みました。 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設 定において得られた結果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せ ず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規模、症例の構成、ITや自動化の 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があ 導入のレベルなど)があることから、他の医療機関でも同じ結果が得られると ります。今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 いう保証はありません。 フォトンカウンティングCT症例報告 5 症例報告 · 腫瘍領域 転移性腎細胞癌に伴う非定型的な膵神経内分 泌腫瘍 Bettina K. Budai1、Márton Benke2、Ákos Szücs2、Pál N. Kaposi1、Attila Szijártó2、Pál Maurovich-Horvat1、Ibolyka Dudás1 1 Department of Radiology, Medical Imaging Centre, Semmelweis University(ハンガリー・ブダペスト) 2 Department of Surgery, Transplantation and Gastroenterology, Semmelweis University(ハンガリー・ブダペ スト) 経緯 64歳の女性患者が、T2 N0 M0の明細 胞型腎細胞癌(ccRCC)の診断を受け 患者は生検を伴う内視鏡的超音波検 ています。これにより、全スペクト 査(EUS)に紹介され、組織学的解析 ル情報を保持したまま、画像の鮮鋭 て12年前に腎摘除術を受けました。 の結果、pNETと診断されて手術が計 度を向上させることができます。 1年後、単発のリンパ節転移が認めら 画されました。 画像の鮮鋭度やノイズの質感を損な れ、これを契機としてスニチニブに うことなく、薄いスライス画像のノ よる全身療法が2年間にわたり実施 され、完全奏効が得られました。し コメント イズを効率よく低減するために、 かし、6年後に副腎への転移が発生 Quantum Iterative Reconstruction 膵頭部の腫瘤には、多様な病態が存 (QIR)という高度な反復再構成法が し、それに対する外科的治療を経て 在します。通常、pNETやccRCCの転 採用されています。スペクトルデー 全身療法が再開されました。最近行 移病変は境界が明瞭で血流に富んで タの活用と画像ノイズの低減によ われたフォローアップCTで、膵頭部 おり、(早期の)動脈相で最も明瞭 り、日常的に仮想単色画像を低keV に新たな病変が認められました。こ に描出されます。また、胆道や膵管 で表示して軟部組織のコントラスト の病変による門脈の部分的閉塞を契 の明らかな拡張を伴うことはありま を高めることができます。また、腫 機に、腫瘍浸潤または血栓形成の可 せん。しかし、まれではあるもの 瘍と膵実質や門脈との境界をより明 能性が示唆されました。さらなる評 の、両腫瘍には非定型的な形態も存 価と手術計画のために、3相(動脈 瞭に描出するために、ヨードマップ 相、膵実質相、静脈相)の造影CTス 在しており、低吸収性腫瘤として膵 の再構成も行えます。これらの薄い 腺癌に類似した像を呈することがあ スライス画像は、cVRT(cinematic キャンが予定され、当院に新たに導 ります[1、2]。 Volume Rendering Technique)を用 入されたフォトンカウンティングCT 鑑別診断を行う際には、腫瘍の非定 (PCCT)で施行されました。 いて解剖学的構造を三次元で写実的 型的な形態に加え、患者の病歴も考 に可視化することにも利用され、放 慮しなければなりません。腫瘍が切 射線科医と外科医とのスムーズな連 診断 除可能かどうかは、手術前に慎重に 携に役立ちます。この極めてまれな 評価する必要があり、特に隣接する 症例(転移性ccRCCを有する患者に 非造影スキャンのCT画像では、腫大 血管への浸潤の有無が重要な判断材 二次原発腫瘍として生じた非定型的 した膵頭部が等吸収で描出されまし 料となります。正確な診断を行うた pNET)に示されるように、PCCTの たが、膵実質相の65 keVで表示され めには、高い鮮鋭度とノイズの少な た仮想単色画像では、膵頭部内に低 高鮮鋭度・高コントラスト・低ノイ さが不可欠ですが、それを従来のCT ズという特性は解剖学的視認性を高 吸収で境界が明瞭な4.5 x 4.0 x 6.7 cm で実現するのは技術的に難しいのが め、鑑別診断や腫瘍の切除可能性評 の腫瘤が描出されました。この腫瘤 現状です。 価において放射線科医の判断に対す は、動脈相・静脈相のいずれにおい る信頼性を向上させます。 ても等吸収であり、造影効果は時間 本症例は、フォトンカウンティング が経過することで現れました(遅延 性造影効果)。腫瘤は門脈内にまで 検出器(QuantaMax®)を搭載した 新型デュアルソースCTスキャナ、 広がり、浸潤の所見はないものの、 NAEOTOM Alpha®で撮影されまし 部分的な偏位と閉塞を引き起こして た。この装置では、電子ノイズの影 いました。胆道や膵管に閉塞は認め 響を受けずに、スペクトル情報を本 られませんでした。CT所見では、 質的に含むエネルギー分解CTデータ 手術による切除が可能な腫瘍が示唆 が高い空間分解能で得られます[3]。 され、非定型的な膵神経内分泌腫瘍 (pNET)、非定型的な明細胞型腎細 腹部の画像診断では、144 × 0.4 mm の薄いスライスで撮影を行い、Br44 胞癌(ccRCC)の転移、または腺癌の というシャープなカーネルで画像を いずれかが疑われました。その後、 再構成する方法が日常的に用いられ 6 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 2a 1a 1b 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 腹部 スキャンモード QuantumPlus(非造影/動脈 相/膵実質相/静脈相) スキャン長 216 / 216 / 116 / 426 mm 1 PCCTで撮影されたアキシャル画像(図1a)と4か月前に従来型CTで撮影され スキャン方向 頭側-足側 たアキシャル画像(図1b)の比較。前者では病変(矢印)と門脈との境界が より明瞭に確認できます。 スキャン時間 2.2 / 2.2 / 1.1 / 4.5秒 管電圧 120 kV Eff. mAs 143 / 163 / 123 / 124 mAs 2a 2b 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 11.2 / 12.8 / 9.7 / 9.8 mGy DLP 284/323/145/454 mGy*cm ローテーションタ 0.5秒 イム ピッチ 0.8 2 MPRのコロナル画像(図2a)およびヨードマップ(図2b)。膵頭部の低吸 スライスコリメー 144 × 0.4 mm 収病変が門脈内へ伸展している様子(矢印)が示されていますが、浸潤の所 ション 見は認められません。 スライス厚 0.4、1.0、2.0、3.0 mm 再構成間隔 0.4、0.5、1.5、3.0 mm 3a 再構成カーネル Br44、Qr40 スペクトル再構成 Monoenergetic Plus、 ヨードマップ 造影剤 370 mg/mL 注入量 78 mL + 40 mL生理食塩水 フローレート 3 mL/秒 スタートディレイ 動脈相:23秒 膵実質相:45秒 3b 静脈相:75秒 参考文献 [1] Shankar PR, et al.Hypervascular pancreatic “lesions”:a pattern-based approach to differentiation.Abdominal radiology (New York).2018; 43(4):1013-1028. [2] Coakley FV, et al.Pancreatic imaging mimics:part 1, imaging mimics of pancreatic adenocarcinoma.199(2):301-308. 3 cVRT画像では、低吸収の膵頭部病変が門脈内へと伸展している様子(浸潤の 所見は認められず)と周囲の構造が立体的に示されています。 [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review. Physica Medica 79 (2020)126–136. 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設定において得ら れた結果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せず、数多くの変動要素(例え 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されてい ば、医療機関の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど)があることから、他の ない場合があります。今後販売されるかどうかの保証はいたしか 医療機関でも同じ結果が得られるという保証はありません。 ねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 7 症例報告 · 腫瘍領域 肥満患者における小肺結節 Anders Persson教授(MD、Ph.D.)1、Lilian Henriksson(M.Sc.)2、3 1 Center for Medical Image Science and Visualization (CMIV), Medical Faculty/Radiology, Linköping University (スウェーデン・リンシェーピング) 2 Center for Medical Image Science and Visualization (CMIV), Linköping University(スウェーデン・リンシェーピ ング) 3 Department of Radiology, Department of Health, Medicine and Caring Sciences, Linköping University(スウェ ーデン・リンシェーピング) 経緯 1a 1b 体重 300kg の重度肥満を有する 60 歳 の女性患者が、左脚に広がる丹毒に加 え、連鎖球菌による敗血症、急性腎不 全を呈して入院。既往歴として、 Levaxin による補充療法を受けている 甲状腺機能低下症と乾癬がありまし た。治療後、血清クレアチニン値が 34 μ mol/L まで低下し、腎機能は正常 化。体調も概ね改善していました。胸 部 X 線検査が施行され、右肺門部に直 1c 1d 径 23 mm の境界明瞭な円形病変が認 められましたが、その性状は不明。精 密検査のため、胸部・腹部の造影 CT が実施されました。 診断 CT 画像にて、造影効果はみられない ものの、右中葉に直径 17 mm の境界 明瞭な小さな円形病変が確認されまし た。加えて、右肺下葉に区域性無気肺 1 アキシャル画像(0.5 mm)にて、造影効果はみられないものの、右中葉(矢印)に境界 がみられました。 明瞭な小さな円形病変が確認できます。右下葉には区域性無気肺が認められます(点線 気管支閉塞の所見は認められませんで 矢印)。 した。単発の胆嚢結石が副次的に認め られましたが、それ以外に異常所見は 像ノイズを半減させるには線量を 4 本症例は、フォトンカウンティング検 みられませんでした。肺病変は、その 倍にしなければなりません。多量の電 出器(QuantaMax®)を搭載した新型 外観から良性と判断されました。 子ノイズが存在すると、状況はさらに デュアルソース CT スキャナー、 悪化します。つまり、画像ノイズを低 NAEOTOM Alpha® で撮影されまし 減するには照射線量を増やす必要が た。この装置では、電子ノイズの影響 コメント あり、その分 X 線管からの出力も強 を受けずに、エネルギー分解 CT デー 化しなければなりません。X 線フラッ タが得られます [2]。電子ノイズは、 肥満患者および病的肥満患者は増加 クスと X 線管出力を高める従来の手 ノイズレベルよりも十分高い X 線フォ 傾向にあります [1]。患者の体径が大 法としては、ピッチの低下や回転時間 トンのみをカウントするように事前 きくなるにつれて、光子の減衰や散乱 の延長が用いられてきました。ただ が大きくなり、画像ノイズが指数関数 にデジタル閾値を設定することで除 し、これらの手法ではスキャン速度が 去され、これによって画像ノイズが低 的に増加するため、それに伴って、診 低下し、息止め時間が延びることで、 減し、結果として被ばく線量の低減に 断上重要な病変における解剖学的構 モーションアーチファクトの発生リ つながる可能性があります。 造の視認性は低下します。画像の解釈 スクが高まります。したがって、近年 電子ノイズは、低線量撮影や肥満患者 が難しくなって、再度の放射線検査や 従来型検出器 CT が大きく進歩してき に対する CT スキャンのように、検出 追加の臨床検査が必要になり、その結 たにもかかわらず、肥満患者は依然と 器に到達する X 線フラックスが少ない 果、累積被ばく線量の増加や医療費の して撮影が難しい対象群とされてい 状況で顕在化しやすいため、その電子 上昇を招く可能性があります。X 線の ます。 ノイズが存在しないことは、画質の向 統計的ノイズに限定して考えると、画 上において特に大きな効果が期待され 8 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 検査プロトコル 2a 2c スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 体幹部 スキャンモード QuantumPlus スキャン長 719 mm スキャン方向 頭側-足側 2d スキャン時間 10秒 管電圧 120 kV Eff. mAs 262 mAs 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 20.6 mGy DLP 1,540 mGy*cm ローテーション 0.5秒 2b タイム ピッチ 0.6 スライスコリメ 144 x 0.4 mm ーション スライス厚 0.8 mm 再構成間隔 0.5 mm 2 コロナルMPR画像(図2aおよび2b、0.5 mm)にて、造影効果はみられないものの、右中 再構成カーネル Qr40 葉(矢印)に境界明瞭な小さな円形病変が確認できます。アキシャル画像(図2c、点線矢 印)には、周囲に高吸収域を伴う1 cm大の円形胆石が認められます。 造影剤 350 mg/mL 0.5 mmスライスで再構成されたcVRT画像(図2d)では、肺病変(矢印)および胆石(点 線矢印)の両方が立体的に描出されています。 注入量 113 mL + 30 mL 生理食塩水 フローレート 3.8 mL/秒 スタートディレイ 70秒 ます。また、ヨード造影 CT において 120 kV での X 線管 1 本あたりの最 参考文献 低エネルギーの X 線フォトンが軽視さ 大出力(1,000 mA)の 3 分の 1 未 [1] D. M. Fursevich, et al.Bariatric CT れず適切に反映されるため、コントラ 満でした。最適な画質が得られたこ Imaging:Challenges and Solutions. スト対ノイズ比(CNR)が向上してお とで、医師は確信を持って診断を行 RadioGraphics 2016; 36:0000–0000. り、これも重要な技術的進歩の一つで うことができました。 す。画像再構成の過程で、モデルベー [2] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) スの反復再構成法である Quantum 126–136. Iterative Reconstruction(QIR)を用い ることで画像ノイズはさらに低減され ます。これらすべての改良は、画像 ノイズと被ばく線量の低減に寄与し 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 ます。例えば、0.5 mm という非常 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は に薄いスライスであっても、詳細な 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 画像情報を伴う、cVRT(cinematic の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな Volume Rendering Technique)の三 ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 が得られるという保証はありません。 次元表示に使用できます。本症例に 示されているとおり、体重が 300 kg 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が ある患者であっても、CT スキャンに 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 要したのは 314 mA のみで、これは フォトンカウンティングCT症例報告 9 症例報告 · 腫瘍領域 転移性肺腺癌:肺塞栓症合併の疑い Martine Rémy-Jardin教授(MD1、Ph.D.)、Jacques Rémy教授(MD2) 1 Department of Thoracic Imaging, University Centre of Lille(フランス) 2 Department of Radiology, Hospital Center of Valenciennes(フランス) 経緯 51 歳の男性患者が、肺腺癌に加え、 コメント 癌性リンパ管症、骨転移、神経転移 を有しており、化学療法と免疫療法 非小細胞肺癌(NSCLC)は肺癌の中 1a を受けていました。治療反応のフォ で最も多くみられ、全体の 84% を [1] ROI Circle 占めています。NSCLC のさまざまな Mean/SD: 193 HU/15 HU ローアップ評価を行うため、造影胸 腹部 CT 検査が実施されました。 組織型の中で、腺癌が最も多く、全 体の約 40% を占めています [1]。肺 癌の病期診断と治療反応のフォロー 診断 アップ評価は、造影 CT を用いて行 60 keV で表示された仮想単色 CT 画 われることが一般的です。最適なス 像にて、いくつかの結節や浸潤影、 キャンプロトコルについては多くの さらに癌性リンパ管症にも部分的な 研究が行われており、近年の文献で 1b 退縮が認められました。 は、静脈相での撮影がリンパ節、胸 肺門部および縦隔リンパ節腫脹は縮 膜、実質の評価に有用であることが [1] ROI Circle Mean/SD: 248 HU/16 HU 小しており、胸骨と左第 7 肋骨にみ 示唆されています [1、2]。この相で られる骨転移にも変化が認められま は、腫瘍性構造、例えば壊死部分や、 した。奇静脈と半奇静脈は拡張して 胸膜・心膜に及ぶ病変が、より明瞭 おり、右肋骨横隔膜角のわずかな鈍 に造影され、描出されます。上大静 化は、新たに少量の胸水が出現して 脈(SVC)や腕頭静脈では再循環に いることを示唆していました。さら よって造影剤が薄まり、ストリーク に、両側副腎の肥厚と、肝臓にある アーチファクトは生じません。これ 1c 2 つの小さな低吸収性病変が認めら によって視認性が向上し、リンパ節 れ、いずれも転移が疑われました。 の性状をより正確に評価できます。 [1] ROI Circle 肺動脈(PA)の評価のため、画像 ただし、静脈相 CT には欠点もあり、 Mean/SD: 481 HU/23 HU O の表示エネルギーを 60 keV から 40 偶発性 PE の検出率が下がる恐れがあ keV に切り替えたところ、主肺動脈 ります。本患者背景において偶発性 (MPA)の CT 値は 248 HU から 481 PEは比較的よくみられる所見であり、 HU へと増加。血管内および血管周囲 血栓塞栓性疾患のリスクが高く、そ の異常所見の視認に必要な造影効果 の検出により適切な治療を行うこと が得られました。偶発性の肺塞栓症 が可能となります [2]。デュアルエナ (PE)の徴候はみられず、肺灌流血量 ジー CT イメージングの登場により、 1 70 keV(図1a)、60 keV(図1b)、40 (Lung PBV*)画像にも灌流障害は認 仮想単色画像をより低い keV で表示 keV(図1c)で表示されたアキシャル画 することでヨードの吸収が高まり、 像。MPAのX線吸収の差異が示されてい められませんでした。 門脈相 CT スキャンにおいて偶発的に ます(193 HU、248 HU、481 HU)。SVC これらの CT 所見から、開始された 発見される PE の描出能が向上するこ 内の造影剤は均一であり、ストリークア ーチファクトは生じていません。 治療に対する良好な反応が示唆され、 とが、複数の研究で示されています 中心静脈カテーテル(矢印)も描出され 提案されていた免疫化学療法は継続 [3]。 ています。 されることになりました。 10 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 2a 2b 2 70 keVで表示されたコロナル画像(図 2a)。後基底区域のPA(矢印)におい て低吸収で、やや不均一である様子がみ られます。60 keVで表示された画像(図 2b)では吸収が増加し、40 keVで表示 された画像(図2c)では明確に回復して いることから、PEの存在は否定されまし た。Lung PBV画像(図2d)では、肺内 におけるヨードの分布は均一であり、灌 流障害は認められません。 右肋骨横隔膜角のわずかな鈍化は、少量 の胸水を示唆しています。奇静脈と半奇 静脈は拡張しています。 2c 2d 3a 3b 本症例は、フォトンカウンティング ベルとして60 keVで表示されること 検出器(QuantaMax®)を搭載した も日常的となっています。必要に応 新型デュアルソースCTスキャ じて、さらに低いエネルギーレベ ナ、NAEOTOM Alpha®で撮影されま ル、例えば40 keVで画像を表示する した。この装置では、電子ノイズの ことが可能であり、これによりPAに 影響を受けずに、スペクトル情報を おけるヨードの造影効果がさらに高 本質的に含むエネルギー分解CTデー まり、PEの診断精度が向上します。 タが得られ、高い組織コントラスト スペクトルデータは、ヨードマップ 3c を実現できます[4]。すべてのルーチ (Lung PBV)の作成にも使用でき、 ンスキャンでスペクトルデータが取 これにより肺血管系の評価と実質内 得できるため、仮想単色画像のkeVを のヨード分布の解析を同時に行うこ 切り替えて表示するのも簡単です。 とが可能になります。 この機能はコントラスト吸収が不十 電子ノイズが排除され、低エネルギ 分な場合に特に有用で、仮想単色画 ーのX線フォトンが軽視されずに反映 像をより低いkeV設定(低エネルギ されることにより、ヨードのコント ー)で表示することにより造影効果 ラスト-ノイズ比(CNR)が最適化さ を改善できます。例えば、従来は70 れ、低エネルギー表示における画質 keV(標準的な120 kV撮影に相当) が向上します。これにより、日常診 で表示されていた画像が、現在で 断での使用に適した画像が得られる は、軟部組織構造と血管構造の造影 と同時に、被ばく線量や造影剤使用 3d 効果のバランスを考慮し、静脈相で 量の低減にもつながる可能性があり 撮影された画像の標準エネルギーレ ます。 3 アキシャル画像(図3aおよび3b)とコ ロナルMPR画像(図3cおよび3d)にお いて、右上葉と下葉に肺結節(矢印)が 認められます。右下葉には、小さな浸潤 影(点線矢印)も確認されます。中枢と 末梢の両方に癌性リンパ管症が認められ ます。 フォトンカウンティングCT症例報告 11 症例報告 · 腫瘍領域 4 コロナル画像とアキシャル画像にて、胸 4a 4b 骨に骨転移が確認されます(図4aおよび 4b、矢印)。肋骨展開画像(図4c)で は、左第7肋骨に転移性病変が認められ ます(点線矢印)。 76歳の女性患者は、6年前に腹部CTを受けた際、偶然、膵臓に嚢胞性病変が 本症例が示すように、フォトンカウ ンティングCTで得られるスペクト ルデータの有用性は、日常診療で重 要な役割を担っています。画像表示 4c のエネルギーレベルを簡単に切り替 えられるため、医師は静脈相の単一 撮影のみで、治療反応を総合的に評 価し、偶発性PEの有無も確認でき L8 ます。 L9 L10 R11 L11 R12 L12 5a 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha 参考文献 スキャン領域 胸部/腹部 [1] Larici AR, Franchi P, del Ciello A et スキャンモード QuantumPlus al.Role of delayed phase contrast- スキャン長 enhanced CT in the intra-thoracic 487 mm staging of non-small-cell lung cancer スキャン方向 頭側-足側 (NSCLC):What does it add ?Eur J Radiol 2021; 144:109983. スキャン時間 1.4秒 5b [2] Croft M, Lim WY, Lavender N, Gormly K. 管電圧 120 kV Optimising CT-chest protocols and the Eff. mAs 68 mAs added value of venous-phase contrast timing:observational case-control. 線量調整 CARE Dose4D J Med Imaging Rad Oncol 2022; CTDIvol 5.3 mGy 66:768-775. DLP 282 mGy*cm [3] Weiss J et al.Noise-optimized monoenergetic post-processing ローテーション 0.25秒 improves visualization of incidental タイム pulmonary embolism in cancer patients 5c ピッチ undergoing single-pass dual-energy 1.5 computed tomography.Radiol med スライスコリメ 144 x 0.4 mm (2017) 122:280–287. ーション [4] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT スライス厚 1.0 mm review.Physica Medica 79 (2020) 再構成間隔 1.0 mm 126–136. 再構成カーネル Br36/BI60 スペクトル再構 Monoenergetic 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 成 Plus、Lung PBV 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 5 アキシャル画像にて、両側副腎の肥厚 の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな (図5a、矢印)および肝臓内の2つの小 造影剤 400 mg/mL ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 さな低吸収性病変(図5bおよび5c、点 線矢印)が認められ、いずれも転移が 注入量 60 mL + 40 mL生理 が得られるという保証はありません。 疑われます。 食塩水 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が フローレート 3 mL/秒 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 スタートディレイ70秒 * 510(k)申請中 12 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 膵嚢胞性腫瘍 – 悪性か、それとも良性か? Bettina K. Budai1、Márton Benke2、Ákos Szücs2、Pál N. Kaposi1、Attila Szijártó2、Pál Maurovich-Horvat1 、Ibolyka Dudás 1 1 Department of Radiology, Medical Imaging Centre, Semmelweis University(ハンガリー・ブダペスト) 2 Department of Surgery, Transplantation and Gastroenterology, Semmelweis University(ハンガリー・ブダペ スト) 経緯 診断 目的となります [1 ~ 2]。高精度な 76 歳の女性患者は、6 年前に腹部 CT 65 keV で表示された仮想単色画像で 画像診断の普及と画質の改善により、 を受けた際、偶発的に膵臓の嚢胞性 は、膵頭部と膵体部の間に、19 × 21 PCN が発見される機会は増加してい 病変が見つかりました。その病変は × 17 mm の分葉状で低吸収域を呈す ます [3 ~ 5]。しかし症例によっては、 最近わずかに増大を示していたため、 る病変が確認されました。 PCN の鑑別診断が難しいケースも少 患者は内視鏡的超音波(EUS)検査 最大径 4.5 mm 未満の微小嚢胞性内 なくありません。 を受けるために当院に紹介されまし 部構造が複数描出され、門脈相では 本症例は、フォトンカウンティング た。 内部中隔の造影効果も確認されまし 検出器(QuantaMax®)を搭載した EUS により、膵頭部と膵体部の間に た。膵管に拡張はなく、病変による 新型デュアルソース CT スキャナ、 位置する、多分葉状・中隔構造を有 浸潤の徴候も認められませんでし NAEOTOM Alpha® で撮影されまし する最大径 28 mm の嚢胞性病変が描 た。これらの CT 所見からは、懸念す た。この装置では、電子ノイズの影 出されました。膵管に拡張はみられ べき性状を伴わない、定型的な SCN 響を受けずに、スペクトル情報を本 ず、病変との明らかな連続性も確認 が示唆されました。その後、複数診 質的に含むエネルギー分解 CT デー されませんでした。嚢胞液を分析し 療科から成る医療チームが患者と協 タが得られ、高い空間分解能と組織 たところ、CEA が 1847.0 ng/mL と 議し、外科的処置を直ちに行うこと コントラストを実現できます [6]。す 高値を示し、グルコース濃度は 0.9 なく、慎重に経過を観察していくこ べてのルーチンスキャンでスペクト mmol/L と低く、アミラーゼは 1240 とで合意しました。 ルデータが取得できるため、仮想単 U/L と高値でした。これらの結果は、 色画像の keV を簡単に切り替えて最 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に特 コメント 適な視認性が得られます。従来は 70 徴的なものであり、亜型や発生部位 keV(標準的な 120 kV 撮影に相当) によっては、将来的に浸潤性膵癌へ 膵嚢胞性腫瘍(PCN)は、生物学的 で表示されていた門脈相および静脈 と進行する前段階の病変である可能 挙動が著しく異なる膵嚢胞性の腫瘍 相の画像は、現在では 65 keV で表 性があります。 を包括的に表す用語です。例えば主 示されることも日常的となっており、 ただし、良性病変とされる漿液性嚢胞 膵管型 IPMN は、悪性化リスクの高 造影された軟部組織構造を最適に視 性腫瘍(SCN)でも、まれに CEA や い前駆病変とされているのに対し、 覚化するための標準エネルギーレベ アミラーゼが高値を示すことがあり SCN は、浸潤癌へ進展するリスク ルとして設定されています。これは、 ます。細胞診では明確な診断には至ら が極めて低い良性病変に分類されま 70 keV と比較してヨードの造影効果 ず、偽嚢胞の可能性が考えられたもの す。PCN と診断された患者の管理に が増強されるためです。電子ノイズ の、悪性を裏付ける所見は指摘でき は、CT や MRI、EUS などによる高精 が排除され、低エネルギーの X 線フォ ませんでした。さらなる評価のため 度な画像診断が中心的な役割を果た トンが軽視されずに反映されること 造影 CT が予定され、当院に新たに導 します。正確な診断を行うことで不 により、ヨードのコントラスト - ノ 入されたフォトンカウンティング CT 要な手術を避けると同時に、前駆病 イズ比(CNR)が向上し、日常診断 (PCCT)で検査が行われました。 変が既に浸潤癌へ進行している場合 における低エネルギー表示での画質 に見逃さないようにすることがその が一層向上します。画像は通常 フォトンカウンティングCT症例報告 13 症例報告 · 腫瘍領域 1a 1b R R 1 PCCTで撮影されたコロナルMPR画像(図1a、3 mm)。膵頭部と膵体部の接合部に分葉状の低吸収性病変が描出されています。複数の微 小嚢胞性内部構造(矢印)が明確に描出されています。6か月前に従来型CTで撮影された同様のコロナル画像(図1b、3 mm)では、これ らの微小嚢胞は描出されていません。 2a 2b R 2 2枚の拡大画像では、微小嚢胞(図2a、矢印)が描出され、病変と膵管がはっきりと分離していることが確認できます。定型的なSCNの特 徴です。 3a 3b RPH RAF 3 シネマティックVRT画像では、病変(図3a、矢印)とその周囲の構造が描出されています。拡大表示(図3b)では、病変内の微小嚢胞、お よび病変と膵管との明確な境界が立体的に示されています。 14 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 0.4 mmのスライス厚で撮影さ れ、Br44という高精細カーネルで再 検査プロトコル 構成されることで、従来の標準的な 腹部CTよりも高い空間分解能が得ら スキャナ NAEOTOM Alpha れます。本症例が示すように、CNR スキャン領域 腹部 と空間分解能の向上により、微小嚢 胞性内部構造の詳細な描出や、門脈 スキャンモード QuantumPlus 相での内部中隔の造影効果、腫瘍と (非造影/動脈相/門脈相/静脈 膵管との明瞭な分離が可能となり、 相) 放射線科医はPCNの鑑別診断をより スキャン長 414 / 209 / 122 / 415 mm 確信をもって行えるようになりま す。不要な外科的処置や、患者にと スキャン方向 頭側-足側 っての合併症のリスクを未然に防ぐ スキャン時間 4.4 / 2.2 / 1.2 / 4.4秒 ことにつながります。 管電圧 120 kV Eff. mAs 145 / 157 / 115 / 114 mAs 参考文献 線量調整 CARE Dose4D [1] The European Study Group on Cystic CTDIvol 11.5 / 12.3 / 9 / 8.9 mGy Tumours of the Pancreas.European evidence-based guidelines on pancreatic DLP 516 / 199 / 141 / 404 mGy*cm cystic neoplasms.Gut.2018; 67(5):789-804. ローテーションタイム 0.5秒 [2] Tanaka M, Fernández-Del Castillo C, ピッチ 0.8 Kamisawa T, Jang JY, Levy P, Ohtsuka T, et al.Revisions of international consensus スライスコリメーション 144 × 0.4 mm Fukuoka guidelines for the management of IPMN of the pancreas. スライス厚 0.4、1.0、2.0、3.0 mm Pancreatology:official journal of the International Association of 再構成間隔 0.4、0.5、1.5、3.0 mm Pancreatology (IAP) [et al].2017; 17(5):738-753. 再構成カーネル Br44、Qr40 [3] Gaujoux S, Brennan MF, Gonen M, スペクトル再構成 Monoenergetic Plus D'Angelica MI, DeMatteo R, Fong Y, et al.Cystic lesions of the pancreas:changes in the presentation and management of 造影剤 1,424 patients at a single institution over 350 mg/mL a 15-year time period.Journal of the 注入量 77 mL + 40 mL生理食塩水 American College of Surgeons.2011; 212(4):590-600; discussion 600-593. フローレート 3.1 mL/秒 + 3.2 mL/秒 [4] Laffan TA, Horton KM, Klein AP, スタートディレイ 動脈相:23秒 Berlanstein B, Siegelman SS, Kawamoto 門脈相:45秒 S, et al.Prevalence of unsuspected 静脈相:75秒 pancreatic cysts on MDCT.AJR American journal of roentgenology. 2008; 191(3):802-807. [5] Moris M, Bridges MD, Pooley RA, Raimondo M, Woodward TA, Stauffer JA, et al.Association Between Advances in High-Resolution Cross-Section Imaging Technologies and Increase in Prevalence of Pancreatic Cysts From 2005 to 2014. Clinical gastroenterology and hepatology:the official clinical practice journal of the American 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設 Gastroenterological Association.2016; 定において得られた結果に基づいたものです。 14(4):585-593.e583. 「典型的」な医療機関は存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規 模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど)があることから、他の医療機 [6] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT 関でも同じ結果が得られるという保証はありません。 review.Physica Medica 79 (2020) 126–136. 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があ ります。今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 15 症例報告 · 腫瘍領域 偶発的に発見された充実性腎腫瘤 Jan Baxa(MD、Ph.D.) Department of Imaging Methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University(チェコ 共和国プルゼニ) 経緯 当面見送られることになりました。 ることにより、ヨード CNR が改善さ 89 歳の男性患者が、特異性のない 前立腺肥大に対する薬物治療と、腎 れ、その結果、標準的な CT 画像では 腹痛と血尿を訴え、検査目的で来 腫瘤に対する慎重な経過観察が推奨 視認できず見落とされがちだった腫 院。身体診察と臨床検査により、血 されました。 瘤内の小さな造影病変が、40 keV の 尿の原因は前立腺肥大によるものと Monoenergetic Plus 画像や VNC 画像 考えられました。血尿のさらなる コメント とフュージョンしたヨードマップに 評価と他の潜在的な原因を除外する おいて明瞭に描出されます。 ために、デュアルソース型フォトン 腎臓において偶発的に病変が発見さ カウンティング CT(PCCT)である れる例は多く、その大半は腎腫瘤で VNC 画像は造影スキャンから自動 NAEOTOM Alpha® による腹部造影 CT す [1]。充実性腫瘤とは、X 線吸収値 的に生成されるため、非造影スキャ スキャンが施行されました。 が 20 HU 未満の液体成分をほとんど、 ンを行ったり、患者を再来院させた あるいはまったく含まず、通常は造 りする必要がありません。さらに、 影剤で明瞭に描出される組織を主と PCCT の高い空間分解能により、わ 診断 する腫瘤と定義されます [2]。小さな ずか数ミリメートルの直径しかない 標準 CT 画像(120 kV で撮影された 腎腫瘤に高吸収域が認められた場合、 造影病変や、それに血流を供給する 従来型 CT 画像に相当する、70 keV それが出血やタンパク質による高吸 腎動脈の微小分枝の性状評価が可能 表示の Monoenergetic Plus 画像)に 収成分のみを含む嚢胞なのか、造影 となります。日常的なワークフロー おいて、右腎に偶発的な腎腫瘤が確 剤で描出される腫瘍なのかを鑑別す で、標準 CT 画像や、keV 値を変えて 認されました。病変は一様に造影さ ることが極めて重要です。 表示できる Monoenergetic Plus 画像、 れ(75 HU)、明瞭な境界を有する一 日常診療において従来型の CT スキャ VNC 画像、ヨード画像、ヨード /VNC 方、壁構造はほとんど認められず、 ナを使用する場合、造影効果の有無 フュージョン画像などのさまざまな 大きさは 2.0 x 1.6 cm2 でした。動脈 を確認するために、追加の非造影 CT 画像タイプを、Interactive Spectral 相、静脈相、遅延相における造影パ または MRI を施行する必要がありま Imaging(ISI)技術によりインタラ ターンに、顕著な差異は認められま す。本症例のように、造影検査で偶 クティブに切り替えながら表示でき せんでした。仮想非造影(VNC)画 発的に腎腫瘤が見つかった場合には、 るため、画像読影が格段にしやすく 像では、腫瘤はやや高吸収値(49 非造影スキャンを実施するために患 なり、日常診断の効率が向上します。 HU)を示しており、石灰化は認めら 者の再検査を予約しなければなりま 本症例では、余命の限界や併存疾患 れませんでした。40 keV で表示され せん。正しい診断とその後の治療方 た Monoenergetic Plus 画像では、標 針の決定には、小さな腎腫瘤の性状 の可能性を考慮し、以後の治療方針 準 CT 画像では視認できない、腫瘤の を的確に評価することが求められま として保守的なアプローチが選択さ 背側に位置する小病変が著明に造影 すが、これは困難を伴う場合があり、 れたため、腎腫瘤およびその内部に ある小病変の性状については病理学 され(112 HU)、大きさは 0.4 × 0.5 ヨード造影剤による最適なコントラ cm2 でした。VNC 画像とフュージョ スト - ノイズ比(CNR)が重要となり 的に確認されていません。しかし本 ンしたヨードマップにおいて、腫瘤 ます。 症例は、わずかな造影病変やそれに 血流を供給する微細な動脈までも描 のヨード濃度は 0.92 mg/mL、小病 本症例は、フォトンカウンティング 出できるという点、そして、こうし 変のヨード濃度は 1.8 mg/mL と測定 検出器(QuantaMax®)を搭載した た描出能が医師の確信ある診断の支 されました。Thin MIP(Maximum 新型デュアルソース CT スキャナ、 えとなるという点で、PCCT の大きな Intensity Projection)と cVRT(cinematic NAEOTOM Alpha® で撮影されまし 可能性を示しています。 Volume Rendering Technique)を用 た。この装置では、スペクトル情報を いた 3D 表示では、腫瘤に血流を供給 本質的に含むエネルギー分解 CT デー する、腎動脈の小さな分枝が描出さ タが得られ、ルーチンスキャンにおい れました。 て高い組織コントラストが実現され CT 所見は腎腫瘍に一致していまし ます [3]。低エネルギー X 線フォトン た。しかし、患者の年齢や身体の状 が軽視されずに適切に反映されるこ 態を考慮し、さらなる検査や手術は と、電子ノイズがないこと、そして スペクトル情報を本質的に含んでい 16 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 1a 1b 1c 1d 1 標準的なアキシャル画像(図1a)では、右腎に均一に造影された腫瘤が描出されています。0 keVで表示された Monoenergetic Plus画像(図1b)およびVNC画像とフュージョンしたヨードマップ(図1c)では、標準画像では視認できな い、腫瘤の背側に位置する小病変が著明に造影されています。VNC画像(図1d)では、腫瘤はわずかに高吸収を呈し、石灰化 は認められません。 HLA 2a 2b PLH PLH 2 cVRT画像(図2a)およびThin MIP画像(図2b)では、腫瘤に血流を供給する、腎動脈の小さな分枝(矢印)が確認できます。 フォトンカウンティングCT症例報告 17 症例報告 · 腫瘍領域 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 腹部 スキャンモード QuantumPlus (動脈相/静脈相/遅延相) スキャン長 420 / 334 / 373 mm スキャン方向 頭側-足側/足側-頭側/頭側-足側 スキャン時間 4.5 / 3.6 / 3.6秒 管電圧 120 / 120 / 90 kV Eff. mAs 108 / 108 / 112 mAs 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 8.4 / 8.5 / 4.0 mGy DLP 386 / 367 / 165 mGy*cm ローテーションタイム 0.5秒 ピッチ 0.8 / 0.8 / 0.9 スライスコリメーション 144 x 0.4 mm スライス厚 0.6 / 0.4 / 0.6 mm 再構成間隔 0.4 / 0.2 / 0.4 mm 再構成カーネル Br40 / Qr40 / Br40、QIR 3 スペクトル再構成 Monoenergetic Plus、ヨードマッ プ、VNC 造影剤 350 mg/mL 参考文献 注入量 100 mL + 40 mL生理食塩水 [1] Aslam Sohaib.Incidental solid cystic renal フローレート 4 mL/秒 lesion.Cancer Imaging (2012) 12(2), 385-386. doi:10.1102/1470- スタートディレイ 動脈相:ボーラストラッキングで胸 7330.2012.9034. 部大動脈遠位部が100 HUに達した時 点をトリガーとし、5秒後に撮影を [2] Mahesh Kumar Mittal, Binit Sureka.Solid renal 開始 masses in adults.Indian J Radiol Imaging.2016 Oct-Dec; 26(4):429–442. 静脈相:動脈相終了から35秒後 doi:10.4103/0971-3026.195773. 遅延相:静脈相終了から10分後 [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) 126–136. 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設定において得ら れた結果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せず、数多くの変動要素(例え ば、医療機関の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど)があることから、他の医 療機関でも同じ結果が得られるという保証はありません。 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 18 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 左腎盂および尿管に発生した2つの小さな非侵 襲性乳頭状尿路上皮癌 Jan Baxa教授(MD、Ph.D.) Department of Imaging Methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University(チェコ 共和国プルゼニ) 経緯 コメント 血尿を伴う腎疝痛を繰り返す 76 歳の 尿路上皮癌(移行上皮癌とも呼ばれ ノイズがないこと、スペクトル情報 男性患者が、腎結石の検出を目的に る)は、尿路上皮細胞に由来します。 を本質的に有していることにより、 2 回にわたり非造影 CT 検査を受けま 腎盂や尿管に発生する癌としては最 最適な CNR が実現されます。造影ス したが、いずれも結石は認められま も頻度が高く、上部尿路腫瘍全体の キャンで取得された CT データは、そ せんでした。尿路上皮癌の検出を目 約 90% を占めます。癌が尿路上皮 の後、仮想非造影(VNC)画像や、 的に施行された尿細胞診も陰性。 にとどまっている場合は非浸潤性と keV 値を変えて表示できる仮想単色 さらなる評価のために、フォトン され、90% 以上の患者で治癒が期待 画像(Monoenergetic Plus)、ヨード カウンティング CT(PCCT)である できます。尿路上皮壁の深層まで浸 マップ、ヨードと VNC のフュージョ NAEOTOM Alpha® を用いて、静脈相 潤している場合、治癒の可能性は 10 ン画像など、さまざまなスペクトル および後期排泄相での造影 CT 検査が 15% にとどまります。腫瘍が尿 再構成に利用できます。実際に、こ ~ 施行されました。 路上皮壁を貫通して浸潤している場 れらの異なる画像タイプの読影は、 合、または遠隔転移が生じている場 日常診療において極めて容易に行え 診断 合には、現在利用可能な治療法では ます。画像ビューアから Interactive 通常治癒は望めません。診断時にお Spectral Imaging(ISI)技術を用いて 静脈相で撮影された CT 画像におい いて、浸潤の深さは主要な予後因子 インタラクティブに画像を切り替え て、左腎盂尿管移行部に 7 mm x 5 となるため、的確な早期診断が求め ることができます。PCCT の大きな利 mm、左尿管中部に 8 mm x 7 mm の られます。CT 撮影において、小さな 点のひとつは、あらゆるスキャンで 2 つの小病変が認められました。両 病変を初期段階で見つけて性状を評 スペクトル情報が得られることにあ 病変ともに造影効果を呈していまし 価するには、高い空間分解能と最適 ります。日常診断の画像読影に、こ た。スペクトル再構成により、ヨー な組織コントラストの両方が必要で のスペクトル情報を積極的に活用す ドマップおよび 40 keV で表示された あり、理想的には放射線の線量効率 ることが推奨されます。 Monoenergetic Plus 画像では、標準 を犠牲にしないことが望まれます。 CT 画像(120 kV で撮影された画像 技術的に見て、それは非常に難しい 本症例に示したように、わずか数ミ に相当する 70 keV 表示)と比べて造 課題です。 リメートル程度の小さな 2 つの造影 影効果が明らかに向上。仮想非造影 病変を、PCCT の利点を活かして特定 (VNC)画像では、どちらの病変も等 PCCT では、電子ノイズの影響を受け し、性状を評価することは、医師が 吸収を呈していました。左腎盂は拡 ずに、エネルギー分解 CT データが高 確実な診断を行う上で有効な手段と 張していました。右腎盂および尿管、 い空間分解能で得られ、高い組織コ なっています。 膀胱には、いずれも異常所見はみら ントラストを実現できます [1]。物理 れませんでした。 的な隔壁ではなく電界を用いてより 小さなサブピクセルを定義し、それ その後、低悪性度の非浸潤性乳頭状 ぞれを個別に読み出すことで空間分 尿路上皮癌(病期分類:pTa、N0、 解能が向上します。この仕組みによ M0)が、生検および尿管鏡検査によ り、検出器における幾何学的な線量 り組織学的に確認されました。患者 効率も向上します。本症例では、腹 は膀胱鏡検査にて腫瘍のレーザーア 部から骨盤にかけて全域を 0.4 mm ブレーションを受けましたが、術後 スライスで撮影しており、放射線量 補助療法は行われていません(推奨 はわずか 7.2 mGy に抑えられていま もされませんでした)。 す。低エネルギーの X 線フォトンが 軽視されずに反映されること、電子 フォトンカウンティングCT症例報告 19 症例報告 · 腫瘍領域 1a 2a 1 2 2つの小さな病変が左腎盂尿管移 行部(図1、矢印)および尿管中 部(図2、点線矢印)に確認で きます。 病変は、VNC画像(図a)で は等吸収を呈し、標準CT画 像(図b)ではわずかに造影 され、40 keVで表示された Monoenergetic Plus画像(図 c)およびヨード/VNCフュージ ョン画像(図d)では明瞭に造影 されています。左腎盂は拡張し ています(図1)。 1b 2b 1c HPL 2c 1d 2d 10Dug/cm3 Doug/cm3 621 1 00 45 1000 20 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 3a 3b 3 シネマティックVRT画像 では、左腎盂尿管移行部 (矢印)と尿管中部(点 線矢印)にある2つの小病 変が立体的に描出されて います。 --- 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 腹部/骨盤部 再構成間隔 0.2 mm スキャンモード QuantumPlus 再構成カーネル Br40 QIR 3 スキャン長 489 mm keVレベル 60 keV スキャン方向 頭側-足側 スペクトル再構成 VNC、Monoenergetic スキャン時間 5.3秒 Plus、ヨードマップ 管電圧 120 kV 造影剤 370 mg/mL Eff. mAs 91 mAs 注入量 第1ボーラス IQレベル (70 mL + 40 mL生理食塩 135 水) 線量調整 CARE Dose4D 20秒の間隔 – – 第2ボーラス CTDIvol 7.2 mGy (30 mL + 20 mL生理食塩 DLP 382 mGy*cm 水) ローテーションタイム 0.5秒 フローレート 4 mL/秒 ピッチ スタートディレイ 第2ボーラスのトラッキング 0.8 で下行大動脈遠位部が100 スライスコリメーション 144 × 0.4 mm HUに達した時点をトリガー とし、5秒後に撮影を開始 スライス厚 0.4 mm 参考文献 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設定において得られた結果に基 [1] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規模、症例 review.Physica Medica 79 (2020) の構成、ITや自動化の導入のレベルなど)があることから、他の医療機関でも同じ結果が得られるという 保証はありません。 126–136. 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 21 症例報告 · 腫瘍領域 低血糖の既往歴をもつ患者にみられた膵イン スリノーマ Antonella Del Gaudio(MD)、Daniele Marin(MD) Department of Radiology, Duke University(米国ノースカロライナ州ダーラム) 経緯 コメント 63 歳の女性患者(BMI 19.57 kg/ インスリノーマは、膵臓の内分泌細 m²)。甲状腺機能低下症の既往があり、 胞から発生する機能性膵神経内分泌 参考文献 [1] Marc Díez, Alexandre Teulé, Ramon 倦怠感、脱力感、食欲低下、低血糖 腫瘍(pNET)の一種です。インスリ Salazar.Gastroenteropancreatic などの症状を認め、評価目的で放射 ノーマは、多くの場合膵臓内に限局 neuroendocrine tumors:diagnosis and 線科に紹介されました。カルシウム し、インスリンを過剰に分泌して低 treatment.Ann Gastroenterol. 刺激負荷試験の結果、膵臓全体から 血糖を引き起こすことが特徴です。 2013; 26(1):29–36. インスリンが広く分泌されているこ 限局性疾患に対しては、外科手術が [2] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT とが確認され、膵インスリノーマが 唯一根治の可能性を有する治療法で review.Physica Medica 79 (2020) 疑われました。しかし、従来のエネ あり、一般的に小さな膵インスリノー 126–136. ルギー積分型検出器 CT(EID-CT)で マは予後が極めて良好です [1]。 行われた CT 検査では、膵臓に病変は しかし、腫瘍が小さいことから、原 確認されませんでした。さらなる評 発巣の特定が難しい点が課題となり 価のため、デュアルソース型フォト ます。 ンカウンティング検出器 CT(PCD-CT) である NAEOTOM Alpha® を用いた造 PCD-CT では、スペクトル情報を本質 影 CT スキャンが実施されました。 的に含むエネルギー分解 CT データが 高い空間分解能で得られます [2]。低 エネルギーの X 線フォトンが軽視さ 診断 れずに反映されること、電子ノイズ がないことにより、最適な組織コン 50 KeV で表示された仮想単色画像 トラストが実現されます。本症例で (VMI)において、血流に富んた 1 cm は、動脈相において、120 x 0.2 mm 大の結節性病変が動脈相で膵体部に の微細なコリメーションを用いた超 認められました。この病変は、ヨー 高分解能(UHR)モードが実施され ドマップや VNC/ ヨードフュージョン ました。このモードは、従来のよう 画像でも確認されています。仮想非 に物理的な隔壁を設けるのではなく、 造影画像(VNC)では等吸収を呈し、 強い電界によって定義された、より 標準的な画像再構成では明確に描出 小さなサブピクセルを用い、それぞ されませんでした。その後、Dotatate れ個別に読み出すことで空間分解能 PET/CT と内視鏡的超音波検査(EUS) を向上させています。その後、VMI により、この病変が確認されました。 は 0.4 mm のスライス厚で再構成さ 患者には、脾臓切除も伴う膵体尾部 れ、コントラスト強調のために 50 切除術が施行されました。病理検査 keV で表示されます。当初 EID-CT で の結果、インスリンを過剰に産生す は見逃されていた小さなインスリ 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 る G1 の高分化型神経内分泌腫瘍であ ノーマは、空間分解能と組織コント の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 ることが明らかとなりました。 ラストの向上により、明瞭に描出さ 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 れました。このことは的確な手術計 の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな 画の立案を可能にし、良好な患者転 ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 帰につながります。 が得られるという保証はありません。 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 22 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 1a 2a 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 腹部/腹部・骨盤部 スキャンモード UHR/QuantumPlus (動脈相/静脈相) スキャン長 249.6/423.2 mm スキャン方向 頭側-足側 1b 2b スキャン時間 5.2/4.5秒 管電圧 140 kV Eff. mAs 156 / 67 mAs € IQレベル 280 / 227 線量調整 F CARE Dose4D 250 10Quaking CTDIvol 18.2 / 7.7 mGy DLP 487 / 352 mGy*cm 1c 2c ローテーションタ 0.5秒 イム ピッチ 1.0 / 0.8 スライスコリメー 120 × 0.2 / ション 144 × 0.4 mm F F スライス厚 0.2、0.4 / 0.4 mm 38 10ouglens 再構成間隔 0.2 / 0.4 mm 1 動脈相で撮影され、50 keVで表示され 2 ヨードマップ(図2b)およびVNCとヨー たアキシャルVMIにおいて、膵体部に血 ドのフュージョン画像(図2c)において、 再構成カーネル Br48、Qr40 / Qr40 流に富んた小さな結節性病変が認めら 膵体部に造影効果を伴う病変(矢印)が確 れます(図1c、矢印)。この病変は、 認されます。VNC画像(図2a)では、こ keVレベル 50 keV 過去のEID-CT画像(図1a)にも、標準 の病変が等吸収を呈しています。 スペクトル再構成 Monoenergetic 的な画像再構成(図1b)にも描出され ていません。 Plus 造影剤 300 mg/mL 3a 3b 注入量 150 mL フローレート 4 mL/秒 スタートディレイ 1)動脈相:ボー ラストラッキング で下行大動脈が 150 HUに達した 時点をトリガーと し、17秒後に撮影 を開始 3 Dotatate PET/CT画像では、膵体部に小さ な病変が認められます(図3a、矢印)。 2)静脈相:45秒 この病変は、UHR画像を用いて作成され たシネマティックVRT画像(図3b、矢 印)にも明瞭に描出されています。 フォトンカウンティングCT症例報告 23 症例報告 · 腫瘍領域 膵体部の高分化型浸潤性管腺癌 Jan Baxa教授(MD、PhD) Department of imaging methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University(チェコ 共和国プルゼニ) 経緯 過去 3 か月にわたって徐々に悪化す なステージ IIa(T3 N0 M0)の膵管腺 が高い空間分解能で得られます [3]。 る腹痛と腹部の不快感を訴えて、69 癌(PDAC)が示唆されました。 ルーチンスキャンにおいて、keV レ 歳の男性患者が検査目的で来院。こ ベルを切り替えながら VMI を再構成 の患者は新たに糖尿病を発症してい 患者には、腫瘍の外科的切除術が施 して表示できます。VMI を 40 keV で ました。超音波検査で、充実成分と 行されました。CT で得られた所見 表示した場合の組織コントラストは、 嚢胞成分を含む腫瘤が膵体部に認め は、実際の手術において裏付けられ 70 keV で表示した VMI(120 kV で撮 られ、胃壁への浸潤が疑われました。 ました。 影された標準画像に相当)と比べて 膵腫瘤の局所評価と病期診断のた 術後の病理学的評価でも、切除断端 高く、さらに、低エネルギーの X 線 め、デュアルソースのフォトンカウ が陰性(R0)で、腫瘍が完全に切除 フォトンが軽視されずに反映される ンティング検出器(PCD)CT である されたことが確認されています。組 点や、電子ノイズが存在しない点も NAEOTOM Alpha® を用いて造影 CT 織学的解析により、高分化型浸潤性 最適化に寄与しています。本症例が 検査が施行されました。 管腺癌であることが明らかとなりま 示すように、空間分解能と組織コン した。患者はその後もネオアジュバ トラストが向上することで、腫瘍の 診断 ント化学療法を続けており、現在ま 薄い辺縁や腫瘍と胃壁との間にある でに再発は確認されていません。 脂肪組織まで効果的に可視化できる CT 画像では、膵体部に境界明瞭な外 ようになります。これは、医師が腫 方増殖性腫瘤が認められ、主膵管の 瘍の切除可能性を評価する上で重要 上流側拡張を伴う閉塞を引き起こし コメント な判断、すなわち腫瘍浸潤か線維形 ていました。この腫瘤は 4.5 cm x 4.6 PDAC は最も一般的な膵悪性腫瘍であ 成性反応かの鑑別に対する確実性を cm の大きさで、仮想非造影(VNC) り、膵腫瘍の 85% 以上を占めていま 高め、最終的には患者の予後にもつ 画像では低吸収性を示し、動脈相お す。予後不良で、発症率も増加傾向 ながります。 よび門脈相では乏血性を呈していま にあります。初期には、ほとんど症 した。40 keV で表示された仮想単色 状が現れません。およそ 8 割の症例 画像(VMI)では造影効果が高まり、 が、T3 や T4 といった進行期に診断 胃壁に接した腫瘍の高吸収性の辺縁 されます [1]。根治が期待できる唯一 と、腫瘍と胃壁の間にある脂肪組織 の治療法は、腫瘍の完全な外科的切 がより明瞭に描出されました。この 除です [2]。したがって、慎重な術前 所見は、腫瘍の浸潤ではなく、線維 評価によって、初期段階で患者をス 形成性反応による変化である可能性 テージングすることが極めて重要で が高いと考えられました。血管の巻 す。腫瘍の病期分類には、CT が第一 き込みは認められませんでした。腹 選択とされています。外科医にとっ 腔動脈(CA)、上腸間膜動脈(SMA)、 ては、血管の走行異常や狭窄に関す 門脈には、浸潤の可能性を示す CT 所 る術前評価も重要であり、手術計画 見は認められませんでした。肝臓や を適切に立て、術中の血管損傷や術 局所リンパ節への転移は、CT でも肝 後の合併症を防ぐことにもつながり MRI でも認められず、続く内視鏡的 ます。 超音波検査でも、腫瘍の胃壁浸潤は 認められませんでした。病期診断を PCD-CT では、スペクトル情報を本質 経た結果、画像所見から、切除可能 的に含むエネルギー分解 CT データ 24 フォトンカウンティングCT症例報告 腫瘍領域 · 症例報告 1a 1b 1c HAR 1d HAR 1 アキシャル画像(図1aおよび1b)およびオブリークMPR画像(図1cおよび1d)では、膵体部に境界明瞭な低血管 性腫瘤が認められます。70 keVで表示されたVMI画像(図1aおよび1c)と比較して、40 keVで表示されたVMI画像 (図1bおよび1d)は造影効果がより顕著であり、腫瘍の高吸収性の辺縁(図1aおよび1b、点線矢印)や、腫瘍と 胃壁との間にある脂肪組織(矢印)がより明瞭に描出されており、これは腫瘍の浸潤というよりも、線維形成性反 応の可能性が示唆されます。 参考文献 [1] K. Schawkat, et al.Pancreatic Ductal Adenocarcinoma and Its Variants:Pearls and Perils.RadioGraphics 2020; 40:1219–1239. https://doi.org/10.1148/ 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 rg.2020190184. の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は [2] Khaled Y. Elbanna, Hyun-Jung Jang and Tae Kyoung 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 Kim.Imaging diagnosis and staging of pancreatic の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな ductal adenocarcinoma:a comprehensive review. ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 Insights into Imaging (2020) 11:58. が得られるという保証はありません。 https://doi.org/10.1186/s13244-020-00861-y. 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review. 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 Physica Medica 79 (2020) 126–136. フォトンカウンティングCT症例報告 25 症例報告 · 腫瘍領域 2a 2b 2c 2d 2 シネマティックVRT画像では、腫瘍(図2a~2c)と動脈(図2d)の立体的な構造が描出されています。 腫瘍は膵体部に位置しており(矢印)、胃壁への浸潤は認められません。 CAおよびSMAは正常な分枝構造を示しており、走行異常や狭窄はみられません。 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 腹部/骨盤部 再構成間隔 0.2 mm スキャンモード QuantumPlus 再構成カーネル Bv40、QIR 3 (動脈相および門脈相) keVレベル 70、60、40 keV スキャン長 541 mm スペクトル再構成 VNC、VMI スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 5.8秒 管電圧 120 kV 造影剤 370 mg/mL Eff. mAs 152 mAs 注入量 第1ボーラス (70 mL + 40 mL生理食塩水) IQレベル 125 20秒の間隔 – – 線量調整 CARE Dose4D 第2ボーラス CTDIvol 12 mGy (30 mL + 20 mL生理食塩水) DLP 702 mGy*cm フローレート 4 mL/秒 ローテーションタイム 0.5秒 スタートディレイ 動脈相は、第2ボーラスにおい て下行大動脈が100 HUに達し ピッチ 0.8 た直後にトリガーされ、静脈 スライスコリメーション 144 × 0.4 mm 相は動脈相の終了から25秒後 に開始されました。 スライス厚 0.4 mm 26 フォトンカウンティングCT症例報告 呼吸器領域 · 症例報告 卵円孔開存が未診断の肥満患者における急性 肺塞栓症のフォローアップ Martine Rémy-Jardin教授(MD1、Ph.D.)、Jacques Rémy教授(MD2) 1 Department of Thoracic Imaging, University Centre of Lille(フランス) 2 Department of Radiology, Hospital Center of Valenciennes(フランス) 経緯 38 歳の肥満女性患者(身長 165cm、 ました。しかし、画像表示を 70 ります。このような状況では、PE の 体重 109kg、BMI 40)は、18 か月 keV から 40 keV に切り替えたとこ 診断が困難になる可能性があり、造 前に急性肺塞栓症(PE)を発症。患 ろ、X 線吸収値が診断可能なレベル 影剤の再投与を伴う再撮影が必要と 者は重度の血栓傾向を有しており、 に回復し、肺動脈幹内では 457 HU なる場合があります。 過去に下肢の広範な静脈炎や静脈血 が得られ、区域肺動脈の造影効果も 栓症を繰り返し発症し、潜因性脳卒 向上して、残存血栓は存在しないこ 本症例は、フォトンカウンティング 中の既往もありました。急性 PE の とが確認されました。 検出器(QuantaMax®)を搭載した 発症に対して適切な抗凝固療法が施 新型デュアルソース CT スキャナ、 行されたものの、呼吸困難は持続し 担当医は CT 所見を踏まえ、過去の NAEOTOM Alpha® で撮影されまし ました。慢性肺塞栓症に進展してい 血栓性イベント後に投与されていた た。この装置では、電子ノイズの影 る可能性を明らかにするため、患者 抗凝固薬が本患者には効いていない 響を受けずに、エネルギー分解 CT は CT 肺動脈造影(CTPA)検査が行 と判断し、別の抗凝固薬に治療計画 データが得られます [3]。フォトン われました。 を変更しました。 カウンティング CT(PCCT)の大き な利点の一つは、すべてのスキャン でスペクトル CT データが得られ、 診断 コメント 仮想単色画像の keV 設定を簡単に切 70 keV で表示された CTPA 画像(標 PFO とは、通常は出生後に閉じる右 り替えて画像表示を変更できる点で 準的な 120 kV 撮影に相当)では、 心房と左心房の間の穴が閉じずに す。画像の keV 設定を下げて表示す 肺動脈の造影効果が不十分(肺動脈 集団において高い発生率を示し、成 残った状態を指します。PFO は一般 ることで、PFO の開存によって造影 幹で 158 HU)である一方、大動脈 人のおよそ 3 分の 1 が有していると 剤のボーラスを捉え損ねた撮影も補 には良好な造影効果がみられまし されています [1]。PFO を有する多く 正可能になります。この検査では、 た。これは、右左シャントを伴う卵 の人は無症状のままであり、治療を 患者が肥満体型であったにもかかわ 円孔開存(PFO)の可能性を示唆す 必要としません [2]。しかし、PFO が らず、画像全体の品質が至適な水準 る所見です。 あると、静脈で生じた血栓が異常な に達していた点も注目されます。一 このシャントがあったにもかかわら 経路を通って体循環に入り込みやす 般に、肥満は ノイズによって画像が ず、撮影範囲の上下 3 分の 1 には影 くなり、本患者のように潜因性脳卒 粗くなりやすく、特に肺動脈の末梢枝 響が及んでいませんでした。すなわ 中などの全身性塞栓症を引き起こす における精密な解析を妨げます。電子 ち、かつて急性血栓により閉塞・拡 可能性があります。胸部 CT 検査にお ノイズは、肥満患者に対する CT スキャ 張していた右上葉区域動脈(RA1) いて、患者が深く息を吸い込んで息 ンのように、検出器に到達する X 線フ には重度の狭窄が認められ、限局性 を止め、バルサルバ動作を行うと、 ラックスが少ない状況で顕在化しやす の慢性 PE であることが裏付けられ 逆方向の血流(右左シャント)が生 いため、こうした条件下では、電子ノ ました。右下葉外側区域動脈(RA9) じることもあります。その影響で、 イズが存在しないことによる画像ノイ には、依然として血栓が認められま 造影剤が右心房から左心房へ流れて ズの低減効果が特に顕著に現れます。 した。一方、撮影範囲の中間 3 分の しまい、たとえ「jet sign」が現れな さらに、画像再構成処理に用いられる 1 では肺動脈(PA)の造影が不十分 くても、肺動脈の造影が弱く、大動 モデルベースの反復再構成法、 でやや不均一となっており、左葉間 脈の造影だけが強く出るという状況 Quantum Iterative Reconstruction(QIR) PA および両側の下葉近位部 PA に血 が、本症例のように起こることがあ が画像ノイズの一層の低減に寄与して 栓が残存している可能性が懸念され います。 フォトンカウンティングCT症例報告 27 症例報告 · 呼吸器領域 1a 1b 1c 1 右上葉区域動脈(RA1)は、急性PE時には閉塞と拡張を呈していましたが(図1a、矢印)、70 keVで表示された画像では血流が乏しく(図 1bおよび1c、矢印)、著しい退縮が認められ、限局性の慢性PEであることが確認されました。 2a 2b 2 かつて右下葉外側区域動脈(RA9)にみ られた血栓(図2a、矢印)は、70 keVで 表示された画像においても依然として認 められます(図2b、矢印)。 3 70 keVで表示された画像(図3a)におけ る肺動脈幹の造影不良(158 HU)は、40 keVで表示された画像(図3b)では457 HUまで上昇し、診断に十分な水準まで改 善しています。 3a 3b [1] ROI Circle Min / Max: 103 HU/223 HU [3] ROI Circle Mean/SD: 158 HU/21 HU Min / Max: 339 HU/550 HU Area: 1.79 cm2 Mean/SD: 457 HU/35 HU Area: 1.79 cm2 本症例が示すように、Quantumテ 参考文献 クノロジーで得られるスペクトルデ [1] Joel P Giblett, et al.Patent Foramen Ovale ータの有用性は、日常診療で重要な Closure:State of the Art.Interventional 役割を担っています。 Cardiology Review 2020;15:e15. PFOが未診断である肥満患者におい [2] Ahmed R Gonnah, et al.Patent foramen ても、低エネルギー画像を用いるこ ovale:diagnostic evaluation and the role とで、診断に十分な画像品質が得ら of device closure.Clinical Medicine 2022 れ、再撮影や造影剤の再投与を行う Vol 22, No 5:441–8. ことなく、肺動脈の完全な解析が可 能になります。CTの所見から、医 [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) 師は患者の症状が悪化した理由を説 126–136. 明し、治療計画の見直しを検討でき ます。 28 フォトンカウンティングCT症例報告 呼吸器領域 · 症例報告 4a 4b 4c 4d 4e 4f 4 かつて発症した急性PE(図4aおよび4d)が、両側の葉間肺動脈(矢印)および両側の基部肺動脈幹(点線矢印)に認められます。 70 keV表示(図4bおよび4e)では造影がやや不均一で、血栓の残存が懸念されます。 この懸念は、40 keV表示(図4cおよび4f)によって払拭されました。 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha 造影剤 400 mg/mL スキャン領域 胸部 注入量 60 mL + 40 mL生理食塩水 スキャンモード QuantumPlus フローレート 3 mL/秒 スキャン長 280 mm スタートディレイ ボーラストラッキングで上行 スキャン方向 足側 – 頭側 大動脈が150 HUに達した時 点をトリガーとし、3秒後に スキャン時間 0.8秒 撮影を開始 管電圧 120 kV Eff. mAs 134 mAs 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 10.4 mGy DLP 356 mGy*cm ローテーションタイム 0.25秒 ピッチ 1.5 スライスコリメーション 144 x 0.4 mm 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設 スライス厚 1.0 mm 定において得られた結果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せ 再構成間隔 ず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規模、症例の構成、ITや自動化の 1.0 mm 導入のレベルなど)があることから、他の医療機関でも同じ結果が得られると 再構成カーネル Br36 / BI60 いう保証はありません。 スペクトル再構成 Mono + 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があ ります。今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 29 症例報告 · 呼吸器領域 COVID-19罹患後に診断された慢性血栓塞栓性 肺高血圧症 Martine Rémy-Jardin教授(MD1、Ph.D.)、Jacques Rémy教授(MD2) 1 Department of Thoracic Imaging, University Centre of Lille(フランス) 2 Department of Radiology, Hospital Center of Valenciennes(フランス) 経緯 コメント COVID-19 罹患中に重篤な急性血栓塞 PH は、平均肺動脈圧(PAP)が 20 映されることや電子ノイズの不在によ 栓性疾患を発症した既往歴のある 83 mm Hg を超えることで診断される血 り、ヨードのコントラスト - ノイズ比 歳男性患者に、前毛細血管性肺高血 行動態の異常であり、病態生理学的機 (CNR)が改善され、被ばく線量およ 圧症(PH)が診断されました。PH の 序や血行動態の特徴、治療方針が類似 び造影剤使用量の低減が可能になると 原因を評価する目的で、造影胸部 CT していることから、臨床的には 5 つの 考えられます。もう一つの利点は、す 検査に紹介されました。担当の循環 群に分類されます [1]。CTEPH は、肺 べての造影スキャンでスペクトル CT 器医は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症 動脈の閉塞が原因で PH を引き起こす データが利用できることです。これに (CTEPH)が COVID-19 による入院以前 第 4 群に分類されます。 より、各 CTA データセットからヨー から既に発症していた可能性があると ドマップ(LungPBV)を作成でき、肺 考え、肺に COVID-19 による線維化の COVID-19 に関連して、PE の発生は 実質内におけるヨード分布の解析と血 後遺症がないかを確認しようとしてい 報告されていますが、COVID-19 後に ました。 続発する慢性血栓塞栓性肺高血圧症 管系の評価とを同時に行うことができ (CTEPH)については、これまでに報 ます。 告されたデータがありません [2]。急 スキャン速度が速いため、胸部全体 診断 性 PE は、残存した器質化血栓が肺動 のスペクトルデータを 2 秒未満で取 CT アンギオグラフィー(CTA)画像 脈を塞ぎ続ける異常な状態と、程度に 得できます。こうした特性によって では、中心肺動脈(PA)の拡張、末 差のある微小脈管障害が重なること 日常的なワークフローが大きく改善 されます。PH の臨床背景において、 梢 PA の狭細化と消失、右心房の著明 で、CTEPH へと進行することがありま す。CTEPH は、治療されずに放置さ LungPBV とシンチグラフィーは潅流 な拡大に加え、右心室の中等度の拡 れると予後が悪く、右心室機能が徐々 障害の検出に関して一致する結果を 大、血管内の膜様構造と充満欠損、気 に低下して最終的に右心不全を引き起 示すことが、過去の研究で明らかに 管支動脈の拡張、さらに両側肺におけ こします。慢性血栓塞栓性肺高血圧症 されています [4]。放射線科医が慢 るモザイク状の血流分布が確認されま した。肺灌流血量(LungPBV*)のス (CTEPH)は PTE により治癒が見込め 性 PE の CT 所見を評価し、PH に続 ペクトル画像を評価したところ、両側 るため、早期に発見することが不可欠 発する肺動脈の拡張と右心室機能障 害を同定する上での胸部 CTA の有益 の末梢領域にくさび形をした灌流障害 です。 性を本症例は示しています。 が複数確認されました。これらの所見 近年、PH の原因診断における CT の役 CTEPH は PH の原因として明確に確 は、CTEPH の所見と一致していました。 割が大きく変化しており、CTEPH の診 認され、これにより医師は患者に適 COVID-19 の後遺症を示す所見はみら 断における最新の CT 技術の重要性が 切な治療計画を立てることができま れませんでした。 改めて注目されています。 した。 治療方針を決定するため、患者は国立 本症例は、フォトンカウンティング の専門医療機関に転院しました。胸部 検出器を搭載した新型 CT スキャナ、 CTA で肺動脈循環の近位部に閉塞が認 NAEOTOM Alpha® で撮影されました。 められたことから、術前に肺血管抵抗 この装置では、電子ノイズの影響を受 を下げる薬物療法を行った後に、肺動 けずに、スペクトル情報を本質的に含 脈血栓内膜摘除術(PTE)の実施が検 むエネルギー分解 CT データが高い空 討されました。 間分解能で得られ、高い組織コントラ ストを実現できます [3]。そのすべて の要素が、胸部 CT 撮影の利点や向上 につながっています。例えば、低エネ ルギー X 線フォトンが軽視されずに反 30 フォトンカウンティングCT症例報告 呼吸器領域 · 症例報告 参考文献 1a 2a [1] Martine Remy-Jardin, et al.Imaging of Pulmonary Hypertension in Adults: A Position Paper from the Fleischner Society.Radiology 2021; 298:531–549. [2] Sadjad Riyahi, et al.Pulmonary Embolism in Hospitalized Patients with COVID-19: A Multicenter Study.Radiology 2021; 301:E426–E433. [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) 126–136. 1b 2b [4] Nakazawa T, Watanabe Y, Hori Y, et al.Lung perfused blood volume images with dual-energy computed tomography for chronic thromboembolic pulmonary hypertension:correlation to scintigraphy with single-photon emission computed tomography.J Comput Assist Tomogr 2011; 35(5):590–595. 1c 2c 1 アキシャル画像では、右中葉の肺動脈と 2 アキシャル(図2a)、コロナル(図 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 左下葉の前区域肺動脈に近位の充満欠損 2b)、サジタル(図2c)のMPR画像に の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 が認められます(図1a、矢印)。コロナ おいて、両側肺にモザイク状の血流分布 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は ルMPR画像では、右上葉の区域肺動脈に が認められます。 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 「膜様構造」が認められます(図1b、 の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな 矢印)。また、右心房には著しい拡大 ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 が、右心室には中等度の拡大が認められ が得られるという保証はありません。 ます(図1c)。 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 * 510(k)申請中 フォトンカウンティングCT症例報告 31 症例報告 · 呼吸器領域 3a 4a 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 胸部 スキャンモード QuantumPlus スキャン長 350 mm スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 1秒 管電圧 120 kV Eff. mAs 56 mAs 線量調整 CARE Dose4D 3b 4b CTDIvol 4.3 mGy DLP 168 mGy*cm ローテーションタ 0.25秒 イム ピッチ 1.5 スライスコリメー 144 x 0.4 mm ション スライス厚 1.0 mm 再構成間隔 1.0 mm 再構成カーネル Qr40、 QIR3 3c 4c スペクトル再構成 LungPBV 造影剤 400 mg/mL 注入量 60 mL + 40 mL生 理食塩水 フローレート 4 mL/秒 スタートディレイ ボーラストラッキ ングで上行大動脈 が100 HUに達し た時点をトリガー とし、5秒後に撮 影を開始 3 シネマティックVRT画像では、中心PA 4 サジタル(図4aおよび図4c)およびコ の拡張、末梢PAの狭細化と消失、気管 ロナル(図4b)のLungPBV画像では、 支動脈の拡張が認められます(矢印、 両側の末梢領域にくさび形の灌流障害が 図3b)。 複数認められます。 32 フォトンカウンティングCT症例報告 呼吸器領域 · 症例報告 気管支バルブ治療が施行された重度の肺気腫 Martine Rémy-Jardin教授(MD1、Ph.D.)、Jacques Rémy教授(MD2) 1 Department of Thoracic Imaging, University Centre of Lille(フランス) 2 Department of Radiology, Hospital Center of Valenciennes(フランス) 経緯 コメント 喫煙歴(45 パック年)がある 53 歳 肺気腫は COPD の代表的な亜型で、 リメータグリッドによって区切られ の男性患者は、過去 10 年間にわたり 長期にわたる呼吸困難と気流の低下 ています。 呼吸困難が徐々に悪化し、軽度の湿 を特徴とする進行性の肺疾患です。 性咳がみられていました。検査の結 完治は難しいものの、症状をコント このしくみによって、検出器の幾何 果、重度の肺気腫と肺過膨張を伴う ロールするためのさまざまな治療法 学的線量効率を損なうことなく空間 GOLD 分類ステージ 3 の慢性閉塞性 があり、EBV 留置もその一つです。 分解能が向上し、CT 画像における解 肺疾患(COPD)と診断されました。 この治療は、肺機能や運動耐容能、 剖学的構造が、低線量でも明瞭に描 右上葉(RUL)に気腫性病変が著名 生活の質の改善といった点で、患者 出されます。さらに、電子ノイズは、 に認められたため、肺気腫の治療法 の予後に良好な効果をもたらすこと ノイズレベルよりも十分高い X 線 として、気管支バルブ(EBV)留置に が明らかになっています [1] [2] [3]。 フォトンのみをカウントするように よる気管支内治療が検討されまし EBV 治療を行うには、肺気腫の分布 事前にデジタル閾値を設定すること た。これは、肺容量を縮小させて同 状態を十分に評価するとともに、治 で除去され、これによって画像ノイ 側横隔膜の動きを改善し、それによっ 療葉の無気肺化を妨げるおそれのあ ズが低減し、結果として被ばく線量 て呼吸状態の改善を図ることを目的 る側副換気がないことをあらかじめ の低減につながる可能性がありま としたインターベンション手技で 確認しておく必要があります [4]。こ す。電子ノイズは、X 線フラックス す。EBV 治療は RUL を対象として行 れらの重要な情報は、処置に先立っ が少ない状況で顕在化しやすいた われました。処置後の評価として、 て実施される胸部 CT 検査から得られ め、その電子ノイズが存在しないこ 超高分解能(UHR)胸部 CT が適応と ます。留置されたバルブの位置が適 とは、低線量の胸部 CT スキャンに なりました。 切であることの確認と、バルブによっ おける画質の向上に特に大きな効果 て生じた肺葉無気肺の評価は、処置 が期待されます。胸部 CT における 後の胸部 CT で行われます。 もう一つの重要な利点は、低エネル 診断 ギーの X 線フォトンが軽視されずに 本症例は、フォトンカウンティング 適切に反映されることで得られる EBV 留置前に施行された胸部 CT で 検出器(QuantaMax®)を搭載した CNR(コントラスト - ノイズ比)の向 は、右肺の大葉間裂と小葉間裂がい 新型 CT スキャナ、NAEOTOM Alpha® 上です。画像再構成の過程で、モデ ずれも完全に存在しており、側副換 で撮影されました。この装置では、 ルベースの反復再構成法である 気の不存在を確保する上で重要な情 電子ノイズの影響を受けずに、スペ Quantum Iterative Reconstruction 報が得られました。EBV 留置から 3 クトル情報を本質的に含むエネル (QIR)を用いることで画像ノイズは か月後に取得された CT 画像では、右 ギー分解 CT データが高い空間分解能 さらに低減されます。画像ノイズが 肺の肺尖区・後上葉区・前上葉区の で得られ、高い組織コントラストを 低減されるため、0.2 mm のスライ 区域気管支に 3 つのバルブが留置さ 実現できます [5]。X 線スペクトルを ス厚で撮影された低線量の UHR 画像 れ、それぞれの気管支の閉塞が確認 最適化する特殊な錫フィルターが用 であっても、cVRT(cinematic されました。RUL の完全無気肺に伴 いられ、低線量の UHR スキャンモー Volume Rendering Technique)など い、右大葉間裂が前上方へ偏位して ドが適用されました。UHR モードは、 の三次元再構成に使用でき、解剖学 いる所見が認められました。両側の スライスコリメーション 120 x 0.2 的構造を写実的に可視化できます。 肺に多数の低吸収域がみられ、肺気 mm を特徴としており、アイソセン 腫の分布が不均一であることが示唆 ターにおける検出器のサブピクセル 本症例が示すように、胸部 CT 画像は、 されました。 (0.15 x 0.18 mm2 )は個別に読み出 EBV 治療前の患者選定や、治療後の フォローアップ評価において重要な EBV 治療は、呼吸困難の軽減や 6 分間 されます。ピクセル間に物理的な隔 役割を果たします。高解像度(HR) 歩行試験の結果改善など、患者の予後 壁は設けられておらず、4 x 6 個のサ ブピクセルから成る各グループがコ 画像は、従来、スライス厚が薄くな に良好な効果をもたらしました。 ることで生じる画像ノイズを低減す フォトンカウンティングCT症例報告 33 症例報告 · 呼吸器領域 1a 1b 1c 1 EBV留置前のコロナルMPR画像(図1a)では、RULを中心に両肺に広がる低吸収域が認め られ、重度の肺気腫が示唆されます。EBV留置後の画像(図1b)では、RULが完全に虚脱 している様子が確認できます。 VRT画像(図1c)では、RULの気管支の途絶が矢印で示されています。 るために高線量が必要とされてきま したが、現在では、画像に必要な精 細度を確保しながら、低線量で UHR 画像を取得することが可能となって 2a 2b います。 2 EBV留置前のサジタルMPR画像(図2a)では、右肺の大葉間裂と小葉間裂の完全性が保た れていることがわかります。EBV留置後の同一像(図2b)では、右大葉間裂が上方および 前方に偏位しており、RULの完全無気肺(矢頭)が認められます。 34 フォトンカウンティングCT症例報告 呼吸器領域 · 症例報告 3a 3b 3c 3d 3e 3f 3 cVRT画像(図3a~3c)およびオブリークMPR画像(図3d~3f)では、右肺の肺尖区・後上葉区・前上葉区の区域気管支に留置された3つのバ ルブと、完全に虚脱したRULが示されています。cVRT画像とMPR画像はいずれも、0.2 mmの低線量UHR画像をもとに再構成されています。 参考文献 [1] M D. J. Slebos, et al.Endobronchial Valves 検査プロトコル for Endoscopic Lung Volume Reduction:Best Practice スキャナ Recommendations from Expert Panel on NAEOTOM Alpha Endoscopic Lung Volume Reduction. スキャン領域 胸部 Respiration 2017; 93:138–150.DOI:10.1159/000453588. スキャンモード Quantum HD + Sn スキャン長 355 mm [2] K. Klooster, et al.One-Year Follow-Up after Endobronchial Valve Treatment in スキャン方向 頭側-足側 Patients with Emphysema without Collateral Ventilation Treated in the スキャン時間 3.7秒 STELVIO Trial.Respiration 2017; 管電圧 Sn140 kV 93:112–121.DOI:10.1159/000453529. Eff. mAs 55 mAs [3] M Patel, et al.Meta-analysis and Systematic Review of Bronchoscopic Lung 線量調整 CARE Dose4D Volume Reduction Through CTDIvol 1.98 mGy Endobronchial Valves in Severe Emphysema.J Bronchology Interv DLP 73.1 mGy*cm Pulmonol.2022 Jul 1; 29(3):224-237. ローテーションタ 0.25秒 doi:10.1097/LBR.0000000000000872. Epub 2022 May 27. イム ピッチ 1.0 [4] Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease.Global strategy for the スライスコリメー 120 x 0.2 mm 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 diagnosis, management, and prevention ション 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は of chronic obstructive pulmonary disease 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 (2022 report). スライス厚 0.2 mm の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな https://goldcopd.org/2022-gold-reports-2. 再構成間隔 0.2 mm ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 が得られるという保証はありません。 [5] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT 再構成カーネル BI60、QIR4 review.Physica Medica 79 (2020) 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 126–136. 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 35 症例報告 · 神経領域 長年の頭痛歴を有する患者における脳脊髄液 静脈瘻 Fides Regina Schwartz(MD)、Timothy Amrhein(MD) Department of Radiology, Duke University Health System(米国ノースカロライナ州) 経緯 10 年来の片頭痛、耳鳴、起立性頭痛 ドマップ(図 1c)とシネマティック 頭蓋内圧低下症の原因として最初に を訴える 58 歳の女性患者が、精査の ボリュームレンダリング技術(cVRT) 知られるようになった硬膜裂傷とは ため神経放射線科に紹介されまし による 3D 画像(図 1d)により、所 異なり、多くの CVF は、硬膜外腔へ た。症状は自然発症の頭蓋内圧低下 見はさらに明瞭化されています。CVF の CSF の貯留を引き起こしません。 症(SIH)に典型的であり、静脈内造 の存在と位置が明らかになったこと CVF では硬膜外腔に液体が貯留しな 影剤を使用した脳 MRI では、硬膜の で、患者は外科的結紮による確定的 いため、従来の解剖学的画像診断で 造影効果、静脈拡張、脳下垂が認め 治療を受けるため、脳神経外科に紹 は検出が困難です。CVF の可視化に られ、診断が確定しました。3 年前 介されました。 は CSF に特化したミエログラフィー にも、原因となっている脊髄性の脳 手術は成功し、症状は消失、SIH の脳 用造影剤の使用が必要であり、硬膜 脊髄液 - 静脈瘻(CVF)の特定を試み MRI 所見も正常化しました。 外 CSF 漏出の検出に広く用いられて ましたが、発見には至りませんでし いる標準的な脊椎 MRI では CVF を効 た。確定的治療に先立ち CVF の特定 コメント 果的に同定できません。そのため、 と局在診断を行うために、デュアル CTM がより適した画像診断法として ソース型フォトンカウンティング CT CVF とは、脊髄クモ膜下腔とそれに 注目されています。従来の EID CT ス (NAEOTOM Alpha®)の超高分解能ス 隣接する傍脊椎静脈との間に生じる キャナでは、被ばく線量を増やさず、 キャンモード(Quantum HD)を用 異常な交通を指します。異常な交通 かつ過度なノイズを容認することな いた CT ミエログラフィー(CTM)が により、脳脊髄液(CSF)が静脈系へ く、空間分解能を高めることが大き 施行されました。 と漏出し、最終的に頭蓋内圧低下症 な課題となっていました。こうした を引き起こします。CVF はごく最近 課題も PCCT の登場によって克服でき 診断 まで見過ごされてきた異常ですが、 るようになりました。検出器の開口 SIH 患者、特に初回の脊椎画像検査で を絞るための器具(スリットやグリッ 従来のエネルギー積分型検出器(EID) 明らかな漏出が確認できない症例に ドなど)を追加しなくても、線量効 CT でスライス厚 0.625 mm にて撮影 おいて、脊髄性 CSF 漏出の代表的な 率を最大限に保ったまま UHR 画像を された CTM 画像では、複数のレベル 基礎原因として急速に認知されつつ 取得できるため、EID CT のように線 で脊髄神経根スリーブの突出が確認 あります。 量効率が犠牲になることはありませ されたものの、CVF の同定には至り ん。本症例に示すように、以前の検 ませんでした(図 1a)。今回の検査 CVF は胸椎に好発し、なかでも T7 ~ 査では、従来の薄いスライスを用い では、PCCT を用い、スライス厚 0.2 T12 の下位胸椎に多くみられます。し た EID CT が使用され、CVF が可視化 mm で撮影した UHR CTM 画像が取得 かし、CVF は本症例のように、上位胸 されませんでしたが、今回、PCCT が されました。撮影は、左側臥位、右 椎にも生じることがあります。 本来的に備えている UHR モードを用 側臥位、腹臥位という 3 つの体位に 上位腰椎や下位頸椎レベルで瘻がみ いたスキャンでは、CVF を検出する 加え、安静時、吸気終末での息止め時、 られるケースはあまり多くありませ ことに成功しました。放射線量は バルサルバ手技中という 3 つの呼吸 ん。CVF は解剖学的に神経根スリーブ 79% 低減されています(PCCT:8.6 条件のもと、腰椎穿刺によりクモ膜 と関連しており、多くの場合、瘻孔性 mGy、EID CT:41.3 mGy)。画像ノ 下腔内にイオパミドール(300 mg/ の交通はこのスリーブ自体から形成 イズをさらに低減するために、画像 mL)を 10 mL 注入した後に行われま されます。本症例でも同様の所見が認 再構成処理にはモデルベースの反復 した。吸気終末時に撮影された UHR められました。いくつかの症例報告で 再構成法である Quantum Iterative 画像では、右 T5 レベルで生じたごく は左右いずれかに偏る可能性が示唆 Reconstruction(QIR)が使用されて 小さな(1 mm 未満の)CVF が描出 されていますが、その傾向を示す明確 います。PCCT では、やや解像度が低 され、隣接する傍脊椎静脈に造影剤 な根拠はなく、CVF は脊椎の左右どち 下するものの、UHR 画像とスペクト が流入していることから、その存在 ら側にも発生し得ます。 ル情報の両方を同時に取得できると が裏付けられました(図 1b)。ヨー いう特有の利点があり、UHR による 36 フォトンカウンティングCT症例報告 神経領域 · 症例報告 2a1a 1b 1c 1d * * * * 1 T5レベルをスライス厚0.625 mmで撮影したEID CTのアキシャル画像(図1a)では、脊柱管の右側に顕著な神経根スリーブが認められま す(アスタリスク)。CVFは確認できません。スライス厚0.2 mmで撮影されたPCCTのUHR画像(図1b)では、神経根スリーブ(アスタ リスク)が明瞭に描出されており、同じレベルにCVF(矢印)も認められます。ヨードマップ(図1c、0.4 mm)と薄いスラブによる cVRT画像(図1d)でも同じ位置にCVF(矢印)が描出されています。 形態画像と、化学組成情報(ヨードマッ プ)を含むスペクトル画像とが同一 データから得られます。本症例では、 UHR 画像で同定された CVF の描出に 対し、スペクトル情報から得られた 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 ヨードマップがさらなる信頼性を与え の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は る結果となりました。画像の可視性が 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 向上したことで、医師は確実な診断を の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな 行いやすくなり、適切な治療計画の立 ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 が得られるという保証はありません。 案が可能となります。 患者は長い間悩まされていた頭痛から 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 解放されました。 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 脊椎 DLP 341 mGy cm スキャンモード UHR(Quantum HD) ローテーションタイム 0.5秒 スキャン長 354 mm ピッチ 0.85 スキャン方向 足側 – 頭側 スライスコリメーション 120 x 0.2 mm 患者体位 FFDR(フィートファースト右 スライス厚 0.2 mm 側臥位) 再構成間隔 0.2 mm スキャン時間 7.6秒 再構成カーネル Br48u、QIR 4 管電圧 140 kV 造影剤 イオパミドール 管電流 74 mAs (300 mg/mL) 線量調整 CARE Dose4D 注入量 10 mL CTDIvol 8.58 mGy フローレート 手動注入 フォトンカウンティングCT症例報告 37 症例報告 · 耳科領域 アブミ骨プロテーゼの転位 Hunor Sükösd(MD)、Éva Juhász(RT) Medical Imaging Centre, Semmelweis University(ハンガリー・ブダペスト) 経緯 1a 1b 74 歳の女性患者。10 年前に両側の アブミ骨摘出術とアブミ骨プロテー ゼ留置術を受けた既往があり、過去 2 年以上にわたり徐々に悪化する左 側の伝音難聴を訴えて来院しまし た。評価を目的として、超高分解能 (UHR)スキャンモードを用いた CT 検査が施行されました。 1c 1d 診断 CT 画像により、両側にアブミ骨プロ テーゼ(ピストンワイヤー型プロテー ゼ、PWP)が挿入されていることが 確認されました。右側の PWP は正常 な位置に留まり、一端がキヌタ骨長 脚に固定され、もう一端が卵円窓に 接していました。また、右中耳内の 耳小骨の下に、もう 1 本の PWP が認 められました。左側の PWP は転位し 1 オブリークMPR画像には、左右それぞれ長さ3 mmのPWPが認められます(図1aおよび ており、そのループはキヌタ骨長脚 1b)。右側のPWP(図1a、矢印)は正常な位置にありますが、左側のPWP(図1b、点線 から外れ、もう一端も卵円窓から逸 矢印)は転位しています。耳硬化症は両側に描出されており、蝸牛近傍の骨にわずかな 脱していました。両側に耳硬化症の 透亮像が認められます(図1cおよび1d、矢印)。 所見が認められました。 キャンは、術前診断と術後フォロー メータグリッドによって区切られて このため、左側に対して再手術が予 アップの両方を目的に日常的に行わ います。 定されました。なお、右側に認めら れています。中耳内のプロテーゼの れた 2 本目の PWP は、10 年前の手 位置は、高解像度 CT で確認できま したがって、UHR モードでは、検出 器の放射線線量効率が最大限に維持 術での挿入に失敗し、誤って残され す。しかし、部分容積効果の影響で、 たものと考えられましたが、右耳に 細い金属ワイヤーは見つけにくくな されます。さらに、電子ノイズは、ノ は症状がなかったため、摘出のため ります [1]。 イズレベルよりも十分高い X 線フォ トンのみをカウントするように事前 の再手術は計画されませんでした。 本症例は、フォトンカウンティング にデジタル閾値を設定することで除 検出器(QuantaMax®)を搭載した 去されます。画像の鮮鋭度やノイズの コメント 新型デュアルソース CT スキャナ、 質感を損なうことなく超高解像度で、 NAEOTOM Alpha® で撮影されまし ノイズを効率よく低減するために、 アブミ骨は、中耳内にある耳小骨の た。この装置では、電子ノイズの影 Quantum Iterative Reconstruction うち、最も内側に位置する骨です。 響を受けずに、エネルギー分解 CT (QIR)という高度な反復再構成法が採 アブミ骨の底板は卵円窓を塞ぎ、振 データが高い空間分解能で得られま 用されています。線量効率を犠牲にす 動を蝸牛へと伝える役割を担ってい す [2]。本撮影では、スライスコリメー ることなく画像ノイズの低減と超薄 ます。耳硬化症は異常な骨リモデリ ション 120 x 0.2 mm の UHR モード スライス画像の取得を両立すること ングであり、アブミ骨の動きに影響 が使用されており、アイソセンター で、空間分解能が向上し、解剖学的視 を及ぼして伝音難聴を引き起こすこ において 0.15 x 0.18 mm2 のサブピ 認性が改善されます。さらに、シネマ とがあります。この症状は、アブミ クセルが検出器から個別に読み出さ ティックボリュームレンダリング技 骨をプロテーゼで置換するアブミ骨 れます。ピクセル間に物理的な隔壁 術(cVRT)を用いることで、解剖学 摘出術によって改善できる可能性が は設けられておらず、4 x 6 個のサブ 的構造の細部を 3 次元で写実的に描 あります。側頭骨の高解像度 CT ス ピクセルから成る各グループがコリ 出することが可能です。本症例が示す 38 フォトンカウンティングCT症例報告 耳科領域 · 症例報告 2a 2b 2 cVRT画像では、両側のPWP、耳小骨、蝸 牛が確認できます。右側のPWPは正常な位 置に留まり(図2a、2c、2e、2g、矢 印)、一端がキヌタ骨長脚に固定され、も う一端が卵円窓に接しています。また、右 中耳内の耳小骨の下に、もう1本のPWPが 認められます(矢頭)。左側のPWP(図 2b、2d、2f、2h、点線矢印)は転位して おり、そのループはキヌタ骨長脚から外 れ、もう一端も卵円窓から逸脱していま す。cVRTの作成に使用されたアキシャル 画像は、鮮鋭度の極めて高いカーネル 2c 2d Hr84を用い、0.2 mmのスライス厚で再構 成されました。 2e 2f 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha 2g 2h スキャン領域 側頭骨 スキャンモード Quantum HD スキャン長 60 mm スキャン方向 足側 – 頭側 スキャン時間 1.5秒 管電圧 120 kV ように、鮮鋭度の極めて高いカーネル Eff. mAs 91 mAs 参考文献 Hr84 を使用して 0.2 mm で再構成さ [1] D. Pickuth et al.Vertigo after stapes 線量調整 CARE Dose4D れた画像でも、長さわずか 3 mm と surgery:the role of high resolution CT.The いう PWP の精緻な構造の描出に用い British Journal of Radiology, 73 (2000), CTDIvol 15.5 mGy ることができます。CT 所見から、プ 1021–1023. DLP 120 mGy*cm ロテーゼの転位が明らかとなり、これ [2] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT が進行性難聴の原因であることが裏 review.Physica Medica 79 (2020) ローテーションタ 0.5秒 付けられ、耳鼻科医は、それをもとに 126–136. イム 適切な再手術計画を立てることがで ピッチ 0.85 きます。 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 スライスコリメー 120 x 0.2 mm 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 ション の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 スライス厚 0.2 mm が得られるという保証はありません。 再構成間隔 0.1 mm 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 再構成カーネル Hr84 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 39 症例報告 · 耳科領域 先天性真珠腫 Hunor Sükösd(MD)、Éva Juhász(RT) Medical Imaging Centre, Semmelweis University(ハンガリー・ブダペスト) 経緯 コメント 両側性・進行性の伝音難聴を患う 7 先天性真珠腫は、外胚葉の封入嚢胞 実現しました。フォトンカウンティ 歳の女児。左側により重度の症状を で、内容物はケラチンデブリとコレ ング CT では、検出器の開口を絞るた 呈し、病院を受診しました。身体診 ステロールから成ります。先天性真 めのスリットやグリッドを追加しな 察では左右の鼓膜に異常はみられず、 珠腫は、滲出性中耳炎と並んで、小 くても、線量効率を最大限に保った 中耳感染の可能性を示す所見も認め 児の伝音難聴の原因として比較的多 まま UHR スキャンデータを取得でき られませんでした。中耳構造の精査 くみられます [1]。真珠腫は、診断さ るため、画像ノイズの大幅な増加を のため、CT 検査が適応となり、デュ れずに放置されると、中耳の構造を 伴わずに低線量での UHR スキャンが アルソース型フォトンカウンティン 広範に破壊し、聴覚器官に永続的な 可能です。また、高度なモデルベー グ CT(NAEOTOM Alpha® )にて、超 障害をもたらすことがあります。広 スの反復再構成法(Quantum 高分解能(UHR)スキャンモード 範囲な手術を避けて聴力を保つため Iterative Reconstruction、QIR)を用 (Quantum HD)による撮影が行われ には、早期診断が欠かせません [2]。 いることで、画像ノイズはさらに低 ました。 しかし、多くの小児は無症状であり、 減されます。UHR 画像は、シネマ 精査を試みても、十分な協力が得ら ティックボリュームレンダリング技 診断 れないことがよくあります。既存病 術(cVRT)によって解剖学的構造を 変の広がりを明らかにし、骨迷路や 三次元で写実的に描出する際の入力 UHR CT 画像により、左中耳内に軟部 耳小骨の評価を行うとともに、手術 データとしても活用でき、耳鼻科医 組織腫瘤が認められ、乳突洞内にま 計画の見通しを立てるためには、術 はそれをもとに患者に的確な手術計 で及んでいました。キヌタ骨長脚と 前 CT が欠かせません。この目的にお 画を立てることができます。 アブミ骨には、びらんが認められま いて特に重要となるのは、微細な構 した。鼓膜と上鼓室外側壁(scutum) 造の評価に適した高い空間分解能と、 は正常に保たれており、プルサック 小児患者への被ばくを抑える低線量 腔にも異常はみられませんでした。 です。 滲出液や形成異常は認められません 本症例には、デュアルソース型フォ でした。CT 所見は、Potsic 分類ステー トンカウンティング CT(NAEOTOM ジ IV に相当する先天性真珠腫と一致 Alpha)の UHR モードが使用されま しており、右側には病的な所見はみ した。スキャンデータは、120 x 0.2 られませんでした。診断確定のため mm のコリメーションで取得され、 に MRI 検査を実施したところ、強い 画像は、鮮鋭度の極めて高い骨用カー 拡散制限が腫瘤に認められ、真珠腫 ネル(Hr84)を用い、スライス厚 0.2 の性状を示していました。MRI では、 mm で再構成されています。このモー 参考文献 右側に異常所見は認められませんで ドは、フォトンカウンティング検出 [1] David Walker; Michael J. Shinners. した。 器の各サブピクセルを個別に読み出 Congenital Cholesteatoma. すことで、線量効率を最大限に保ち Pediatr Ann.2016;45(5):e167-e170. 左側の症状がより重く、右側に病的 つつ高い空間分解能を実現します 所見が認められなかったことから、 [3]。最適化された 70 kV プロトコル [2] M.A.El-Bitar et al.Congenital middle ear 治療は主に左側に対して行われまし を用いることで、92.3 mGy*cm とい cholesteatoma:need for early recognition た。CT での診断は、手術中に確認さ う非常に低い DLP(線積分線量)で role of computed tomography scan. – International Journal of Pediatric れた所見により 裏付けられました。 の撮影が可能となり、同種の検査で Otorhinolaryngology (2003) 67, 術後に症状が続くようであれば、診 一般的にみられる 200 ~ 400 231-235. 断を兼ねた鼓室形成術を反対側にも mGy*cm と比べて大幅な線量低減が 行うことが検討されました。 [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) 126–136. 40 フォトンカウンティングCT症例報告 耳科領域 · 症例報告 アキシャル画像(図1aおよ 1a 1b 1 び1b)とコロナルMPR画像 (図1cおよび1d)におい て、左中耳内に軟部組織腫 瘤が認められ、キヌタ骨長 脚とアブミ骨にびらんが生 じています。 プルサック腔(図1d、矢 印)に異常はみられず、上 鼓室外側壁(scutum)は正 常に保たれていました。 右側に異常所見はみられま せん。 1c 1d cVRT画像(図1eおよび1f) では、両側の耳小骨が立体 的に描出されており、右側 は正常で、左側にはびらん が認められます。cVRTの作 成に使用された画像は、鮮 鋭度の極めて高いカーネル Hr84を用いて、0.2 mmの スライス厚で再構成された UHR画像です。 1e 1f 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 側頭骨 DLP 92.3 mGy*cm スキャンモード Quantum HD ローテーションタイム 0.5秒 スキャン長 53.8 mm 本書に記載されている ピッチ 0.85 Siemens Healthineersの顧客の意見 スキャン方向 足側 – 頭側 は、各顧客固有の設定において得ら スキャン時間 1.3秒 スライスコリメーション 120 x 0.2 mm れた結果に基づいたものです。「典 型的」な医療機関は存在せず、数多 くの変動要素(例えば、医療機関の 管電圧 70 kV スライス厚 0.2 mm 規模、症例の構成、ITや自動化の導入 のレベルなど)があることから、他 Eff. mAs 340 mAs 再構成間隔 0.2 mm の医療機関でも同じ結果が得られる という保証はありません。 線量調整 CARE Dose4D 再構成カーネル Hr84、QIR3 一部の国では、本書で説明されてい CTDIvol 13 mGy る製品や機能が販売されていない場 (16 cmファントム) 合があります。今後販売されるかど うかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 41 症例報告 · 消化器領域 後天性横隔膜ヘルニアに起因する小腸梗塞 Nicholas H. Shaheen(MD1)、Maxwell Stroebel(MD1)、Cynthia Welsh(MD2)、Barry Gibney(DO3)、Andrew D. Hardie(MD1) 1 Department of Radiology and Radiological Sciences, The Medical University of South Carolina(米国サウスカロライ ナ州チャールストン) 2 Department of Pathology, The Medical University of South Carolina(米国サウスカロライナ州チャールストン) 3 Department of Surgery, The Medical University of South Carolina(米国サウスカロライナ州チャールストン) 経緯 10年前に食道切除術の既往がある が確認されました。患者は回復し、 床所見や検査所見を考慮すること 75歳の男性患者。心窩部から左上腹 良好な経過をたどりました。 で、迅速な診断が可能となります。 部にかけて広がる急な痛み、胸の痛 早期の治療につなげるためには、こ み、便秘、繰り返す嘔吐の症状を訴 コメント うした診断のスピードが欠かせませ え、救急外来を受診しました。身体 ん。CTスキャンには、フォトンカウ 診察において、患者は冷汗と頻脈を 腸梗塞とは、腸の一部に生じる血流 ンティング検出器を搭載した新型CT 呈し、上腹部には筋性防御が認めら 障害のことをいいます。本症例のよ スキャナであるNAEOTOM Alpha® れました。検査結果では、乳酸値は うに、手術既往がある患者では、解 が使用されました。電子ノイズの影 3.0 mmol/L、推算GFRは60を超え、 剖学的構造の変化により後天性横隔 響を受けずに、高い空間分解能でエ 白血球数は11でした。評価を目的と 膜ヘルニアに続いて腸梗塞が生じる ネルギー分解CTデータが得られます して、腹部と骨盤部の造影CT検査が ことがあります。身体診察や臨床検 [1]。 直ちに実施されました。 査の異常を含め、初期の臨床症状は 特異性に乏しい傾向があります。し 診断 かし、腸壁の壊死が始まってから敗 血症や多臓器不全に至るまでの進行 CT画像にて、左横隔膜の欠損部から は、急速に進むことがあります。治 複数の拡張した小腸ループが胸腔内 療は外科的処置が主体であり、迅速 へと脱出している様子が確認されま な診断には画像撮影が重要な役割を した。従来の方法で再構成された画 担います。近年では、迅速に撮像で 像では、脱出した腸管ループの壁内 き、かつ高い精度を有するCTが、従 に高吸収域の薄い輪状構造が認めら 来のアンギオグラフィーに代わって 1 れました。ただし、それが粘膜の造 広く用いられるようになっていま 影効果によるもの(虚血は否定され す。CT画像では、虚血をきたした腸 る)か、粘膜下出血によるもの(梗 管領域は、虚血のない領域と比べて 塞が示唆される)かは判断できませ 濃度や造影効果が異なってみられる んでした。スペクトルイメージング ことがよくあります。しかし、画像 データを評価したところ、ヨード 上の陽性所見がごくわずかで気付き マップでは脱出した腸管ループ内に にくいために、診断が遅れたり、誤 造影効果がまったく認められず、梗 診に至ったりすることもあります。 塞と整合する所見でした。 腸壁内 本症例では、腸壁にみられた高吸収 の高吸収域は仮想非造影(VNC)画 域の薄い輪状構造が、生存している 像でも認められ、粘膜下層の出血が 腸の正常な粘膜造影と誤って判断さ 示唆されました。スペクトル情報に れる可能性がありました。 よって診断が補強され、患者は小腸 しかし、その所見がVNC画像では確 梗塞と診断されて、小腸切除術を受 認され、ヨードマップでは認められ けるため速やかに手術に移されまし なかったことから、梗塞が強く疑わ た。切除された腸の病理学的評価に れました。 より、全層にわたる出血性血液成分 付加的に得られるスペクトル情報に を伴う完全な腸壊死と、粘膜の剥離 よって読影の精度が高まるうえ、臨 1 VRT画像のコロナル像では、小腸ループ が左側の胸腔内に脱出している様子が 認められます(矢印)。 42 フォトンカウンティングCT症例報告 消化器領域 · 症例報告 2a 2b 2c 2 造影後のアキシャル画像(図2a)では、脱出した腸管ループの壁内に高吸収域の薄い輪状構造が認められます(矢印)。VNC画像(図 2b)でも確認されますが、ヨードマップ(図2c)では認められないことから、これらの構造は粘膜下出血を示唆しており、梗塞と整合し ます。 ルーチンスキャンからスペクトルイ ではヨードマップを追加すること 参考文献 メージングデータが得られるように で、腸梗塞の検出における従来型CT [1] Thomas Flohr, Martin Petersilka, なったことで、ワークフローは大き の限界を克服できる可能性がありま Andre Henning, Stefan Ulzheimer, Jiří く改善されました。従来のCT画像か す。出血と真の造影剤取り込み(す Ferda, Bernhard Schmidt.Photon- らスペクトル画像への切り替えは、 なわち血液灌流)とを、特徴的な画 counting CT review. 読影中にワンクリックで行うことが 像所見により的確に識別できます。 Physica Medica 79 (2020) 126–136. でき、診断情報の評価をより効率的 かつ迅速に行えるようになります。 本症例が示すように、スペクトルCT 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha 造影剤 350 mg/mL スキャン領域 腹部/骨盤部 注入量 94 mL + 39 mL生理食塩水 スキャンモード QuantumPlus フローレート 3 mL/秒 スキャン長 426 mm スタートディレイ ボーラストラッキングで腹部 スキャン方向 頭側-足側 大動脈が100 HUに達した時点 をトリガーとし、5秒後に撮影 スキャン時間 7秒 を開始 管電圧 120 kV Eff. mAs 161 mAs 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 12.6 mGy DLP 584 mGy*cm ローテーションタイム 0.5秒 ピッチ 0.8 スライスコリメーション 144 x 0.4 mm スライス厚 3 mm 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設 定において得られた結果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せ 再構成間隔 3 mm ず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規模、症例の構成、ITや自動化の 導入のレベルなど)があることから、他の医療機関でも同じ結果が得られると 再構成カーネル Br36f いう保証はありません。 スペクトル再構成 VNC、ヨードマップ 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があ ります。今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 43 症例報告 · 整形外科領域 CTでのみ認められた舟状骨骨折 Jan Baxa(MD、Ph.D.) Department of Imaging Methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University(チェコ 共和国プルゼニ) 経緯 コメント 右手をついて転倒した14歳の女児が 舟状骨は、手根骨の中でも最も骨折 検出器の開口を絞るためのスリット 救急外来を受診。X線検査では、異常 しやすい部位です。手関節X線検査 やグリッドを追加しなくても、線量 所見は認められませんでした。2週間 で骨折が見落とされたり診断が不明 効率を最大限に保ったまま行うこと が経っても右手関節の痛みと可動域 瞭であったりすると、初期治療の開 ができます。従来の装置のように、 制限が持続していたため、再度X線検 始が遅れる恐れがあります。診断の 線量効率の低下や被ばく線量の増加 査が行われましたが、明確な所見は 遅れは偽関節につながり、最終的に といった懸念はありません。 得られませんでした。詳しく評価す は手関節の可動域制限や関節炎に至 画像ノイズをさらに低減するため るために、フォトンカウンティング る可能性があります。CT画像撮影 に、画像再構成処理にはモデルベー CT(PCCT)スキャナである は、舟状骨骨折の診断精度を高める スの反復再構成法であるQuantum NAEOTOM Alphaの超高分解能 上で、またフォローアップにおいて Iterative Reconstruction(QIR)が使 (UHR)モードを用いてCTスキャン も重要な役割を果たします。 用されており、海綿骨の構造が低ノ が実施されました。 多断面再構成(MPR)や、シネマ イズで鮮明に描出されています。 ティックボリュームレンダリング技 UHRスキャンデータの収集を伴う 診断 術(cVRT)をを始めとする3D再構成 PCCTは、末梢骨の軽微な損傷の評価 を用いることで、CT画像から詳細な において有効性が高く、特にX線で UHR CT画像では、舟状骨に斜走する 情報が得られます。従来のCTスキャ 明確な所見が得られず、臨床症状も 骨折線が描出されました。脱臼や離 ナでは、被ばく線量を増やさず、か 非定型的なケースで真価を発揮しま 開は認められませんでした。裂隙部 つ過度なノイズを容認することな す。本症例でも、X線では見落とさ には明らかな濃度上昇や硬化像がみ く、空間分解能を高めることが大き れていた骨折線が、UHR CT画像では られ、骨折が一部治癒しつつあるこ な課題となっていました。こうした はっきりと描出されています。画像 とが示唆されました。CTの所見を踏 課題もPCCTの導入、特にUHRモード ノイズの少なさを活かし、これらの まえ、外固定(副木)による治療が の活用によって克服できるようにな 画像はcVRT画像を生成する際のデー 行われました。3週間後にフォロー りました。画像は、デュアルソース タとしても用いられます。舟状骨の アップのX線検査が行われ、合併症も PCCT(NAEOTOM Alpha)を用い、 構造が3Dで写実的に可視化されるた なく骨折は順調に治癒していること スライス厚0.2 mmで取得され、鮮鋭 め、医師は、より的確な治療方針を が確認されました。 度の極めて高いBr84カーネルで、 導きやすくなります。 1024 x 1024という大きな画像マト リクスを用いて再構成されていま す。UHRスキャン データの取得は、 検査プロトコル 管電圧 120 kV ピッチ 0.85 スキャナ NAEOTOM Alpha Eff. mAs 40 mAs スライスコリメーシ 120 x 0.2 mm スキャン領域 手関節 線量調整 CARE Dose4D ョン スキャンモード CTDIvol 3.2 mGy スライス厚 0.2 mm Quantum HD スキャン長 DLP 56.1 mGy*cm 再構成間隔 96.2 mm 0.1 mm スキャン方向 頭側-足側 ローテーションタ 0.5秒 再構成カーネル Br84、QIR 3 スキャン時間 2.4秒 イム 再構成マトリクス 1024 x 1024 44 フォトンカウンティングCT症例報告 整形外科領域 · 症例報告 1a 1b 1 UHR CT画像(図1aおよび1b)とcVRT画像 (図1cおよび1d)では、脱臼や離開は認め られませんが、舟状骨に斜走する骨折線 (矢印)が認められます。cVRTの作成に使 用された画像は、スライス厚0.2mm、鮮鋭 度の極めて高いBr84カーネル、1024 x 1024 のマトリクスで再構成されました。 1c 1d 2 cVRT画像(図2aおよび2c)とUHR CT画像 2a 2b (図2bおよび2c)では、舟状骨に骨折線が 描出されています。裂隙部(矢印)に濃度 上昇がみられ、骨折が一部治癒しつつある ことが示唆されます。cVRTの作成に使用さ れた画像は、スライス厚0.2mm、鮮鋭度の 極めて高いBr84カーネル、1024 x 1024のマ トリクスで再構成されました。 2c 2d 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結果 に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在 せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規 模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど) があることから、他の医療機関でも同じ結果が得ら れるという保証はありません。 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 45 症例報告 · 整形外科領域 上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎 Ronald Booij(Ph.D.)、Edwin Oei教授(MD、Ph.D.) Department of Radiology & Nuclear Medicine, Erasmus MC(オランダ・ロッテルダム) 経緯 18か月前から左肘の症状が続いてい な治療法を選択する上で重要であ となります。本症例が示すよう た13歳の女子体操選手が来院。肘のX り、その評価にはX線よりもCTの方が に、PCCTとUHR画像によって実現さ 線検査では、上腕骨小頭の離断性骨 感度が高いとされています[2]。不安 れる空間分解能の向上と画像ノイズ 軟骨炎(OCD)が疑われました。病 定型の病変には外科的アプローチが の低減は、筋骨格の画像診断に大き 変の大きさと遊離骨片の有無をさら 必要となるため、事前に、病変の大 な利点をもたらします。 に詳しく評価するため、フォトンカ きさ、病変片の安定性と温存可能 ウンティングCT(PCCT)スキャナ 性、存在する遊離体の数など、手術 (NAEOTOM Alpha®)において、超 計画に必要な詳細な診断情報を把握 高分解能(UHR)スキャンモード しておくことが不可欠です。 (Quantum HD)での撮影が実施され ました。 本症例は、新型デュアルソースPCCT スキャナ、NAEOTOM Alphaで撮影さ れました。この装置では、電子ノイ 診断 ズの影響を受けずに、高い空間分解 UHR CT画像では、左上腕骨小頭の内 能でエネルギー分解CTデータが得ら 側に、約9.2 mm(幅)x 9.8 mm(長 れます[3]。UHR画像はスライス厚0.2 さ)x 4.1 mm(深さ)の大きさの皮 mmで撮影され、鮮鋭度の極めて高い 質欠損が認められました。遊離骨片 Br89カーネルを用いて再構成されて は2つ認められ、1つは小頭の近くに おり、変調伝達関数の2%値は31 lp/ 位置し、大きさは約5.1 mm、もう1 cmとなっています。皮質骨と海綿骨 つは尺骨肘頭の外側背側に認めら の微細な構造がより明瞭に描出さ れ、大きさは約6.2 mmでした。他の れ、放射線科医の診断に対する信頼 部位には骨の限局性異常はみられ 性が高まります。従来のCTで ず、筋肉についても限局性の異常所 は、UHR画像は一般にノイズが多 見は認められませんでした。橈骨頭 く、より高い放射線量を必要としま 参考文献 の骨梁構造は正常でした。 す。しかし、PCCTでは、検出器の開 口を絞るためのスリットやグリッド [1] an Bergen CJ, van den Ende KI, CT所見では、左上腕骨小頭にOCDの を追加しなくても、線量効率を最大 Ten Brinke B, Eygendaal D. Osteochondritis dissecans of the 疑いがあり、2つの遊離骨片を伴って 限に保ったままUHRスキャンデータ capitellum in adolescents.World J いたことから、病変は不安定型であ が取得されるため、画像ノイズの大 Orthop.2016 Feb 18;7(2):102-8. ると考えられました。その後、患者 幅な増加を伴わずにUHRスキャンが doi:10.5312/wjo.v7.i2.102. には関節鏡手術が予定されました。 可能です。また、高度なモデルベー PMID:26925381; PMCID:PMC4757654. スの反復再構成法(Quantum [2] van den Ende KIM, Keijsers R, van den コメント Iterative Reconstruction、QIR)によ Bekerom MPJ, Eygendaal D. Imaging and って、画像ノイズはさらに低減され classification of osteochondritis dissecans OCDは関節軟骨と軟骨下骨に生じる ます。画像ノイズが少ないことか of the capitellum:X-ray, magnetic 障害で、主に青年期の運動選手に発 ら、UHR画像はシネマティックボリ resonance imaging or computed 症します[1]。肘に発症する場 ュームレンダリング技術(cVRT)に tomography?Shoulder Elbow.2019 Apr;11(2):129-136. 合、OCDは通常、上腕骨小頭にみら も活用でき、写実的な高精細3D画像 doi:10.1177/1758573218756866. れます。早期発見と適切な治療介入 の生成を通じて、より精度の高い手 Epub 2018 Feb 13.PMID:30941202; によって、OCD病変の破砕や、不可 術計画の立案が可能となります。画 PMCID:PMC6415488. 逆的な軟骨損傷の進行を防げる可能 像ノイズの低減は、被ばく線量の低 性があります。OCD病変が安定型か 減にもつながる可能性があり、これ [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) 不安定型かを見極めることは、最適 は特に若年患者にとって大きな利点 126–136. 46 フォトンカウンティングCT症例報告 整形外科領域 · 症例報告 1a 1b 1c 1 3D表示で再構成されたMPR画 像(図1a、1d、1g)とcVRT 画像(図1b、1c、1e、1f、 1h、1i)では、左上腕骨小頭 に皮質欠損が認められ、2つ の遊離骨片を伴っています。 1つは小頭の近くに(矢 印)、もう1つは尺骨肘頭の 外側背側に認められます(点 線矢印)。橈骨頭の骨梁構造 は正常です。cVRTの作成に使 用された画像は、スライス厚 0.2mm、鮮鋭度の極めて高い Br89カーネル、1024 x 1024 のマトリクスで再構成されま した。 1d 1e 1f 1g 1h 1i 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 左肘 CTDIvol 4.5 mGy スキャンモード Quantum HD DLP 50.8 mGy*cm 本書に記載されている Siemens Healthineersの顧客の意見 スキャン長 0.5秒 は、各顧客固有の設定において得ら 103 mm ローテーションタイム れた結果に基づいたものです。「典 スキャン方向 足側 – 頭側 ピッチ 0.55 型的」な医療機関は存在せず、数多 くの変動要素(例えば、医療機関の スキャン時間 3.8 s スライスコリメーション 120 x 0.2 mm 規模、症例の構成、ITや自動化の導入 のレベルなど)があることから、他 管電圧 スライス厚 0.2 mm の医療機関でも同じ結果が得られる 120 kV という保証はありません。 再構成間隔 0.1 mm Eff. mAs 56 mAs 再構成カーネル Br89、QIR3 一部の国では、本書で説明されてい る製品や機能が販売されていない場 線量調整 CARE Dose4D 合があります。今後販売されるかど うかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 47 症例報告 · 整形外科領域 FOOSHによって生じた舟状骨骨折のスクリュ ー固定 Ronald Booij(Ph.D.)、Edwin Oei教授(MD、Ph.D.) Department of Radiology & Nuclear Medicine, Erasmus MC(オランダ・ロッテルダム) 経緯 20歳の男性患者は、5年前に手をつい 総じてCT所見では中央部に限局した 従来、薄いスライス画像はノイズが て転倒するFOOSH外傷により舟状骨 骨性架橋が示唆されたものの、明確 多く、3D画像表示には適さないとさ を骨折し、スクリュー固定術を受け な骨癒合はみられず、スクリューの れてきましたが、本症例ではPCCTを ていました。骨折部が癒合せず偽関 緩みが認められました。その後、患 使用することで、低線量で取得した 節を形成したため、4年後にスクリュ 者には再手術が予定されました。 0.2 mmスライス画像を、変調伝達関 ーの再手術が行われました。フォロ 数の2%値が31 lp/cmという鮮鋭度の ーアップCTでは、メタルアーチファ クトの影響により、スクリュー周囲 コメント 極めて高いBr89カーネルで再構成し ても、低ノイズが維持されているこ の骨構造が明瞭に描出されませんで 手をついて転倒した際に舟状骨を骨 とが示されました。これは、検出器 した。さらに詳しい評価が必要との 折するケースは、極めてよくみられ の開口を絞るためのスリットやグリ 判断から、当院に新しく導入された ます。治癒過程が障害されると骨折 ッドを追加しなくても、線量効率を フォトンカウンティングCT(PCCT) が偽関節となって残存し、手関節の 最大限に保ったままUHRスキャンデ スキャナ(NAEOTOM Alpha®)を用 機能に影響を及ぼす可能性がありま ータを取得できること、また、高度 い、超高分解能(UHR)スキャンモ す。骨折固定にはさまざまな方法が なモデルベースの反復再構成法 ード(Quantum HD)にて撮影が実施 あり、その一つにスクリュー固定が (Quantum Iterative されました。 あります。骨癒合の有無の確認やス Reconstruction、QIR)によって画像 クリュー位置の評価、手術計画の立 ノイズをさらに低減できること、と 診断 案には、CTフォローアップが広く用 いう2つの特徴によって実現されてい いられます[1~3]。CT画像の意義は4 ます。そのため、シネマティックボ UHR CT画像では、固定用スクリュー つの観点に整理できます。第一に、 リュームレンダリング技術(cVRT) が留置された状態で舟状骨骨折が認 骨癒合と偽関節を区別するには、海 を用いた写実的な3D画像の作成にも められました。舟状骨の骨折は依然 綿骨の架橋を明瞭に描出する高空間 UHR画像は最適です。舟状骨骨折部 として明瞭に描出され、骨折線には 分解能が必要です。第二に、スクリ 周囲の海綿骨構造をはじめとする解 骨硬化縁が認められました。中央部 ュー周囲の骨構造を正確に評価し、 剖学的構造が細部まで明瞭に描出さ にわずかな骨性架橋は認められまし 緩みの有無を判断するためには、メ れます。スクリュー周囲のメタルア たが、明確な骨癒合像は確認できま タルアーチファクトの影響を最小限 ーチファクトが低減されることで、 せんでした。スクリュー先端部およ に抑える必要があります。第三に、 放射線科医は透亮像をはっきりと確 び周囲の複数箇所に透亮像が認めら 繰り返し撮影時の被ばく低減が求め 認でき、スクリューの緩みに対する れ、スクリューの緩みが示唆されま られます。最後に、手術計画におけ 診断の精度が向上します。 した。スクリューは近位側へ突出し る舟状骨内角度の評価や舟状骨虚脱 て橈骨手根関節内に入り込んでお に関連する諸所見の評価、さらに医 さらに、PCCTの電子ノイズは、ノイ り、スクリュー頭部が橈骨にわずか 療スタッフや患者への説明には、高 ズレベルよりも十分高いX線フォトン に摩耗している様子がみられまし 品質な3D表示が重要な役割を果たし のみをカウントするように事前にデ た。骨溶解やスクリューの転位を示 ます。 ジタル閾値を設定することで除去さ す所見は認められませんでした。橈 れます。電子ノイズはX線フラックス 骨手根関節およびSTT(舟状骨、大菱 本症例は、新型PCCTスキャ が少ない状況で顕在化しやすいた 形骨、小菱形骨)関節に初期の変形 ナ、NAEOTOM Alphaで撮影されまし め、その電子ノイズが存在しないこ 性関節症変化が認められました。 た。この装置では、電子ノイズの影 とは、特殊な錫フィルターを用いた 月状骨にわずかな背側傾斜がみら 響を受けずに、高い空間分解能でエ スキャンなど、低線量CT撮影で大き れ、舟状骨-月状骨間距離は 月状骨- ネルギー分解CTデータが得られます な効果が期待されます。本症例 三角骨間距離と比べてやや拡大して [4]。120 x 0.2 mmの超薄スライスコ は、PCCT導入初期の撮影例であり、 いました。 リメーションを使用することで、空 当時はまだ線量低減に積極的ではあ 間分解能が大きく向上しています。 りませんでした。このスキャナの高 48 フォトンカウンティングCT症例報告 整形外科領域 · 症例報告 1 スクリューに平行に再構成したMPR画像 (図1aおよび1c)とcVRT画像(図1bお 1a 1b よび1d)では、スクリュー先端とスク リュー周囲の各所に透亮像が認められ、 スクリューの緩みが確認されました。ス クリュー周囲のメタルアーチファクトは 大きく低減されており、骨折部周囲の海 綿骨構造がはっきりと確認できます。舟 状骨の骨折は依然として明瞭に描出され ていますが、骨折線には骨硬化縁が認め られます。 い性能はすぐに明らかとなり、現在 では手関節撮影のルーチンスキャン 1c 1d プロトコルで線量をさらに半分(3.5 ~4 mGy)まで低減していますが、 画質は引き続き最適な状態が維持さ れています。 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha 参考文献 スキャン領域 手関節 スライスコリメー 120 x 0.2 mm [1] Bartuseck M. Injuries to the upper ション extremity due to falls on outstretched スキャンモード Quantum HD hands (FOOSH).J Urgent Care Med. February 2018.Available at: スキャン長 スライス厚 0.2 mm 48.3 mm www.jucm.com/injuries-upper-extremity- 0.1 mm due-falls-outstretched-hands-foosh スキャン方向 足側 – 頭側 再構成間隔 スキャン時間 再構成カーネル Br89、QIR3 [2] Nguyen Q, Chaudhry S, Sloan R, Bhoora I, 3.5秒 Willard C. The clinical scaphoid fracture:early computed tomography as a 管電圧 Sn140 kV practical approach.Ann R Coll Surg Engl.2008 Sep;90(6):488-91. Eff. mAs 216 mAs doi:10.1308/003588408X300948. 線量調整 CARE Dose4D Epub 2008 Jul 2.PMID:18598597; PMCID:PMC2647242. CTDIvol 7.8 mGy 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結果 [3] Fowler JR, Hughes TB.Scaphoid fractures. DLP 65.3 mGy*cm に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在 Clin Sports Med.2015 Jan;34(1):37-50. せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規 doi:10.1016/j.csm.2014.09.011.Epub ローテーション 0.5秒 模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど) 2014 Nov 25.PMID:25455395. タイム があることから、他の医療機関でも同じ結果が得ら れるという保証はありません。 [4] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT ピッチ 0.4 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が review.Physica Medica 79 (2020) 販売されていない場合があります。 126–136. 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 49 症例報告 · 整形外科領域 非骨性距骨下関節癒合症 Adrian A. Marth(MD1、2)、Daniel Nanz(PhD1)、Reto Sutter(MD2) 1 Swiss Center for Musculoskeletal Imaging, Balgrist Campus AG(スイス・チューリッヒ) 2 Balgrist University Hospital, University of Zurich(スイス・チューリッヒ) 経緯 22歳の女性患者が、3か月前から続く あります。治療の選択肢は保存療法か されることに加え、高度なモデルベー 右足の痛みを主訴として当院整形外科 ら手術まで多岐にわたります。治療計 スの反復再構成法(Quantum Iterative を受診。痛みは足関節内側に局在して 画に際しては、癒合部の大きさや部 Reconstruction、QIR)も画像ノイズの おり、長時間立っていると増悪しまし 位、変性変化の有無、他の癒合の有 一層の低減に寄与しています。した た。臨床検査の結果、後足部外反と距 無、関節への影響の程度を評価するた がって、医師同士や患者とのコミュニ 骨下関節の可動域制限が認められまし めのCT検査が重要となります。 ケーションを円滑にするシネマティッ た。通常のX線検査では定型的な距骨 突出徴候が認められ、足根骨癒合が示 第一選択となる治療は、足弓サポート クレンダリング3D画像の作成にもUHR やキャスト固定、非ステロイド性抗炎 画像は活用できます。 唆されました。患者は抗炎症性鎮痛薬 空間分解能の向上と画像ノイズの低減 を用いた保存療法を受け、良好な反応 症薬を用いた保存療法です。難治例で は、日常診療における筋骨格の画像診 を示しました。その後、手術が予定さ は外科的治療が行われますが、隣接関 れました。術前評価として、癒合部の 節に著しい変性がみられる場合は手術 断に大きな利点をもたらします。 大きさ、位置、広がりを把握する目的 の適応とはなりません。関節鏡下また でCT検査が行われました。フォトンカ は開放的切除術は、必要に応じて介在 ウンティングCT(PCCT)である 材料を併用することも可能ですが、多 NAEOTOM Alpha®にて、超高分解能 発癒合の場合は正常な機能回復が望め (UHR)スキャンモードによる撮影が ないため、個別の切除は避けるべきと 行われました。 されています。関節面積の50%超が癒 合していて、かつ後足部外反が強い場 合には、関節固定術が優先となりま 診断 す。距骨下関節癒合において中足部関 UHR CT画像では、中間関節面と後方 節に変形性関節症の所見が認められる 関節面の両方にわたり距骨下関節が不 場合には、距骨下関節固定術ではなく 整かつ狭小化し、その変化は表面積の 三関節固定術が適応となります。 50%以上に及んでいました。隣接部に 本症例では、距骨下関節の表面積の 変形性関節症の所見はみられませんで 50%超が関与しており、隣接部に変形 した。足根骨癒合の定型的な二次徴候 性関節症の所見は認められなかったた として、距骨上縁中央部に骨の突出 め、距骨下関節固定術が適応となりま (距骨突出)が認められました。距骨 した。UHR画像で明瞭に描出されたCT 下関節に骨性架橋は認められず、非骨 所見は、手術計画を立てる上で欠かせ 性癒合と確定診断されました。患者 ない情報となります。本症例では、若 は、距骨下関節固定術を受けることに 年患者に対して1.3 mGyという低線量 なりました。 ながら、高い空間分解能と低ノイズの 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 画像が得られています。これは、UHR の意見は、各顧客固有の設定において得られた結果 モードでは、検出器の開口を絞るため に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在 コメント せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規 の追加のスリットやグリッドが不要で 模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど) 足根骨癒合とは、生まれつき2つ以上 あり、120 x 0.2 mmという微細なコリ があることから、他の医療機関でも同じ結果が得ら の足根骨がつながっている異常な状態 メーションを用いることで、線量効率 れるという保証はありません。 をいいます。この架橋は骨性(骨性架 を最大限に保ったまま空間分解能を向 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 橋)である場合もあれば、非骨性(線 上できるためです。 販売されていない場合があります。 維性または軟骨性架橋)である場合も さらに、PCCTでは電子ノイズが除去 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 50 フォトンカウンティングCT症例報告 整形外科領域 · 症例報告 1a 1b 1c 1 右足のPCCT検査によるMPR画像(図1a~1c)およびcVRT画像(図1d~1e)では、中間関節面と後方関節面の両方にわたり距骨下関節が 不整かつ狭小化し、関節面には変形が認められます(矢印)。骨性架橋の所見は認められず、非骨性距骨踵骨癒合症と診断が確定しまし た。さらに、距骨頭の上方には距骨突出が認められます(矢頭)。cVRTの作成に使用された画像は、スライス厚0.2 mm、鮮鋭度の極め て高いBr84カーネル、1024 × 1024の画像マトリクスで再構成された画像です。 検査プロトコル 1d スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 右足首 スキャンモード UHRモード(Quantum HD) スキャン長 118.3 mm スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 2.9秒 管電圧 120 kV Eff. mAs 16 mAs 線量調整 CARE Dose4D 1e CTDIvol 1.3 mGy DLP 17.6 mGy*cm ローテーションタイム 0.5秒 ピッチ 0.85 スライスコリメーション 120 x 0.2 mm スライス厚 0.2 mm 再構成間隔 0.1 mm 再構成カーネル Br84 再構成マトリクス 1024 x 1024 フォトンカウンティングCT症例報告 51 症例報告 · 整形外科領域 粉砕骨折を呈した脛骨の偽関節再手術 - 癒合 は得られたか? Adrian A. Marth(MD1、2)、Daniel Nanz(PhD1)、Reto Sutter(MD2) 1 Swiss Center for Musculoskeletal Imaging, Balgrist Campus AG(スイス・チューリッヒ) 2 Balgrist University Hospital(スイス・チューリッヒ) 経緯 所となこの情報は、癒合遅延や偽関 参考文献 節などの合併症が生じた場合に、患 [1] Adrian A. Marth, et al.Photon-Counting 46歳の男性患者。粉砕骨折を呈した 者の可動性や再手術の要否を外科医 Detector CT – Clinical Utility of Virtual 脛骨に対して、プレート固定とロッ が判断する上での拠り所となりま Monoenergetic Imaging Combined With キングスクリューを用いた偽関節の す。ります。光子不足やビームハー Tin Prefiltration to Reduce Metal Artifacts 再手術が行われました。骨癒合の状 ドニングに起因するインプラント由 in the Postoperative Ankle.Invest Radiol.2024 Jan 10.DOI:10.1097/ 況を評価するために、6週間後にフ 来のメタルアーチファクトは、画像 RLI.0000000000001058 ォローアップのCT検査が予定されま の判読性を著しく損なう可能性があ した。フォトンカウンティング ります。スペクトルシェーピング( CT(PCCT)NAEOTOM Alpha®に 錫フィルター)と仮想単色画像 検査プロトコル て、スペクトルシェーピング(錫フ (VMI)再構成を組み合わせた手法 ィルター)を用いた超高分解能 は、標準的なスキャンと比較して、 (UHR)モードでスキャンが実施さ より高い線量効率でメタルアーチフ スキャナ NAEOTOM Alpha れました。 ァクトを低減する効果があることが スキャン領域 左下肢 わかっています[1]。スペクトルシ スキャンモード UHRモード 診断 ェーピングにより、高コントラスト 構造(骨、金属など)にあまり寄与 (Quantum HD) 標準的な多色X線によるUHR画像で しない低エネルギー光子が除去され スキャン長 428.5 mm は、インプラントによるメタルアー ます。同時に、VMIにより平均光子 エネルギーが高いレベルへとシフト スキャン方向 足側 – 頭側 チファクトの影響で、骨折裂隙の一 部が確認しづらい状態でし されることで、ビームハードニング スキャン時間 3.5秒 た。120 keV、150 keV、190 keVで アーチファクトが低減されま す。PCCTで得られるデータはスペ 管電圧 Sn140 kV 再構成した仮想単色画像(VMI)で は、メタルアーチファクトが大幅に クトル情報を本質的に含んでいるた Eff. mAs 97 mAs 抑制され、骨折裂隙の視認性が改善 め、VMIは容易に再構成でき、日常 線量調整 CARE Dose4D されました。 的な画像撮影にも手軽に活用できま 骨癒合を示唆する像は認められず、 す。さらに、PCCTでは、検出器の 脛骨と足部には、スポット状の骨減 開口を絞るための追加のスリットや CTDIvol 3.5 mGy DLP 少が認められました。 グリッドを用いずにUHR画像を取得 150 mGy*cm できるため、線量効率を最大限に保 CT検査後、患者には前腕クラッチを ったまま空間分解能を向上させるこ ローテーションタイ 0.5秒 使用し、体重の30%のみを足にかけ ム とが可能です。 て歩行するよう指導されました。次 回のフォローアップ検査のために患 本症例では、より高いkeVレベル ピッチ 0.86 者は6週間後に再診することになり (150 keVと190 keV)で再構成し スライスコリメーシ 120 × 0.2 mm ました。 たVMIで、メタルアーチファクトが ョン より効果的に低減されていました。 ただし、画像コントラストの低下と スライス厚 0.2 / 0.4 mm コメント いうトレードオフがあることは認識 再構成間隔 0.1 / 0.4 mm しておく必要があります。120 keV 骨折が治癒過程で癒合しているかど で再構成したVMIでは、骨折裂隙が 再構成カーネル Br84 / Br76 うかを確認するためには、術後のCT はっきりと描出され、同時に画像コ QIR 3 評価が重要です。この情報は、癒合 ントラストも良好な状態が保たれて スペクトル再構成 VMI 遅延や偽関節などの合併症が生じた います。視認性が向上することで診 (Monoenergetic 場合に、患者の可動性や再手術の要 断への確信が高まり、より質の高い Plus) 否を外科医が判断するうえでの拠り 患者ケアの提供につながります。 52 フォトンカウンティングCT症例報告 整形外科領域 · 症例報告 1a 1b 1 サジタルMPR画像におい て、多色画像(図1a)では メタルアーチファクトに よって骨折裂隙(矢印)が 一部見えにくくなっていま すが、120 keV(図1b)、 150 keV (図1c)、 190 keV(図1d)で再構成 したVMI画像では明瞭に確 認できます。骨癒合を示唆 する像は認められません。 20keV, Filter Sn 1c 1d ME_150keV, Filter Sn Links ME_190keV, Filter Sn 2a 2b 2c 2d 2 シネマティックボリューム レンダリング画像(a~d) では、骨折した脛骨・腓骨 とそれに対するプレート固 定およびロッキングスク リューの全体像が立体的に 描出されています。 本書に記載されている Siemens Healthineersの顧客の意見 は、各顧客固有の設定において得ら れた結果に基づいたものです。「典 型的」な医療機関は存在せず、数多 くの変動要素(例えば、医療機関の 規模、症例の構成、ITや自動化の導 入のレベルなど)があることから、 他の医療機関でも同じ結果が得られ るという保証はありません。 一部の国では、本書で説明されてい る製品や機能が販売されていない場 合があります。 今後販売されるかどうかの保証はい たしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 53 症例報告 · 小児科領域 尿路結石を合併した小児の尿管瘤 Jan Baxa(MD、Ph.D.) Department of Imaging Methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University(チェコ 共和国プルゼニ) 経緯 コメント に活用でき、写実的な三次元画像の 9歳の男児が頻尿、尿勢低下、遺尿症 尿管瘤は、尿管の最遠位部が拡張し 作成が可能となるため、外科医が適 を主訴とし、検査目的で来院。超音 て膀胱内に突出する先天異常です。 切な手技の計画を立てやすくなりま 波検査と膀胱X線検査の結果、右側に 尿管瘤は無症状の場合もあり、尿路 す。なお、造影剤は2ボーラスプロト 水腎症と水尿管が認められ、遠位尿 結石を契機に後年診断されることが コルで投与されています。1回目の 管には複数の結石を伴っていまし 多いほか、尿管瘤の疑い以外の目的 ボーラスが30 mL、2回目が25 mL た。膀胱尿道鏡検査に向けた精査と で実施した画像検査で偶発的に発見 で、いずれもその後に25 mLの生理 して、腹部造影CT検査が施行されま されることもあります。尿路結石を 食塩水が後押し注入されています。1 した。 合併する尿管瘤は比較的よくみられ 回目の造影剤ボーラス投与後、拡張 ます。小児患者の画像診断において した排泄系が十分に充満するまで、 診断 は、超音波検査が主に使用されま 1.5時間の待機時間を設けています。 す。複雑な症例における尿管瘤の解 血管と実質の造影効果を高めるた CT画像では、右側の腎盂・腎杯・尿 剖学的構造を詳細に評価し、外科的 め、2回目のボーラス投与後に40秒 管に高度な拡張が認められ、水腎症 処置の方針を決定する際には、CTま のスタートディレイが設けられてい および水尿管が示唆されました。右 たはMRIが利用されます。 ます。この方法により、2回に分けて 側の単一拡張尿管が膀胱腔内に突出 行うスキャンを1回にまとめることが しており、その遠位部には、直径4~ 本症例は、デュアルソース型フォト でき、小児患者の被ばく線量をさら 5 mmの滑らかな円形結石が複数認め ンカウンティングCT(PCCT)である に抑えることが可能になります。本 られました。右側尿管口は視認でき NAEOTOM Alpha®で撮影されまし 症例が示すように、PCCT Quantumの ませんでした。拡張した腎杯の下方 た。このスキャナでは、電子ノイズ 先進技術により、日常診療における と、膀胱内へ突出した尿管瘤の後方 の影響を受けずに、エネルギー分解 小児のスキャンでも、被ばく線量を にも、それぞれ結石が認められまし CTデータを取得できます。電子ノイ 抑えつつ最適な画質が得られます。 た。左側腎系に異常は認められませ ズは、ノイズレベルよりも十分高いX んでした。 線フォトンのみをカウントするよう CT所見より、尿管瘤と尿路結石症が 事前にデジタル閾値を設定すること 参考文献 示唆されました。 で除去されます[2]。画像再構成の過 [1] Xie et al.Ureterocele:Review of 程で、モデルベースの反復再構成法 Presentations, Types and Coexisting その後、患者は膀胱鏡下に尿管瘤切除 であるQuantum Iterative Diseases.Int Arch Urol Complic 2017, と結石除去、および腎盂から膀胱に至 Reconstruction(QIR)を用いること 3:024.DOI:10.23937/ る尿管内へのステント留置術を受け、 で画像ノイズはさらに低減されま 2469-5742/1510024. いずれも良好に施行されました。 す。これらの改良は、画像ノイズと [2] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT 摘出された25個の結石片は、分析の 被ばく線量の低減に寄与します。最 review.Physica Medica 79 (2020) 結果、ウェデライトとウェーウェラ 適化した70 kVプロトコルを用いるこ 126–136. イトがそれぞれ50%ずつ含まれるシュ とで、腹部から骨盤に至る全体のス ウ酸カルシウム結石であることが判 キャンにおいて、CTDI値を0.77 mGy 明しました。腎内の残存結石を除去 という低いレベルにまで抑えること するため、フォローアップとして膀 が可能です。画像ノイズの低さは、 胱尿道鏡検査が予定されました。 解剖学的構造の三次元的な描出にも 寄与します。0.4 mmという非常に薄 いスライスもシネマティックボ リュームレンダリング技術(cVRT) 54 フォトンカウンティングCT症例報告 小児科領域 · 症例報告 HPR 検査プロトコル 1a 1b スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 腹部/骨盤部 スキャンモード Quantum スキャン長 271.4 mm スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 1.6秒 管電圧 70 kV * Eff. mAs 67 mAs 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 0.77 mGy 2a 2b DLP 24.9 mGy*cm ローテーション 0.5秒 タイム ピッチ 1.5 スライスコリメー 144 x 0.4 mm ション 3a H 3b スライス厚 0.4 mm 再構成間隔 0.2 mm 再構成カーネル Br36、QIR 3 スペクトル再構成Monoenergetic Plus 造影剤 350 mg/mL 注入量 第1ボーラス(30 mL + 25 mL生理食 塩水) 1.5時間の間隔 – – 第2ボーラス(25 mL + 20 mL生理食 塩水) フローレート 1.5 mL/秒 スタートディレイ 40秒 1 Thin MIP画像(図1a)では、右側の腎盂・腎杯・尿管に高度な拡張が認められます。膀胱 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 腔内に突出している尿管の最遠位部も確認できます(アスタリスク)。cVRT画像(図 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 1b)では、複数の結石の位置が確認できます(矢印)。 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 2 アキシャル画像(図2a)とcVRT画像 3 サジタルMPR画像(図3a)とcVRT画像 が得られるという保証はありません。 (図2b)では、膀胱内に突出している (図3b)では、膀胱内に突出している 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 尿管瘤(矢印)が確認でき、拡張した尿 尿管瘤(矢印)が確認でき、拡張した尿 販売されていない場合があります。 管の遠位部内(点線矢印)には複数の結 管の遠位部内には複数の結石が認められ 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 石が認められます。 ます。 フォトンカウンティングCT症例報告 55 症例報告 · 血管領域 高度の下垂を伴う巨大乳房症 Chao Zhang(RT1)、Daming Zhang(MD1)、Man Wang(RT1)、Jin Chen(RN1)、Xi Zhao(MD2)、Yun Wang(RT1) 1 Department of Radiology, Peking Union Medical College(中国・北京) 2 Siemens Healthineers(中国) 経緯 32歳の女性患者。過去8年以内に授 コメント の個々のピクセルは、従来のエネル 乳しており、両側性の症候性乳房肥 ギー積分型検出器(EID)CTに用いら 大とグレード3の重度乳房下垂を呈し 巨大乳房症(乳房肥大)は、乳房が れていた物理的な隔壁ではなく強力 ているため、乳房縮小術が予定され 過剰に大きくなる疾患で、身体的に な電界によって区切られているた ていました。手術に先立ち、デュア も心理的にも大きな負担を伴いま め、放射線の線量効率を低下させる ルソース型フォトンカウンティング す。症候性乳房肥大に対する持続的 ことなく、サブピクセルの微細化が 検出器(PCD)CT、NAEOTOM な非手術的治療法は確立されておら 可能となっています。そのため、 Alpha®の超高分解能(UHR)スキャ ず、その正確な病因もいまだ明らか UHRモードでは、120 x 0.2 mmとい ンモードを用いてCTアンギオグラ ではありません[1]。乳房縮小術によ う微細なコリメーションと極めて高 フィー(CTA)が施行され、乳頭乳 る外科的治療は、ガイドラインにお い平面内分解能が実現されます。さ 輪複合体(NAC)への主要な血流と いて症状の緩和に最も有効な方法と らに、0.4 mmのスライス厚でスペク その血管供給源が評価されました。 位置付けられており、現在、標準的 トル情報を取得し、低いkeVレベル な治療法として広く行われています (本症例では50 keV)でVMIを表示 診断 [2]。しかし、血液供給が複雑である できるため、高い造影効果が得られ ため、手術中の動脈損傷によって、 ます。電子ノイズがないことによ CTA画像では、左右いずれも1本の供 NACの術後に機能損失や壊死が生じ り、線量の低減(本症例では4.5 給動脈が対称的に走行する様子が確 ることがあります。発症率は最大 mGy)と最適な画質の両立が可能と 認されました。優位動脈は、右側で 13%に達するとの報告があります なります。 は第1肋間腔、左側では第2肋間腔で [3]。NACの血液供給パターンは、個 人差が大きく、さらに同一人物でも 本症例が示すように、術前CTA画像 内胸動脈から分岐し、NAC領域に血流 によってNAC領域の主要な血液供給 を供給していました。50 keVで表示 左右の乳房で異なる場合があること が研究により明らかとなっていま の全体像が把握しやすくなり、乳房 した仮想単色画像(VMI)では、NAC の終末動脈がより高いコントラスト す。供給動脈は1本の場合もあれば 縮小術の効果的な手術計画が可能と で描出され、視認性も改善していま 複数本の場合もあり、パターンは対 なります。PCD-CTで取得されたUHR した。これらの画像をもとに、シネ 称型と非対称型の両方がみられま 画像は、被ばく線量を低減しつつ血 管細部の描出能を向上させる可能性 マティックボリュームレンダリング す。検出可能な血管径が1.0 mmを超 技術(cVRT)を用いて三次元(3D) える場合、優位血管が描出されない があります。 画像が作成されました。動脈と周囲 こともあります[3]。したがって、乳 組織(骨、筋肉、脂肪組織)との解 房縮小術を成功させ、患者ごとに最 剖学的な関係を示すため、患者の手 適な術式設計を行うためには、高解 術時の体位に合わせて複数のプリ 像度のCTA画像を用いて、NACの血 セットが使用されました。レンダリ 液供給をより深く把握することが重 ング結果をホログラフィック投影し 要です。 て位置確認を行い、術前に動脈が患 本症例は、デュアルソース型PCD-CT 者の体表にマーキングされました。 であるNAEOTOM Alphaを用いて撮影 患者は、無事に乳房縮小術および有 されました。この装置では、電子ノ 茎乳頭・乳輪再建術を受け、良好な イズの影響を受けずに、スペクトル 結果が得られました。 情報を本質的に含むエネルギー分解 CTデータが高い空間分解能で得られ ます[4]。NACへの細い終末動脈が、 これらの先進技術により詳細に描出 できるようになります。CDの検出器 56 フォトンカウンティングCT症例報告 血管領域 · 症例報告 1a 1 cVRT画像では、左右いずれも1本の供給動脈が対称的に走行する様子が認め られます。優位動脈は、右側では第1肋間腔、左側では第2肋間腔で内胸動脈 から分岐し、NAC領域に血流を供給しています。動脈と骨(図1a)、動脈と 筋肉(図1b)、動脈と脂肪組織(図1c)の解剖学的な関係が、プリセットを 切り替えながら、患者の手術時の体位に合わせて示されています。 検査プロトコル 1b スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 胸部 スキャンモード UHRモード(Quantum HD) スキャン長 264.8 mm スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 3.9秒 管電圧 120 kV 1c Eff. mAs 56 mAs IQレベル 102 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 4.5 mGy DLP 123 mGy*cm ローテーションタイム 0.25秒 ピッチ 0.7 スライスコリメーション 120 x 0.2 mm スライス厚 0.2 / 0.4 mm 再構成間隔 0.2 / 0.2 mm 再構成カーネル Bv60 参考文献 スペクトル再構成 Monoenergetic Plus [1] X. Li, et al.Preoperative visualization of mammary artery for breast reduction surgery based on 造影剤 computed tomography angiography.Egypt J Radiol 370 mg/mL Nucl Med (2024) 55:1. https://doi.org/10.1186/ 注入量 50 mL + 40 mL(80%) + 20 mL生理 s43055-023-01170-2. 食塩水 [2] American Society of Plastic Surgeons.Evidence-based フローレート 5 mL/秒 + 4.5 mL/秒 + 4 mL/秒 Clinical Practice Guideline:Reduction Mammaplasty. www.plasticsurgery.org. スタートディレイ 40秒 [3] H. Zheng, et al.Computed Tomographic Angiography- Based Characterization of Source Blood Vessels for Nipple–Areola Complex Perfusion in Hypertrophic 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設定におい Breasts.Aesth Plast Surg (2017) 41:524–530.DOI て得られた結果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せず、数多くの変動 要素(例えば、医療機関の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど)がある 10.1007/s00266-017-0791-5. ことから、他の医療機関でも同じ結果が得られるという保証はありません。 [4] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review. 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があります。 Physica Medica 79 (2020) 126–136. 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 57 フォトンカウンティング CTがもたらす新たな価 値の探究 CTデータ提供:Erasmus MC(オランダ・ロッテルダム) この画像はフォトンカウンティングCTで取得した画像に対して視覚的な加工を加えたものであり、CTスキャナやそのソフトウェアで直接レンダリングするこ とはできません。 58 Siemens Healthineers Headquarters Siemens Healthineers AG Siemensstr.3 91301 Forchheim ドイツ連邦共和国 電話番号:+49 9191 18-0 siemens-healthineers.com Siemens Healthineers AG発行 / 注文番号 CT-00112-11C1-7600 · Printed in Germany · 15639 1024 / © Siemens Healthineers AG, 2024

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