
フォトンカウンティングCT臨床症例報告 – 循環器領域編
本PDFでは、NAEOTOM AlphaシステムのフォトンカウンティングCT(PCCT)が循環器領域の臨床成績にどのような変化をもたらしているのか、その動向をご紹介します。その効果は、循環器領域の症例報告から明らかになっています。
製品の関連性:NAEOTOM Alpha、NAEOTOM Alpha.Peak、NAEOTOM Alpha.Pro、NAEOTOM Alpha.Prime
対象グループ:基本ユーザー、すべてのユーザー
推奨されるビデオ再生用デバイス:ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ(十分な大きさのディスプレイが必要となります)
SIEMENS Healthineers NAEOTOM Alpha with my team Comp 臨床症例報告 – 循環器領域編 フォトンカウンティングCT – NAEOTOM Alpha®が臨床成績 にもたらす影響 siemens-healthineers.com/naeotom-alpha SIEMENS Healthineers 2 フォトンカウンティングCT症例報告 循環器領域 右冠動脈遠位部の石灰化プラーク下に隠れていた病変 04 TAVR(経カテーテル大動脈弁置換術)施行前の冠動脈狭窄評価 再血行再建は必要か? 06 – 高リスクプラークを伴う広範な冠動脈石灰化 08 多枝冠動脈ステントと高リスクプラーク 11 3本のグラフトによる冠動脈バイパス術とステント治療 14 ステント内再狭窄と高リスクプラークを伴う複数の冠動脈ステント 17 高リスクプラークを伴う単枝への冠動脈ステント 20 多枝冠動脈アテローム性動脈硬化症 - 有意な狭窄はあるか? 23 外部VESTサポートを有する冠動脈伏在静脈グラフトの重度狭窄 25 フォトンカウンティングCT症例報告 3 右冠動脈遠位部の石灰化プラーク下に隠れて いた病変 Tilman Emrich(MD)1、Moritz Halfmann(MD)1、Michaela Hell(MD)2 1 Department of Diagnostic and Interventional Radiology, University Medical Center of the Johannes Gutenberg- University(ドイツ・マインツ) 2 Department of Cardiology, University Medical Center of the Johannes Gutenberg-University(ドイツ・マインツ) 経緯 脈硬化が認められましたが、それ以 によるものです。石灰化ブルーミン 62歳の女性患者が、典型的狭心症と 外に有意な狭窄は確認されませんで グは、狭窄の重症度評価に影響を及 広範な心血管リスク因子を有して胸 した。注目すべき点として、UHR再 ぼすだけでなく、プラークの正確な 痛ユニットを受診。新たに出現した 構成(0.2 mm、カーネルBv64)によ 性状評価も妨げます。そのため、線 症状、正常なトロポニン値と心電 り、右冠動脈(RCA)第3枝遠位部の 維脂肪性病変や線維性被膜といった 図、高血圧・高脂血症・肥満(BMI 石灰化プラークの表面に線維性被膜 小さいながらも臨床的に重要なプラ 35.6 kg/m2)の既往を総合的に考慮し が描出されました(最小内腔面積 ーク成分は、空間分解能の限界やブ た結果、冠動脈疾患(CAD)の事前 2.2 mm2)。一方で、同一検査の標 ルーミングアーチファクトの影響に 確率は中等度と評価されました。 準分解能再構成(0.6 mm、カーネル より、従来のcCTAでは認識できない そこで、CADの評価または除外を目 Bv40)ではこの構造が描出されず、 ことがあります。UHR PCD-cCTAは空 的として、デュアルソース型フォト 最小内腔面積は1.6 mm2にとどまっ 間分解能が改善されており、本症例 ンカウンティング検出器(PCD)CT ています。OCTにより、石灰化の下 報告が示すように、これらの限界を (NAEOTOM Alpha®)を用い、超高 に線維性被膜を伴う線維脂肪性病変 克服するための有望な技術的進展と 分解能(UHR)モードで冠動脈CT血 が確認され、最小内腔面積は なる可能性があります。前述の線維 管撮影(cCTA)が実施されました。 2.3 mm2と測定され、UHR再構成によ 性被膜を伴う線維脂肪性病変は、侵 る所見とよく一致していました。血 襲的OCTにより、実在する病変であ 診断 管造影の所見を踏まえ、再発予防を ることが確認されました。機能評価 目的としたスタチンによる積極的な を伴う侵襲的冠動脈アンギオグラフ カルシウムスコアスキャンにより、3 薬物療法が導入されました。 ィーでは血流を阻害する病変は認め 冠動脈領域すべてに石灰化を認め、 られなかったものの、Agatstonスコ 冠動脈プラーク量は重度(P3)と評 アが高く(993)、または血中コレ 価されました(カルシウム体積 コメント ステロールも高値(248 mg/dL)で 795 mm3、Agatstonスコア993)。 CADは、欧米における罹患および死 あったことから、スタチンによる積 cCTA画像では、左前下行枝(LAD) 亡の主要な原因です。cCTAは、優れ 極的な薬物療法が導入されました。 にCAD-RADS 3(中等度狭窄、50% た感度と陰性予測値を有しており、 ~69%)の病変を認め、患者の臨床 安定狭心症やCADが疑われる患者の 像とあわせて、冠血流予備量比 診断手段として、臨床で広く用いら (FFR)および光干渉断層法(OCT) れるようになってきました。ただ を用いた侵襲的冠動脈アンギオグラ し、従来のcCTA検査は、特異度と陽 フィー(ICA)の実施が決定されま 性予測値が中等度にとどまるという した。 課題を抱えています。主な原因は、 侵襲的FFRの評価により、LADの病変 石灰化ブルーミングと呼ばれるアー は血行動態に影響を及ぼすほどの狭 チファクトです。石灰化プラークや 窄ではないことが確認されました。 金属物質などの高密度構造が、実際 この病変に加えて、びまん性の冠動 よりも大きく表示されてしまう現象 4 フォトンカウンティングCT症例報告 1a 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 心臓 スキャンモード Quantum HD Cardiac スキャン長 150 mm スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 7秒 管電圧 120 kV Eff. mAs 54 mAs 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 8.8 mGy DLP 113 mGy*cm 1b ローテーションタイム 0.25秒 ピッチ 1.0 スライスコリメーション 120 × 0.2 mm スライス厚 0.2 mm 再構成間隔 0.2 mm 再構成カーネル Bv64、QIR 4 心拍数 65 bpm 造影剤 370 mg/mL 注入量 70 mL + 20 mL生理食塩水 フローレート 5 mL/秒 スタートディレイ テストボーラス + 5秒 1c 1 標準分解能(Bv40、0.6 mm)で再構成された画像(図1a)で は、RCA第3枝遠位部に石灰化プラークしか描出されていませ ん。UHR画像(Bv64、0.2 mm)(図1b)では、石灰化ブルーミ ングの軽減により、石灰化プラークの下に線維性被膜が描出され ています。同一プラークに対するOCTとの整合性評価(図1c)に より、プラークの組成が裏付けられました。 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客の意見は、各顧客固有の設 定において得られた結果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在せ ず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規模、症例の構成、ITや自動化の 導入のレベルなど)があることから、他の医療機関でも同じ結果が得られると mm 50 mm いう保証はありません。 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が販売されていない場合があ ります。今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 5 TAVR(経カテーテル大動脈弁置換術)施行前 の冠動脈狭窄評価 – 再血行再建は必要か? Hatem Alkadhi教授(MD) Diagnostic and Interventional Radiology, University Hospital(スイス・チューリッヒ) 検査プロトコル 経緯 脈再血行再建は不要と判断され、患 スキャナ NAEOTOM Alpha 重度の症候性低流量低圧較差大動脈 者はTAVR術を受けて良好な転帰を得 スキャン領域 心臓 弁狭窄を有する62歳の男性患者に対 ました。 スキャンモード Quantum HD し、経カテーテル大動脈弁置換術 Cardiac (TAVR)が予定されており、術前に コメント スキャン長 145 mm 冠動脈CTアンギオグラフィー (cCTA)が実施されました。冠動脈 冠動脈疾患が疑われる患者の診断過 スキャン方向 頭側-足側 石灰化が著しかったため、撮影には 程において、cCTAは優れた感度と陰 スキャン時間 5.5秒 超高分解能(UHR)スキャンモード 性予測値を示しています。ただし、 管電圧 120 kV が使用されました。 冠動脈石灰化が著しい患者において は依然として課題が残ります。重度 Eff. mAs 58 mAs の石灰化があると、石灰化ブルーミ 線量調整 CARE Dose4D 診断 ングが内腔狭窄の描出に影響し、狭 CTDIvol 28.8 mGy カルシウムスコアの評価では、 窄度が過大評価される可能性があり Agatstonスコアが1,188を示し、同年 ます。この欠点を克服するために DLP 471 mGy*cm 代・同性の基準の90パーセンタイル は、空間分解能の向上によってパー ローテーション 0.25秒 を上回っていました。cCTA画像の再 シャルボリューム効果を低減するこ タイム 構成には、標準解像度カーネルBv40 とが求められます[1]。 ピッチ 0.26 を用いた0.6 mmのリファレンス画像 本症例は、フォトンカウンティング スライスコリメ 120 x 0.2 mm と、より鮮鋭度の高いカーネルBv60 検出器(QuantaMax®)を搭載した ーション を用いた0.2 mmのUHR画像の2種類 新型デュアルソースCTスキャナ を使用。右冠動脈(RCA)近位部に スライス厚 0.2 mm NAEOTOM Alpha®を用いて撮影され 石灰化プラークに起因する狭窄が認 ました。このスキャナでは、空間分 再構成間隔 0.2 mm められたため、リファレンス画像と 解能が向上したエネルギー分解CT 再構成カーネル Bv40/Bv60、QIR4 UHR画像の両方を用いて血管内腔の データを取得できます。電子ノイズ 評価を行いました。リファレンス画 心拍数 74 bpm については、ノイズレベルよりも十 像は中等度の狭窄(面積84%、直径 分高いX線フォトンのみをカウントす 60%)を示していたのに対し、UHR るよう事前にデジタル閾値を設定す 造影剤 370 mg/mL 画像は軽度の狭窄(面積61%、直径 ることで除去され、画像ノイズの低 注入量 3段階による注入: 38%)を示していました。血管内腔 減を実現しています[2]。cCTAスキャ 造影剤(希釈な • の描出や狭窄の重症度評価に影響を ンには、スライスコリメーションを し)55 mL 及ぼしていた石灰化プラークのブ 120 x 0.2 mmに設定したUHRモード 造影剤20%、生 • ルーミング効果は、UHR画像では明 があらかじめ用意されており、アイ 理食塩水80%の らかに軽減されていました。左主幹 ソセンターにおける検出器のサブピ 混合液55 mL 部(LM)および左前下行枝(LAD) クセル(0.15 x 0.18 mm2 )は個別に 生理食塩水(希 • にみられた、石灰化プラークによる 読み出されます。サブピクセル間に 釈なし)20 mL 他の狭窄もUHR画像を用いて評価さ 物理的な隔壁は設けられていませ れ、いずれも直径狭窄率は50%未満 フローレート ん。散乱線を抑えるため、4 x 6個の 5.5 mL/秒 でした。UHR画像の評価から得られ サブピクセルから成る各グループ スタートディレイボーラストラッキ たcCTAの所見は、その後、侵襲的カ は、コリメータグリッドによって区 ングで上行大動脈 テーテル冠動脈アンギオグラフィー 切られています。このしくみによっ が100 HUに達した によって裏付けられています。冠動 て、検出器の幾何学的線量効率を損 時点をトリガーと し、5秒後に撮影を 開始 6 フォトンカウンティングCT症例報告 1a 1b 1c なうことなく空間分解能が向上し、 1 曲線MPR画像(図1aおよび1b)では、石灰化プラークによって生じた狭窄がRCA近位部 プラークの性状や血管内腔の形態が (矢印)に認められます。画像は、Bv40カーネルを用いて0.6 mmで再構成されたもの これまでよりも明瞭に描出されま (図1a)と、Bv60カーネルを用いて0.2 mmで再構成されたもの(図1b)です。狭窄部 を通る血管の中心線に直交する向きで撮影されたアキシャル画像が、左下隅に表示され す。画像再構成の過程で、モデル ています。 ベースの反復再構成法である 血管内腔の描出や狭窄の重症度評価に影響を及ぼしていた石灰化プラークのブルーミン Quantum Iterative Reconstruction グ効果は、UHR画像では明らかに軽減されています。侵襲的カテーテル冠動脈アンギオ (QIR)を用いることで画像ノイズは グラフィー(図1c)により、RCA近位部(矢印)の狭窄が軽度であることが裏付けら さらに低減できます。画像ノイズが れ、UHR画像での評価と一致する結果となりました。 低減されるため、UHR画像であって も、cVRT(cinematic Volume 2a 2b Rendering Technique)などの三次元 再構成に使用でき、解剖学的構造を 写実的に可視化できます。 本症例のように、cCTA検査でフォト ンカウンティングCTのUHRモードを 活用すれば、石灰化した冠動脈を、 ブルーミングの影響を抑えてより鮮 明に可視化できるようになります。 冠動脈石灰化が著しい患者の狭窄評 価に対する医師の信頼を高める効果 PR PR が期待され、冠動脈再血行再建の判 断が狭窄度に基づくことを踏まえる と、患者の管理にも有益に作用する 2 リファレンス画像とUHR画像を同一プリセットで再構成したcVRT画像(図2aおよび図 可能性があります。 2b)は、石灰化プラーク、狭窄(矢印)、微細な血管の3次元的な描出の違いを示してい ます。Bv60という鮮鋭度の高いカーネルで再構成された、厚さ0.2 mmという非常に薄 いUHR画像でも、画像ノイズが抑えられているため、高画質のcVRT画像を作成できるこ とに留意してください。 参考文献 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 [1] V. Mergen, et al.Ultra-High-Resolution 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は Coronary CT Angiography with Photon- 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 Counting Detector CT – Feasibility and の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな Image Characterization.Invest ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 Radiol.2022 Dec 1; 57(12):780-788. が得られるという保証はありません。 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が [2] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT 販売されていない場合があります。 review.Physica Medica 79 (2020) 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 126–136. フォトンカウンティングCT症例報告 7 高リスクプラークを伴う広範な冠動脈石灰化 Muhammad Taha Hagar(MD)、Christopher L. Schlett教授(MD、MPH)、Fabian Bamberg教授(MD) Department of Diagnostic and Interventional Radiology, University Medical Center Freiburg(ドイツ・フライブ ルク) 経緯 診断 64歳の男性患者が、心筋虚血および カルシウムスコアの評価では、 Agatstonスコアは1172で、同年代・ た。その後、患者は外来の循環器内 冠動脈疾患の家族歴があり、運動時 の非定型的な胸の不快感と安静時の 同性の基準の90パーセンタイルを超 科医に紹介されています。リスク要 因の是正に加えて、スタチンを用い 動悸を訴えて来院しました。血液検 えており、冠動脈プラーク量は重度 査の結果は、コレステロール値は正 (P4)と判定されました。左前下行 た積極的な予防的薬物療法、短期間 枝(LAD)近位部と右冠動脈(RCA) の臨床フォローアップが勧められま 常でしたが、トリグリセリド値がや 近位部に、広範囲にわたって石灰化 した。 や高く204 mg/dlを示していました。 直近に行われた負荷心電図検査で が認められました。石灰化ブルーミン は、最大運動負荷相および運動後初 グアーチファクトを抑え、構造をよ コメント 期相に心室性期外収縮が認められま り精細に描出するために、続くcCTA 高リスクプラーク(HRP)は、スポッ した。冠動脈疾患(CAD)の検査前確 ではUHRモードが選択され、診断に ト石灰化や30 HU未満の低吸収域、陽 率が低から中程度であったため、最 十分な画質が得られました。その結 性リモデリング、「ナプキンリング 新の国際ガイドライン[1]に基づき、 果、LADとRCAの近位部に、低吸収域 サイン」を特徴としており、かつて 症状の背景にある運動誘発性冠不全 プラーク成分(<30HU)と陽性リモ は「脆弱プラーク」と呼ばれていま の可能性を除外する目的で、デュア デリングを特徴とする高リスク性状 した。これらのプラークは、狭窄の ルソース型フォトンカウンティング の混合プラークが2つ確認されまし 重症度にかかわらず、将来的に急性 CT(PCCT)であるNAEOTOM Alpha® た。LADとRCAの近位部には、軽度の 冠動脈症候群(ACS)や病変特異的な を用い、超高分解能(UHR)モード 冠動脈狭窄(25~49%)が認められ 虚血のリスクを高めることが知られ (Quantum HD Cardiac)で冠動脈CT ました。一方、回旋枝(Cx)には、 ています。HRPはCAD-RADSの推奨に アンギオグラフィー(CCTA)が実施 非石灰化プラークはあるものの、狭 おいてモディファイアとして組み込 されました。 窄は認められませんでした。左心室 まれており、HRPの同定は、たとえ病 は正常な大きさで、駆出率(EF)も 変が非閉塞性であっても、より積極 69%と正常であり、肥大は認められま 的な予防的治療の必要性を示唆する せんでした。 ものとされています[2]。研究によれ CAD-RADS 2.0の コンセンサスステー ば、主要心血管有害事象(MACE)を トメント[2]に基づき、本症例のCCTA 引き起こす原因プラークの半数は、 はCAD-RADS 2/P4/HRPに分類されまし 以前には50%未満の狭窄しか認めら 1a 1b 1 カルシウムスコアリングスキャンによる アキシャル画像では、LAD近位部(図 1a)およびRCA近位部(図1b)に広範 な石灰化が認められ、Agatstonスコア は1172と高く、同年代・同性の基準の 90パーセンタイルを超えていました。 8 フォトンカウンティングCT症例報告 れなかった病変から発生しています 症例では、画像撮影にスライスコリ 性冠動脈疾患の除外が可能となりま [3]。患者ごとのリスクを正確に層別 メーション120 x 0.2 mm、画像再構 す。Quantum HD Cardiacがもたら 化することは、患者の管理において 成に鮮鋭度の高いカーネル(Bv64) す高画質により、CT所見は患者のリ 非常に重要です。この症例では、コ を用いたUHRモードが適用されまし スク層別化に寄与するとともに、患 レステロール値が高くなく、重度の た。このスキャンモードは、現在 者を管理する際の指針として役立ち 冠動脈狭窄も認められないものの、 PCCTでのみ利用できる特別なもの ます。本症例では、CT評価後に侵襲 広範な冠動脈石灰化に加え、年齢や です[4]。近年の臨床研究では、広 的なアンギオグラフィーが不要とな 家族歴を踏まえて、スタチン療法が 範な石灰化がみられる場合でも、こ り、関連する費用を抑えることがで 第一の適応となります。ただし、HRP のモードを用いた冠動脈評価で高い きました。 が認められた場合には、よりきめ細 成功率と診断精度が得られること かな経過観察と、病変ごとのプラー が報告されています[5]。さらに、 ク進行に対する画像モニタリングが Quantum Iterative Reconstructionを 必要となり、患者管理の方針も、よ 最大強度(QIRレベル4)で用いるこ り個別性と病変特異性を重視した対 とにより画像ノイズがさらに低減さ 応が求められるようになります。 れ、画像の鮮明度が向上します。 CT画像でHRPの性状を正確に把握す るには、空間・時間分解能を最適化 本症例が示すように、UHRモードの するとともに、石灰化プラークによ CCTAを活用すれば、重度の冠動脈 るブルーミングアーチファクトを可 石灰化があっても、患者の心臓の 能な限り抑える必要があります。本 状態について極めて有用な情報が 得られ、医師はHRPの同定や、閉塞 2a 8 mm 2b +0.8 mm 2c +0.8 mm LAD RCA CX +0.6 mm +0.6 m +0.6 mm .4 mm +0.4 m +0.4 mm +0.2 mm +0.2 mm +0.2 mm 0.0 mm 0.2 0.0 mm 0.2 0.0 mm 0.2 -0.2 mm -0.2 mm -0.2 mm -0.4 mm -0.4 mir 0.4 mm -0.6 mm -0.6 mm -0.6 mm -0.8 mm min -0.8 mm SL min -0.8 mm SL min 2 冠動脈の曲面多断面再構成(MPR、0.2 mm)では、LAD近位部(図2a)およびRCA近位部(図2b)に、非閉塞性狭窄(50%未満)が認め られ、石灰化が広範囲に存在するにもかかわらず、血管腔は明瞭で、ブルーミングアーチファクトの影響はほとんどみられませんでした。 低吸収域プラーク成分(30HU未満)と陽性リモデリングを特徴とする、高リスク性状を伴う混合プラークが2つ、LADとRCAの近位部に認 められます。一方、Cx(図2c)には、非石灰化プラークはあるものの、狭窄は認められません。 フォトンカウンティングCT症例報告 9 参考文献 3a 3b [1] J. Knuuti, et al.2019 ESC Guidelines for the diagnosis and management of chronic coronary syndromes.The Task Force for the diagnosis and management of chronic coronary syndromes of the European Society of Cardiology (ESC), Russ.J. Cardiol.25 (2020) 119–180. https://doi.org/10.15829/1560-4071- 2020-2-3757. [2] R.C. Cury, et al.CAD-RADS™ 2.0 – 2022 Coronary Artery Disease – Reporting and Data System:An Expert Consensus Document of the Society of Cardiovascular Computed Tomography (SCCT), the American College of Cardiology (ACC), the American College of Radiology (ACR), and the North 3 3次元シネマティックレンダリング画像では、LADとRCAの近位部に存在する石灰化プラ ーク(青色)が強調されています。レンダリングに使用された画像は、0.2 mmのスライ America Society of Cardiovascular ス厚と鮮鋭度の高いBv64カーネルで再構成されていることに留意してください。 Imaging (NASCI), J. Cardiovasc.Comput. Tomogr.16 (2022) 536–557. https://doi. org/10.1016/j.jcct.2022.07.002. 検査プロトコル [3] J. Taron, et al.A review of serial coronary computed tomography angiography スキャナ NAEOTOM Alpha (CTA) to assess plaque progression and therapeutic effect of anti-atherosclerotic スキャン領域 心臓 心臓 drugs.Int J Cardiovasc Imaging.2020 December ; 36(12):2305–2317. スキャンモード カルシウムスコア、 CCTA、 doi:10.1007/s10554-020-01793-w. Turbo Flashモード UHRモード スキャン長 [4] V. Mergen, et al.Ultra-High-Resolution 138 mm 124.5 mm Coronary CT Angiography With スキャン方向 頭側-足側 頭側-足側 Photon-Counting Detector CT:Feasibility and Image Characterization, Invest. スキャン時間 0.18秒 8.8秒 Radiol.(2022). https://doi.org/10.1097/ RLI.0000000000000897. 管電圧 90 kV 120 kV Eff. mAs 12 mAs 48 mAs [5] M.T.Hagar, et al.Accuracy of Ultrahigh- Resolution Photon-counting CT for 線量調整 CARE Dose4D CARE Dose4D Detecting Coronary Artery Disease in a CTDIvol 0.85 mGy 29.9 mGy High-Risk Population, Radiology. 307 (2023) e223305. https://doi. DLP 16.7 mGy*cm 421 mGy*cm org/10.1148/radiol.223305. ローテーションタイム 0.25秒 0.25秒 ピッチ 3.2 0.15 スライスコリメーション 144 x 0.4 mm 120 x 0.2 mm スライス厚 2.0 mm 0.2 mm 再構成間隔 2.0 mm 0.1 mm 再構成カーネル Bv40 Bv64、QIR 4 再構成マトリクス 512 x 512 1024 x 1024 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 心拍数 47 bpm 51 bpm の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 造影剤 該当なし 370 mg/mL の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 注入量 該当なし 85 mL + 49 mL生理食 が得られるという保証はありません。 塩水 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が フローレート 該当なし 6 mL/秒 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 スタートディレイ 該当なし テストボーラス 10 フォトンカウンティングCT症例報告 多枝冠動脈ステントと高リスクプラーク Muhammad Taha Hagar(MD)1、Tobias Krauss(MD)1、Constantin von zur Mühlen(MD)2、Fabian Bamberg(MD、MPH)1 1 Department of Radiology, University of Freiburg(ドイツ・フライブルク) 2 Department of Cardiology, University of Freiburg(ドイツ・フライブルク) 経緯 (LAD)遠位部に、そして1本の大き に強力な電界によって区切られてい 非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)を発 なステント(3 mm)は回旋枝(Cx) るため、放射線の線量効率を低下さ 症した48歳の男性患者が、2年前に 遠位部に配置されています。いずれ せることなく、サブピクセルの微細 経皮的冠動脈インターベンション のステントにも、ステント内狭窄は 化が可能となっています。その結 (PCI)および多枝冠動脈ステント留 確認されていません。RCA近位部に 果、110 × 110 × 160 µm3 という高い 置術を施行されました。この患者に は非石灰化プラークがみられ、軽度 空間分解能での撮影が実現されてい は、冠動脈疾患(CAD)において一 の狭窄(25~49%)が生じていまし ます[4]。 般的にみられる危険因子はありませ た。LADの近位部および中間部に んでした。この予想外の出来事は患 は、高リスクプラーク(HRP)であ これらの技術的進歩の意義は、近年 者の生活に深刻な影響を与え、大き るスポット石灰化と陽性リモデリン の研究により明らかになっていま なストレスとパニック発作を招き、 グの性状を示す非石灰化プラークが2 す。PCD-CTは、非侵襲的なステント その結果、複数回にわたり救急外来 か所で認められ、軽度の狭窄を来し 評価において、従来のエネルギー積 を受診する事態となります。この患 ていました。CT所見はCAD-RADS 2/ 分型検出器(EID)CTと比較してアー 者は、副作用のためスタチン療法も P2/HRP/Sに分類されています。症状 チファクトの低減と画質の向上に寄 中止しています。比較的若年である が急性ではなかったため、以後の侵 与する可能性のあることがわかりま ことに加え、症状に対する精神的負 襲的精査は不要と判断されました。 した[5]。ヒトおよびファントムを対 担の大きさも考慮され、フォローア 象とする初期の研究では、特に鮮鋭 ップにはカテーテル検査のような侵 コメント 度の高い血管用畳み込みカーネルを 襲的手法ではなく、非侵襲的な診断 用いた場合に、UHR PCD-CTによるス 法が選択されました。そこで、冠動 CCTAは、低リスクから中リスクの患 テント評価で有望な結果が得られて 脈プラーク量や関連リスク、ステン 者における閉塞性CADの除外に不可 います[6,7]。このアプローチによ トの開存性を評価するため、デュア 欠な診断手段です[1]。既存のCADを り、in vivoでのステント内腔の最適 ルソースのフォトンカウンティング 有する患者に対しては一般に使用が な視覚化が可能となり、最近の研究 検出器(PCD)を搭載した新型CTス 控えられる傾向にありますが、アメ では、侵襲的血管造影を基準とした キャナであるNAEOTOM Alpha®に リカ心臓協会の最新のガイドライン ステント開存性評価において、陰性 て、超高分解能(UHR)スキャンモ では、ガイドラインに基づく管理お 予測値が100%に達したと報告されて ード(Quantum HD Cardiac)による よび治療を行っているにもかかわら います[8]。 冠動脈CTアンギオグラフィー ず症状の変化がみられる患者に対し て、直径3 mm以上のステントが留置 本症例では、Quantum HD Cardiac (CCTA)が施行されました。CTスキ されている場合にはその開存性を評 CTの活用により、ステントの開存性 ャンに向けた準備として、患者には および冠動脈疾患を非侵襲的に評価 メトプロロール10 mgが静脈投与さ 価することの有用性が認められてい でき、患者にとって有益な結果とな れ、さらにニトログリセリンが舌下 ます[2]。 りました。また、HRPが検出された に2回投与されました。 重度の石灰化プラークやステント素 材によるブルーミングアーチファ ことから、より積極的な予防的薬物 診断 クトが診断を困難にし、この点が 療法が求められます。スタチンに対 CCTAの活用を妨げる一因となって して副作用があったことから、LDLコ UHR CCTA画像で、径の異なる(*)5 いました[3]。こうした課題を克服 レステロールを効果的に低下させる する手段として、新たに登場した ことが報告されているPCSK9阻害薬 本のステントが開存していることが やエゼチミブなどの代替薬が選択肢 判明しました。1本(4 mm)は右冠 PCD-CT技術は大きな進歩といえま となります[9]。また、標的病変は認 動脈(RCA)近位部に、もう1本の小 す。この技術では、入射したX線光 子を半導体で直接変換する方式が採 められなかったため、追加の侵襲的 さなステント(2.5 mm)はRCA遠位 部の後外側枝に、2本の連結されたス 用されています。検出器の個々のピ 精査は不要と判断されました。患者 テント(3.5 mm)は左前下行枝 クセルは、セプタ(隔壁)を用いず が自覚した症状は特異性がなく、以 フォトンカウンティングCT症例報告 11 1a 1b 1c 1 曲線MPR画像では、径の異なる 5本のステントが開存している ことが示されています。1本(4 mm)はRCA近位部に、もう1本 の小さなステント(2.5 mm)は RCA遠位部の後外側枝に認めら れます(図1a)。2本連結され たステント(3.5 mm)はLAD遠 位部に位置し(図1b)、さらに 1本の大きなステント(3 mm) はCx中間部に確認されます(図 1c)。RCA遠位部の小さなステ ントを含め、すべてのステント においてステント内再狭窄の所 見は認められませんでし た。RCA近位部には非石灰化プ ラーク(図1a、矢印)がみら れ、軽度の狭窄が生じていま す。LADの近位部および中間部 には、さらに2つの非石灰化プ ラークがみられ、軽度の狭窄を 引き起こしています(図1b、矢 印)。ステントストラットと石 灰化プラークの構成成分を明瞭 に識別できることがわかります (図1c)。 前からあるCADの進行によるものと は、非侵襲的技術の利用拡大につな は考えにくいとされました。 がる可能性があります。PCD-CTの臨 総じて、PCD-CTはステント留置患者 床応用が進み、使用経験や科学的根 の評価において高い精度を示し、心 拠が蓄積されていくにつれ、この技 臓画像診断における有用性が確認さ 術はやがて診療方針に変化をもたら れました。この信頼性の高い手法 し、臨床ガイドラインに影響を及ぼ す可能性があります。 * ステントの直径はCT画像上で測定されました。紹介元が外部であるため、ステントの具体的なサイズは不明です。 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 心臓 ローテーションタイム 0.25秒 スキャンモード UHR mode ピッチ 0.16 (Quantum HD Cardiac) スライスコリメーション 120 × 0.2 mm スキャン長 129.6 mm スライス厚 0.2 mm スキャン方向 頭側-足側 再構成間隔 0.1 mm スキャン時間 7.6秒 再構成マトリクス 1024 × 1024 管電圧 120 kV 再構成カーネル Bv60 / Bv72(QIRレベル4 ) Eff. mAs 59 mAs IQレベル 79 造影剤 線量調整 370 mg/mL CARE Dose4D 注入量 80 mL + 50 mL生理食塩水 CTDIvol 41.4 mGy フローレート 6.0 mL/秒 DLP 581 mGy*cm スタートディレイ テストボーラス 12 フォトンカウンティングCT症例報告 2a 2b 2 キシャル画像および曲線 MPR画像において、LADの近 位部と中間部に、HRPの性状 であるスポット石灰化と陽 性リモデリングを有する非 石灰化プラークが2か所で認 められ、軽度の狭窄を引き 起こしています(矢印)。 3a 3b 3 2枚のシネマティックレンダ リング画像では、径の異な る5本のステントの開存状況 が概観されます。1本(4 mm)はRCA近位部に、も う1本の小さなステント (2.5 mm)はRCA遠位部の 後外側枝に認められます。2 本連結されたステント(3.5 mm)はLAD遠位部に位置 し、さらに1本の大きなステ ント(3 mm)はCx中間部 に確認されます。軽度の狭 窄が、RCA近位部、LAD近 位部、LAD中間部に認めら れます(矢印)。 P 参考文献 [1] Knuuti J.2019 ESC Guidelines for the [4] Mergen V, Sartoretti T, Baer-Beck M, et [8] Hagar MT, Soschynski M, Saffar R, et diagnosis and management of chronic al.Ultra-High-Resolution Coronary CT al.Ultra-high-resolution photon-counting coronary syndromes The Task Force for Angiography With Photon-Counting detector CT in evaluating coronary stent the diagnosis and management of Detector CT:Feasibility and Image patency:a comparison to invasive chronic coronary syndromes of the Characterization.Invest coronary angiography.Eur Radiol.2024; European Society of Cardiology (ESC). Radiol.2022;57(12):780–788. doi:10.1007/s00330-023-10516-3. Russ J Cardiol.2020;25(2):119–180. doi:10.1097/RLI.0000000000000897. doi:10.15829/1560-4071-2020-2-3757. [9] Hao Q, Aertgeerts B, Guyatt G, et [5] Boccalini S, Si-Mohamed SA, Lacombe H, al.PCSK9 inhibitors and ezetimibe for the [2] Gulati M, Levy PD, Mukherjee D, et et al.First In-Human Results of Computed reduction of cardiovascular events:a al.2021 AHA/ACC/ASE/CHEST/SAEM/SCCT/ Tomography Angiography for Coronary clinical practice guideline with risk- SCMR Guideline for the Evaluation and Stent Assessment With a Spectral Photon stratified recommendations. Diagnosis of Chest Pain:A Report of the Counting Computed Tomography. BMJ.2022;377:e069066. doi:10.1136/ American College of Cardiology/American Invest Radiol.2022;57(4):212–221. bmj-2021-069066. Heart Association Joint Committee on doi:10.1097/RLI.0000000000000835. Clinical Practice Guidelines.Circulation. American Heart Association; 2021; [6] Geering L, Sartoretti T, Mergen V, et 144(22):e368–e454. doi:10.1161/ al.First in-vivo coronary stent imaging with clinical ultra high resolution CIR.0000000000001029. photon-counting CT.J Cardiovasc Comput 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 [3] Pack JD, Xu M, Wang G, Baskaran L, Min J, Tomogr.2023;S1934-5925(23)00085-0. 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は De Man B. Cardiac CT blooming doi:10.1016/j.jcct.2023.02.009. 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 artifacts:clinical significance, root causes and potential solutions.Visual Computing [7] Decker JA, O’Doherty J, Schoepf UJ, et の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 for Industry, Biomedicine, and al.Stent imaging on a clinical dual-source が得られるという保証はありません。 Art.2022;5(1):29. photon-counting detector CT system- doi:10.1186/s42492-022-00125-0. impact of luminal attenuation and sharp 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が kernels on lumen visibility.Eur 販売されていない場合があります。 Radiol.2023;33(4):2469–2477. 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 doi:10.1007/s00330-022-09283-4. フォトンカウンティングCT症例報告 13 3本のグラフトによる冠動脈バイパス術とステ ント治療 Lili Száraz(MD)、Pál Maurovich-Horvat教授(MD、PhD、MPH)、Bálint Szilveszter(MD、PhD) Semmelweis University, Medical Imaging Center(ハンガリー・ブダペスト) 経緯 46歳の男性患者が、非典型的な胸痛 (IM)に端側吻合されていました。 後の評価において使用頻度が高まっ を訴えて病院を受診。この患者は喫 いずれのグラフトおよび吻合部も良 ています[1]。一方、冠動脈ステント 煙歴と高血圧の既往があり、心血管 好に開存しており、狭窄や閉塞は認 の開存性評価におけるCCTAの使用に リスクが高い状態でした。5年前、患 められませんでした。RCAの起始部 ついては、従来型CTを用いる場合、 者は非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI) から中間部にかけて、3本の連結ス 米国心臓協会(AHA)のガイドライ を発症し、左冠動脈系に対する3本 テント(直径3 mm、全長71 mm) ンにおいて、指針に沿った管理と治 のグラフトによる冠動脈バイパス術 が留置されており、ステント内再狭 療にもかかわらず症状の変化がみら (CABG)および右冠動脈(RCA)へ 窄は認められませんでした。 れる患者に対しては、ステント径3 の薬剤溶出ステント(DES)3本によ mmが評価可能な下限とされていま るステント留置術を受けています。 生来の冠動脈には広範な石灰化が認 す[2]。 当時、RCAへのバイパス術は適切で められ、左冠動脈主幹部(LM)およ はないと判断されました。患者は、 び後下行枝(PDA)には中等度狭窄 最近の研究では、PCD-CTのUHRモー アスピリン、クロピドグレルおよび (50~69%)、LAD近位部には重度 ドを用いることで、冠動脈ステント β遮断薬を含む薬物療法レジメンを 狭窄(70~99%)、LAD中間部、Cx の開存性評価において、侵襲的アン 継続していました。グラフト、吻合 近位部、Cx中間部には閉塞が認めら ギオグラフィーを基準とした場合の 部、ステントの開存性を評価するた れました。冠動脈系は右冠動脈優位 陰性予測値100%が達成されました めに、CTによるフォローアップ検 でした。Cxは細く脆弱であり、イン [3]。この成果は、ステントイメー 査が実施されました。実施されたの ターベンションの適応とは判断され ジングにおいて、PCD-CTが今後よ は、デュアルソースのフォトンカウ ませんでした。心臓の構造に異常は り良い精度をもたらす可能性がある ンティング検出器CT(PCD-CT)であ 認められませんでした。 ことを示唆しています。デュアル るNAEOTOM Alpha®を用いた超高分 ソースの原理により得られる高い時 解能(UHR)冠動脈CTアンギオグラ CCTAの所見を踏まえ、以後の侵襲的 間分解能(66 ms)と、PCD-CTに フィー(CCTA)です。 検査は検討されず、患者にはスタチ よる空間分解能向上が組み合わさる CTスキャンに先立ち、患者にはメト ン療法の強化が推奨されました。 ことで、ステントストラットや石灰 プロロール50 mgの経口投与と硝酸 化によるブルーミングアーチファク 薬0.8 mgの舌下スプレー投与が行わ れました。 コメント トを効果的に抑えながら、最適な画 質が得られます[4]。フォトンカウ CABGおよび冠動脈ステント留置術 ンティング検出器では、個々の検出 診断 は、閉塞性冠動脈疾患の患者におい 素子を層構造により分離して光学的 て、心筋血流の改善と症状の緩和を クロストークを防ぐ必要がありませ CCTA画像により、3本の冠動脈バイ 目的として施行されます。長期的な ん。検出器の個々のピクセルは、強 パスグラフトと3か所の冠動脈吻合 臨床成績は、グラフト、吻合部、ス 力な電界によって区切られていま 部が確認されました。左内胸動脈 テントの開存性に左右されます。グ す。そのため、シンチレーション型 (LIMA)グラフトは左鎖骨下動脈 ラフトの開存性評価には従来、侵襲 検出器よりも微細な構造が可能であ (LSA)を起始とし、LADの遠位部 的冠動脈アンギオグラフィー(ICA) り[5]、放射線の線量効率を保った に端側吻合されていました。右大伏 が用いられてきましたが、この検査 まま、小さなサブピクセルの実現が 在静脈(SVG)グラフト2本は上行大 には合併症のリスクや技術的な困難 可能となります。 動脈前壁を起始とし、主肺動脈の前 が伴います。この10年間で、CCTAは 本症例では、3本のCABG、ステン を通る経路をとって、それぞれLAD 非侵襲的で、1回の造影剤投与と短 ト、生来の冠動脈のいずれの開存性 の第1斜行枝(D1)および中間枝 時間の撮影でグラフト全体の走行を も、臨床医がUHR画像を用いて良好 確実に描出できることから、CABG術 14 フォトンカウンティングCT症例報告 1a 1b 1 Cinematic VRT画像には、3本のバイパスグラフトがすべて開存している様子が描出されています。LAD遠位部に吻合されたLIMAグラフト (矢じり)と、LADのD1(矢印)、IM(点線矢印)に吻合された2本のSVGが確認されます。また、ステント留置されたRCAも開存してい ます。 2a 2b 2c 2d 2 吻合部の開存性を示す曲線MPR画像(矢印):LIMA:LAD遠位部(図2a~2b)、SVG:D1(図2c)、SVG:IM(図2d) に評価することができました。標的 病変が認められなかったことから、 さらなる侵襲的精査は不要と判断さ れ、本症例では侵襲的冠動脈アンギ オグラフィーに伴うリスクや費用が 回避されました。 フォトンカウンティングCT症例報告 15 検査プロトコル 3 スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 心臓 スキャンモード UHR mode (Quantum HD Cardiac) スキャン長 226.8 mm スキャン方向 足側-頭側 スキャン時間 13.4秒 管電圧 120 kV Eff. mAs 61 mAs IQレベル 64 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 35.3 mGy DLP 838 mGy*cm ローテーションタイム 0.25秒 ピッチ 0.18 スライスコリメーション 120 × 0.2 mm スライス厚 0.2 mm 再構成間隔 0.2 mm 3 RCAに留置された3本の連結ステントは 再構成カーネル Bv64、QIR3 開存しており、ステント内の再狭窄は認 められない(曲線MPR画像)。PDAに 再構成マトリクス 1024 × 1024 は、主に石灰化プラークに起因する中等 心拍数 66~73 bpm 度の狭窄が認められる。 造影剤 イオメロン400 mg/mL 注入量 4段階注入プロトコル: 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 生理食塩水(希釈なし)10 mL • の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 造影剤(希釈なし)83 mL 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は • 造影剤40%、生理食塩水60%の混合液 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 • の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな 30 mL ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 生理食塩水(希釈なし)50 mL が得られるという保証はありません。 • フローレート 5 mL/秒 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 スタートディレイ ボーラストラッキングで左心房が150 HU 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 に達した時点をトリガーとし、3秒後に撮 影を開始 参考文献 [1] K. M. Elmaghraby, et al.Multi‑slice CT American Heart Association Joint [4] Vattay B, et al.Qualitative and coronary angiography versus invasive Committee on Clinical Practice quantitative image quality of coronary coronary angiography in the assessment Guidelines.Circulation.American Heart CT angiography using photon-counting of graft patency after coronary artery Association; 2021;144(22):e368–e454. computed tomography:Standard and bypasses graft surgery.The Egyptian doi:10.1161/CIR.0000000000001029. Ultra-high resolution protocols.Eur J Heart Journal (2023) 75:100. doi. Radiol.2024 Jun;175:111426. org/10.1186/s43044-023-00424-8. [3] Hagar MT, Soschynski M, Saffar R, et al.Ultra-high-resolution photon-counting doi:10.1016/j.ejrad.2024.111426.Epub 2024 Mar 12.PMID:38493558. [2] Gulati M, Levy PD, Mukherjee D, et detector CT in evaluating coronary stent al.2021 AHA/ACC/ASE/CHEST/SAEM/ patency:a comparison to invasive [5] Flohr T, Schmidt B, Ulzheimer S, Alkadhi SCCT/ SCMR Guideline for the Evaluation coronary angiography.Eur Radiol.2024; H. Cardiac imaging with photon and Diagnosis of Chest Pain:A Report of doi:10.1007/s00330-023-10516-3. counting CT.Br J Radiol (2023) 10.1259/ the American College of Cardiology/ bjr.20230407. 16 フォトンカウンティングCT症例報告 ステント内再狭窄と高リスクプラークを伴う複 数の冠動脈ステント Yujie Gao(MD)1、Song Luo(MD)1、Xi Zhao(MD)2 1 Department of Radiology, Geriatric Hospital of Nanjing Medical University(中国・江蘇省) 2 Siemens Healthineers(中国) 経緯 76歳の男性患者が、動悸と胸の圧迫 た。CT所見はCAD-RADS 4/P2/HRP/ フォトンカウンティング検出器で 感を訴えて来院。14年前、本患者 Sに分類されています。患者にはイ は、個々の検出素子を層構造により は冠動脈ステント留置術を受けてお ンターベンション(冠動脈血管形成 分離して光学的クロストークを防ぐ り、左主幹部(LM)と左前下行枝 術)が推奨されましたが、本人はこ 必要がありません。そのため、シン (LAD)には3本の重複ステントが、 れを希望せず、薬物療法を継続しま チレーション型検出器よりも微細な 回旋枝(Cx)には1本のステントが した。 構造が可能です[4]。 留置されていました。11年後にエ 物理的な隔壁ではなく電界を用いて ネルギー積分型検出器(EID)CTを 用いて実施された冠動脈CTアンギオ コメント より小さなサブピクセルを定義し、 それぞれを個別に読み出すことで空 グラフィーによるフォローアップ検 冠動脈ステント留置術は、冠動脈の 間分解能が向上します。この仕組み 査では、以後の治療介入を要する所 再血行再建によって心筋への血流を により、検出器における幾何学的な 見はなく、結果は良好であり、その 改善することを目的に、一般的に行 線量効率も向上します。空間分解能 後の治療には薬物療法が用いられま われています。長期的な臨床成績 の向上に加え、66 msという高い時間 した。今回、冠動脈とステントの開 は、ステントの開存性に左右されま 分解能との相乗効果により、ブルー 存性を評価するため、デュアルソー す。米国心臓協会のガイドライン ミングアーチファクトを効果的に抑 ス型フォトンカウンティング検出器 では、直径3 mm以上の冠動脈ステ 制できます[5]。 (PCD)CTであるNAEOTOM Alpha® ントの開存性を評価する手段とし を用いて、ECG同期シーケンシャル て、CCTAの有用性が認められていま 本症例では、UHRモードを用いてス 超高分解能(UHR)CCTAが施行され す[1]。 テントの開存性や、非石灰化プラー ました。 ただし、重度の石灰化プラークやス クによるステント内再狭窄、高リス テントストラットによるブルーミン クプラーク(HRP)を適切に評価でき 診断 グアーチファクトの影響で冠動脈内 ており、臨床医は状況に応じた適切 腔が見えにくくなり、診断が困難と な治療とフォローアップ計画を立案 CCTA画像から、LM、LAD近位 なる場合があります。デュアルソー する上で必要な情報を得ることがで 部、LAD中間部に3本のステントが重 スCTの原理による時間分解能の向 きました。 なって留置され、Cx近位部には1本 上、スキャンプロトコルの最適化、 のステントが留置されていることが 反復再構成アルゴリズムの改良な 確認されました。ほぼすべてのステ ど、CT技術は、ステントイメージン ントは開存していましたが、Cxに留 グに対するCCTAの診断精度を高める 置されたステントのみ例外であり、 べくさまざまな面で改良が重ねられ 遠位部のステント内に非石灰化プ てきました。UHRモードを搭載した ラークが存在し、重度の狭窄(70% デュアルソースPCD-CTの導入によっ 超)を引き起こしていました。右冠 て、この分野はさらなる発展を遂げ 動脈(RCA)中間部にも、高リスク ています。最近の研究では、PCD-CT 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 プラーク(HRP)の性状であるスポ のUHRモードを用いることで、冠動 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は ット石灰化と陽性リモデリングを伴 脈ステントの開存性評価において、 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 う非石灰化プラークが認められ、 侵襲的アンギオグラフィーを基準と の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな 軽度の狭窄(50%未満)を生じてい した場合の陰性予測値100%が達成さ ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 が得られるという保証はありません。 ました。LM、LAD近位部、RCA中間 れました[2]。 部、Cx近位部に石灰化プラークが PCD-CTでは、電子ノイズの影響を受 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 複数認められましたが、いずれも有 けずに、高い空間分解能でエネルギ 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 意狭窄は引き起こしていませんでし ー分解CTデータが得られます[3]。 フォトンカウンティングCT症例報告 17 症例報告 · xxx LAD LAD LAD 1d LAD 1a 1b 1c 1 LMおよびLADの曲線MPR画像。異なる再構成条件による比較を示しています。図1aは0.2 mm/カーネルBv72(PCD-CT)、図1bは0.2 mm/ カーネルBv60(PCD-CT)、図1cは0.6 mm/カーネルBv48(PCD-CT)、図1dは0.75 mm/カーネルBv49(EID-CT)を示しています。スライ ス厚0.2 mm、カーネルBv72で再構成された画像には、ステントの開存性が明瞭に描出されています。 2a CX 2b CX 2c CX 2d CX 2 Cxの曲線MPR画像。異なる再構成条件による比較を示しています(順序は図1と同じ)。スライス厚0.2 mm、カーネルBv72で再構成され た画像には、重度の狭窄を引き起こしている遠位部ステント内の非石灰化プラーク(図2a、矢印)が明瞭に描出されています。 RCA RCA 3a 3b RCA RCA 3c 3d 3 RCAの曲線MPR画像。異なる再構成条件による比較を示しています(順序は図1、図2と同じ)。 スライス厚0.2 mm、カーネルBv72で再構成された画像には、軽度の狭窄を引き起こしているRCA中間部のスポット石灰化と陽性リモデリ ングを伴うHRP(矢印)が明瞭に描出されています。 18 フォトンカウンティングCT症例報告 4a 4b 4 CxとRCAの曲線MPR画像(それぞれ図 4a、図4b)。遠位Cxステント内に形成 された非石灰化プラークによる重度のス テント内狭窄(図4a、矢印)と、RCA中 間部に認められる、HRPの性状であるス ポット石灰化と陽性リモデリングを有す る非石灰化プラーク(図4b、点線矢 印)の拡大像が描出されています。画像 は、スライス厚0.2 mm、カーネルBv72 で再構成されたものです。 5a 5b 5 冠動脈の立体的な構造を描出した Cinematic VRT画像。ステントと石灰化 プラークが強調表示されています。使用 されたアキシャル画像は、スライス厚 0.2 mm、カーネルBv72で再構成された ものです。 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 心臓 ローテーションタイム 0.25秒 スキャンモード UHR(Quantum HD Cardiac)、 スライスコリメーショ 120 × 0.2 mm プロスペクティブECGトリガー法 ン によるシーケンシャルモード スライス厚 0.2 mm スキャン長 128.8 mm 再構成間隔 0.2 mm スキャン方向 頭側-足側 再構成カーネル Bv60 / Bv72、QIR4 スキャン時間 10秒 心拍数 59~61 bpm 管電圧 120 kV Eff. mAs 58 mAs 造影剤 350 mg/mL IQレベル 85 注入量 52 mL + 40 mL生理食塩水 線量調整 CARE Dose4D フローレート 4 mL/秒 CTDIvol 11.8 mGy スタートディレイ ボーラストラッキングで下行大 DLP 152 mGy*cm 動脈が100 HUに達した時点をト リガーとし、6秒後に撮影を開始 参考文献 [1] Gulati M, Levy PD, Mukherjee D, et [2] Hagar MT, Soschynski M, Saffar R, et [4] Flohr T, Schmidt B, Ulzheimer S, Alkadhi al.2021 AHA/ACC/ASE/CHEST/SAEM/ al.Ultra-high-resolution photon-counting H. Cardiac imaging with photon SCCT/ SCMR Guideline for the Evaluation detector CT in evaluating coronary stent counting CT.Br J Radiol (2023) 10.1259/ and Diagnosis of Chest Pain:A Report of patency:a comparison to invasive bjr.20230407. the American College of Cardiology/ coronary angiography.Eur Radiol.2024; American Heart Association Joint doi:10.1007/s00330-023-10516-3. [5] Vattay B, et al.Qualitative and Committee on Clinical Practice quantitative image quality of coronary Guidelines.Circulation.American Heart [3] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT CT angiography using photon-counting Association; 2021;144(22):e368–e454. review.Physica Medica 79 (2020) computed tomography:Standard and doi:10.1161/CIR.0000000000001029. 126–136. Ultra-high resolution protocols. Eur J Radiol.2024 Jun;175:111426. doi:10.1016/j.ejrad.2024.111426. Epub 2024 Mar 12.PMID:38493558. フォトンカウンティングCT症例報告 19 高リスクプラークを伴う単枝への冠動脈ステント Jie Liu(RT)1、Yanbo Gu(RT)1、Yonggao Zhang(MD)1、Jianbo Gao(MD)1、Xi Zhao(MD)2 1 Department of Radiology, The First Affiliated Hospital of Zhengzhou University(中国・河南省) 2 Siemens Healthineers(中国) 経緯 60歳の男性患者が、1か月前から断 れ、それぞれ軽度の狭窄を生じてい しか認められなかったことが研究で 続的に続く胸の痛みと息切れを訴 ました。左主幹部(LM)、左前下行 え、検査目的で来院。本患者は4年 明らかになっています[3]。 枝(LAD)の近位部および中間部、回 前に心筋梗塞を発症し、左前下行枝 旋枝(Cx)、右冠動脈(RCA)に複 冠動脈ステントの開存性やHRPを (LAD)に対して、3.5 mm x 20 mm 数の石灰化プラークが認められまし CCTAで評価することは、技術的課 および3.0 mm x 38 mmの2本のステ たが、いずれも有意な狭窄は引き起 題を伴い、高い空間分解能と時間分 ントを連結して用いた冠動脈ステン こしていませんでした。左心室は拡 解能の両立が求められます。デュア ト留置術を受けていました。1年後 大しており、心尖部には動脈瘤が認 ルソースのPCD-CTであるNAEOTOM に肺癌と診断され、化学療法による められました。冠動脈系は右冠動脈 Alphaの登場により、こうした技術 治療が行われました。6か月前に従来 優位でした。 型のエネルギー積分型検出器(EID) 的課題に対する改善の可能性が見え てきました。 CTを用いて実施された冠動脈CTア ンギオグラフィー(CCTA)による CT所見はCAD-RADS 2/P2/HRP/Sに分 PCD-CTにおけるUHRモードは、従来 類されています。以後の侵襲的精査 のEID-CTとは仕組みが異なります。 フォローアップ検査では、左心室心 は検討されませんでした。患者は、 EID-CTでは、検出器のピクセルを分 尖部の動脈瘤以外に目立った所見は 冠動脈疾患(CAD)に対する薬物療 ける物理的な隔壁が、幾何学的な線 認められませんでした。今回、冠 法と肺癌に対する化学療法を継続。 量効率を下げる原因となっていま 動脈とステントの開存性を評価する 短期間の臨床フォローアップが勧め す。一方、PCD-CTでは、電界を用 ため、改めて冠動脈CTアンギオグラ られました。 フィー(CCTA)が実施されました。 いてより小さなサブピクセルを定 義し、それぞれを個別に読み出すこ プロスペクティブECGトリガー法に よるシーケンシャルCCTAが、デュア コメント とで空間分解能が向上します。最近 の研究では、このモードを用いるこ ルソースのフォトンカウンティング 冠動脈ステントの開存性を評価する 検出器(PCD)CTであるNAEOTOM とで、冠動脈ステントの開存性評 CCTAにおいて、従来型CTでは、ス Alpha®にて、超高分解能(UHR) 価において、侵襲的アンギオグラ テントストラットによって生じる フィーを基準とした場合の陰性予 モードにより実施されました。 ブルーミングアーチファクトが課 測値100%が達成されました[4]。ま 題となっています。米国心臓協会 た、HRPの性状を同定する上でも、 診断 (AHA)のガイドラインでは、指針 UHRモードで得られる高い空間分解 に沿った管理と治療にもかかわらず 能と、デュアルソースの原理による CCTA画像から、LADに2本の連結ステ 症状の変化がみられる患者に対して ントが認められ、いずれも開存して 66 msという優れた時間分解能が大 は、ステント径3 mmが評価可能な きく貢献します[5]。石灰化プラーク いる様子がはっきりと確認されまし 下限とされています[1]。将来的な急 やステントストラットが引き起こす た。ステント近位部には非石灰化プ ラークがみられ、軽度の狭窄(50% 性冠動脈症候群(ACS)や病変特異 ブルーミングアーチファクトを、こ 未満)が生じていました。さらに、 的虚血のリスク上昇と関連するHRP の技術の組み合わせによって効果的 は、CAD-RADSの推奨においてモディ に抑えることができます。 Cx中間部およびRCA中間部におい ファイアとして組み込まれており、 て、スポット石灰化および陽性リモ HRPの同定は、たとえ病変が非閉塞 本症例では、UHRモードを用いるこ デリングという高リスクプラーク (HRP)の性状を有する混合プラーク 性であっても、より積極的な予防的 とで、ステントの開存性が評価さ 治療の必要性を示唆するものとされ れ、HRPが医師によって適切に同定 が2か所認められ、やはり軽度の狭窄 ています[2]。主要心血管有害事象 されました。以後の侵襲的冠動脈ア を引き起こしていました。RCAにある 高リスクプラーク(HRP)の遠位部に (MACE)を引き起こす原因プラーク ンギオグラフィーが不要と判断され の半数は、以前には50%未満の狭窄 は、非石灰化プラークが2か所認めら たことで、本患者はそれに伴う費用 やリスクを回避できました。 20 フォトンカウンティングCT症例報告 1 LADの曲線MPR画像を比較したもの。ステ 1a 1b 1c ントの開存状態と、ステントの近位に存在 し軽度の狭窄を生じている非石灰化プラー ク(矢印)が示されています。図1aは、 PCD-CTで撮影されたアキシャル画像をカー ネルBv72を用いて0.2 mmで再構成したもの で、図1cはその拡大画像です。図1bは、従 来型のEID-CTで撮影されたアキシャル画像 を標準カーネルを用いて0.625 mmで再構成 したものです。 2a 2b 2c 2 Cx中間部に存在するHRP(矢印)の曲線MPR 画像を比較したもの。 図2aは、PCD-CTで撮影されたアキシャル画 像をカーネルBv72を用いて0.2 mmで再構成 したもので、図2cはその拡大画像です。図2b は、従来型のEID-CTで撮影されたアキシャル 画像を標準カーネルを用いて0.625 mmで再 構成したものです。 3a 3b 曲線MPR画像の比較。RCA中間部に存在し 3c 3 軽度の狭窄を生じているHRP(矢印)とそ の遠位にある2つの非石灰化プラーク(点 線矢印)が示されています。図3aは、PCD- CTで撮影されたアキシャル画像をカーネル Bv72を用いて0.2 mmで再構成したもので、 図3cはその拡大画像です。図3bは、従来型 のEID-CTで撮影されたアキシャル画像を標 準カーネルを用いて0.625 mmで再構成した ものです。 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結果 に基づいたものです。「典型的」な医療機関は存在 せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関の規 模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルなど) があることから、他の医療機関でも同じ結果が得ら れるという保証はありません。 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 21 参考文献 4a 4b [1] Gulati M, Levy PD, Mukherjee D, et al.2021 AHA/ACC/ASE/CHEST/SAEM/SCCT/ SCMR Guideline for the Evaluation and Diagnosis of Chest Pain:A Report of the American College of Cardiology/ American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Circulation.American Heart Association; 2021;144(22):e368–e454. doi:10.1161/ CIR.0000000000001029. [2] R.C. Cury, et al.CAD-RADS™ 2.0 – 2022 Coronary Artery Disease – Reporting and Data System:An Expert Consensus Document of the Society of Cardiovascular Computed Tomography (SCCT), the American College of Cardiology (ACC), the American College of Radiology (ACR), and the North America Society of Cardiovascular Imaging (NASCI), J. Cardiovasc.Comput.Tomogr.16 (2022) 536–557. https://doi.org/10.1016/j. jcct.2022.07.002. 4c 4d [3] J. Taron, et al.A review of serial coronary computed tomography angiography (CTA) to assess plaque progression and therapeutic effect of anti-atherosclerotic drugs. Int J Cardiovasc Imaging.2020 December; 36(12):2305–2317. doi:10.1007/s10554-020- 01793-w. [4] Hagar MT, Soschynski M, Saffar R, et al.Ultra- high-resolution photon-counting detector CT in evaluating coronary stent patency:a comparison to invasive coronary angiography. Eur Radiol.2024; doi:10.1007/s00330-023- 10516-3. [5] Mergen V, Eberhard M, Manka R, Euler A, Alkadhi H. First in-human quantitative plaque 4 Cinematic VRT画像。冠動脈の立体的な構造と、心尖部に動脈瘤を伴って拡大した characterization with ultra-high resolution 左心室の様子が描出されています。ステントと石灰化プラークは緑色で強調表示さ coronary photon-counting CT angiography. れています。 Front Cardiovasc Med.2022 Sep 6;9:981012. 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 心臓 DLP 184 mGy*cm スキャンモード UHRモード(Quantum HD ローテーションタイム 0.25秒 Cardiac)、プロスペクティブ ECGトリガー法によるシーケン スライスコリメーション 120 x 0.2 mm シャルモード スライス厚 0.2 mm スキャン長 128.8 mm 再構成間隔 0.2 mm スキャン方向 頭側-足側 再構成カーネル Bv72、QIR 4 スキャン時間 6.9秒 心拍数 51~55 bpm 管電圧 120 kV 造影剤 400 mg/mL Eff. mAs 59 mAs 注入量 51 mL + 41 mL生理食塩水 IQレベル 85 フローレート 4.1 mL/秒 線量調整 CARE Dose4D スタートディレイ ボーラストラッキングで下行 CTDIvol 14.3 mGy 大動脈が100 HUに達した時点 をトリガーとし、7秒後に撮影 を開始 22 フォトンカウンティングCT症例報告 多枝冠動脈アテローム性動脈硬化症 - 有意 な狭窄はあるか? Jan Baxa教授(MD、PhD) Department of imaging methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University (チェコ共和国プルゼニ) 経緯 コメント 安定狭心症が疑われる臨床症状を有 CCTAは、急性冠動脈症候群および 態が描出されました。これにより医 する78歳の糖尿病女性患者が、検 慢性冠動脈症候群に対する第一選 師は、有意狭窄を伴わない冠動脈ア 査のために来院。冠動脈の評価と冠 択の検査(クラスI)として、さま テローム性動脈硬化症について確信 動脈狭窄の除外を目的として、冠動 ざまな循環器学会やガイドライン を持って評価・確認を行うことがで 脈CTアンギオグラフィー(CCTA) で推奨されています[1]。ただし、 き、不要な検査を避けることができ が実施されました。デュアルソー CCTA画像における課題のひとつと ます。 ス型フォトンカウンティング検出器 して、複数の心周期にまたがる撮影 (PCD)CTであるNAEOTOM Alpha® の移行部にステップ状アーチファク を用いて、ECGトリガー法による トが生じることがあり、これが画像 参考文献 シーケンシャルモードが施行されま の診断的解釈を妨げる要因となって [1] Ricardo C. Cury, et al.CAD-RADS™ 2.0 した。 います。この現象は、プロスペク 2022 Coronary Artery Disease - - ティブECGトリガー法によるシーケ Reporting and Data System.An Expert Consensus Document of the Society of 診断 ンシャルスキャンだけでなく、レト ロスペクティブECGゲート法による Cardiovascular Computed Tomography 標準的な再構成で得られたCCTA画像 (SCCT), the American College of スパイラルスキャンでも生じる可能 Cardiology (ACC), the American College of では、左前下行枝(LAD)近位部に 性があります。原因としては、撮影 Radiology (ACR), and the North America 石灰化プラークが認められ、ステッ 中の息止め不良、体動、心拍の乱れ Society of Cardiovascular Imaging プ状アーチファクトが疑われる所見 などが考えられます[2]。TrueStack (NASCI).Journal of Cardiovascular がみられました。 再構成を用いた画像では、ずれの存 Computed Tomography 16 (2022) TrueStack再構成では、画像スタッ 536–557. https://doi.org/10.1016/j. 在が明確に示されますが、曲断面再 jcct.2022.07.002. クのずれが明確に描出されており、 編成(CPR)で解析する場合には、 その原因は患者の息止めが不十分 読影が難しくなることがあります。 [2] L. J. Moser, et al.A Novel Reconstruction であった可能性が高いと考えられま ZeeFreeは新しい再構成技術であり、 Technique to Reduce Stair-Step Artifacts す。ZeeFreeアルゴリズムを用いた 隣接する心周期の撮影データのつな in Sequential Mode Coronary CT 画像再構成により、このずれは補 Angiography.Investigative Radiology; ぎ目に対して非剛体レジストレー Jan. 30, 2024. doi:10.1097/ 正され、軽度狭窄が明瞭に描出さ ションを用いることで、位置ずれの RLI.0000000000001066. れました。LAD中間部に非石灰化プ 補正と低減を実現します。このアル ラークが認められたほか、右冠動脈 ゴリズムは検出器幅に依存せず、プ [3] Thomas Allmendinger, PhD, FSCCT; (RCA)近位部、LAD中間部、回旋 ロスペクティブECGトリガー法によ Giovanni Boemio; Vishal Karpatri, MD. 枝(Cx)近位部には複数の石灰化プ Optimal Cardiac CT imaging with るシーケンシャル撮影とレトロスペ ZeeFree.White paper. siemens- ラークが認められ、いずれも軽度狭 クティブECGゲート法によるスパイ healthineers.com/computed-tomography/ 窄(50%未満)を呈していました。 ラルスキャンのいずれにも適用可能 clinical-imaging-solutions/cardiovascular- CT所見はCAD-RADS 2/P2に分類され です[3]。最近の研究では、ZeeFree imaging. ています。 アルゴリズムの使用により、診断不 能な冠動脈セグメントが有意に減少 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 CCTAの所見を踏まえ、インターベン の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 ション(冠動脈血管形成術)は不要 することが示されました[2]。 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 と判断されました。患者には薬物療 本症例で示したように、標準再構成 の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな 法が推奨されました。 で観察され、TrueStack再構成で確認 ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 されたステップ状アーチファクトに が得られるという保証はありません。 よる位置ずれは、ZeeFree再構成に 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が おいて解消され、意図した通りの形 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 フォトンカウンティングCT症例報告 23 1a H 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 心臓 スキャンモード Quantum スキャン長 126.2 mm スキャン方向 頭側-足側 スキャン時間 1b H 9.2秒 管電圧 90 kV Eff. mAs 155 mAs IQレベル 75 線量調整 CARE Dose4D CTDIvol 21.2 mGy DLP 398 mGy*cm ローテーションタイム 0.25秒 1c H スライスコリメーション 144 x 0.4 mm スライス厚 0.4 mm 再構成間隔 0.2 mm 再構成カーネル Bv60、QIR 4 keVレベル 60 keV 心拍数 61~65 bpm 造影剤 370 mg/mL 2a 2b 注入量 50 mL + 40 mL生理食塩水 フローレート 6 mL/秒 スタートディレイ テストボーラス:上行大動脈 のピーク到達時間から4秒後 1 LAD近位部に認められた石灰化プラークのMPR画像を比較した もの。標準再構成では位置ずれの疑いが視認され(図1a)、 TrueStack再構成では位置ずれとして特定され(図1b)、 ZeeFree再構成では解消されています(図1c)。軽度の狭窄が明 瞭に描出されています(矢印)。 2 標準再構成(図2a)とZeeFree再構成(図2b)による2枚の対応 する曲線MPR画像では、ZeeFree補正後(図2b、矢印)に、石 灰化プラークによって生じたLAD近位部の軽度狭窄が明瞭に描出 されている様子が示されています。LAD中間部には、非石灰化プ ラークも認められます(点線矢印)。 24 フォトンカウンティングCT症例報告 外部VESTサポートを有する冠動脈伏在静脈グ ラフトの重度狭窄 Jan Baxa教授(MD、PhD) Department of imaging methods, University Hospital Pilsen and Medical Faculty of Charles University (チェコ共和国プルゼニ) 経緯 3か月前に3本のグラフトによる冠動 られ、ステント内再狭窄が示唆され 深刻な臨床的影響を及ぼす可能性が 脈バイパス術(CABG)を受けた59 ました。 あるため、開存性の経過観察が重要 歳の男性患者が、非特異的症状を訴 となります。CCTAは非侵襲的で、1 えて来院。5年前に冠動脈ステント 生来の冠動脈を評価した結果、広範 回の造影剤投与と短時間の撮影でグ 留置術を受けており、その後抗凝固 な石灰化が認められました。左冠動 療法が継続されていました。グラフ 脈主幹部(LM)、LAD近位部、回旋 ラフト全体の走行を確実に描出でき ト、吻合部、ステントの開存性を評 枝(Cx)の左辺縁枝には混合プラー ることから、CABG術後の評価にお 価するために、デュアルソース型フ クが認められ、中等度の狭窄(50 いて使用頻度が高まっています。本 ォトンカウンティング検出器CTであ ~69%)が生じていました。D1近位 症例の課題は、VESTデバイスの金属 るNAEOTOM Alpha®を用いて、プロ 部および右冠動脈(RCA)遠位部に高 ストラットによるブルーミングや金 スペクティブECGトリガー法による 度狭窄(70%超)を引き起こす石灰 属アーチファクトの影響を排除して グラフト内腔を描出することにあり シーケンシャルCTスキャンが施行さ 化プラークが認められたほか、RCAの 第1近位辺縁枝(RMA1)、LM、PDA ます。 れました。 には中等度狭窄が認められました。 PCD-CTでは、電子ノイズの影響を 冠動脈系は右冠動脈優位でした。心 受けずに、スペクトル情報を本質的 診断 臓の構造に異常は認められませんで に含むエネルギー分解CTデータが した。 高い空間分解能で得られます[2]。 CCTA画像により、3本の冠動脈バイ CCTAの所見を踏まえ、選択的冠動脈 仮想単色画像(VMI)は、低エネル パスグラフトと3か所の冠動脈吻合 部が確認されました。左鎖骨下動脈 アンギオグラフィーが検討されまし ギーレベル(本症例では55 keV)で たが、患者に特異的な症状がなかっ 再構成・表示することにより、造影 (LSA)近位部を起始とする左内胸動 たため、直ちには施行されませんで 効果を高め、血管内腔の描出性を向 脈(LIMA)グラフトが、左前下行枝 上させることができます。ZeeFree (LAD)遠位部に端側吻合されてい した。 は、隣接する心周期の撮影データ ました。上行大動脈前壁を起始とす のつなぎ目に対して非剛体レジス る2本の右伏在静脈グラフト(SVG) が確認されました。上側のグラフト コメント トレーションを用いた再構成処理 を行う新しい手法で、標準の画像再 は主肺動脈上を走行し、LADの第1 SVGは、冠動脈バイパス術(CABG) 構成プロセスに組み込まれていま 対角枝(D1)に端側吻合されていま において最も一般的に使用されるグ す。これにより、撮影中の息止め不 した。下側のグラフトはVESTデバイ ラフトです。SVG使用における最大 良、体動、心拍の乱れによって生じ スによる外部支持が施されており、 の課題は、動脈グラフトに比べて閉 うる位置ずれの補正と軽減が可能に 後下行枝(PDA)に端側吻合されて 塞率が高い点です。先行研究によ なります[3]。さらに、デュアルソ いました。このSVGの中間部は菲薄 り、SVGの不全は主に内膜肥厚に起 ースCTの原理に基づく66msという 化しているように見えました。遠位 因することが明らかになっており、 高い時間分解能(VMIなどのスペク 部には、重度の狭窄が2か所描出さ この変化は動脈循環の高い圧力に対 トル再構成にも適用される)に加 れました。吻合部は開存していたも する適応反応とされています。SVG え、精度を高めたQuantum Iterative のの、狭くなっていました。LIMAグ に対する外部支持デバイスである Reconstruction(QIR)アルゴリズ ラフトと上側のSVGは、それぞれの VESTは、移植後の拡張を最小限に抑 ム、最適化された画像再構成カーネ 吻合部を含め、いずれも開存してお え、グラフト内の血流パターンとそ ル(Bv56)、空間分解能の向上によ り、狭窄や閉塞を示す所見は認めら れに伴う内膜肥厚の改善を目的とし り、VESTデバイス内のSVGに生じた れませんでした。LAD中間部に留置 た機械的アプローチとして提案され 2か所の重度狭窄が、ブルーミング されたステント内に低吸収域が認め ています[1]。SVGの不全は、患者に やメタルアーチファクトの影響を受 フォトンカウンティングCT症例報告 25 1a HRA 1b 1c 1 Cinematic VRT画像(図1a)および曲面MPR画像(図1b)にお いて、VESTデバイスで支持されたSVGがPDAに吻合されている 様子が示されています。中間部は菲薄化しているように見えま す。重度狭窄(矢印)が遠位部に2か所描出されています。オブ リークMPR画像では、SVGがPDAに吻合されている様子が示され ており、吻合部は開存しているものの、狭くなっています(図 1c、矢印)。 けることなく明瞭に描出されていま 参考文献 す。LIMAグラフト、VESTデバイスが [1] Giovanni Jr.Soletti, et al.The VEST 装着されていないSVG、吻合部、ス External Support for Saphenous Vein テント、さらに生来の冠動脈の評価 Grafts in Coronary Surgery:A Review of も良好に実施されました。 Randomized Clinical Trials. J Cardiovasc Dev Dis.2023 Nov; 10(11):453.Published online 2023 Nov 7. doi:10.3390/jcdd10110453. PMCID:PMC10672571.PMID:37998511. [2] Thomas Flohr, et al.Photon-counting CT review.Physica Medica 79 (2020) 126–136. 本書に記載されているSiemens Healthineersの顧客 の意見は、各顧客固有の設定において得られた結 [3] L. J. Moser, et al.A Novel Reconstruction 果に基づいたものです。「典型的」な医療機関は Technique to Reduce Stair-Step Artifacts 存在せず、数多くの変動要素(例えば、医療機関 in Sequential Mode Coronary CT の規模、症例の構成、ITや自動化の導入のレベルな Angiography.Investigative Radiology.Jan. ど)があることから、他の医療機関でも同じ結果 30, 2024. doi:10.1097/ が得られるという保証はありません。 RLI.0000000000001066. 一部の国では、本書で説明されている製品や機能が 販売されていない場合があります。 今後販売されるかどうかの保証はいたしかねます。 26 フォトンカウンティングCT症例報告 2a 2b 2c 2 Cinematic VRT画 像(図2a)と曲 面MPR画像(図 2bおよび2c)に おいて、LIMAグ ラフトがLAD遠位 部に吻合された部 位(図2aおよび 2b、矢印)およ びSVGがD1に吻 合された部位(図 2aおよび2c、点 線矢印)がいずれ も開存している様 子が描出されてい 3a 3b 3c ます。 3 Cinematic VRT 画像(図3a)、 LADの曲面MPR 画像(図3b)、 Cxの左辺縁枝の 曲面MPR画像 (図3c)には、 いずれも広範な 石灰化が描出さ れています。。 検査プロトコル スキャナ NAEOTOM Alpha スキャン領域 心臓 スライスコリメーション 144 x 0.4 mm スキャンモード Quantumplus スライス厚 0.4 mm スキャン長 204 mm 再構成間隔 0.2 mm スキャン方向 足側 – 頭側 再構成カーネル Bv56、QIR 4 スキャン時間 7.9秒 keVレベル 55 keV 管電圧 140 kV スペクトル再構成 Monoenergetic Plus Eff. mAs 34 mAs 心拍数 60~62 bpm IQレベル 64 線量調整 CARE Dose4D 造影剤 350 mg/mL CTDIvol 13.8 mGy 注入量 60 mL + 50 mL生理食塩水 DLP 332 mGy*cm フローレート 6 mL/秒 ローテーションタイム 0.25秒 スタートディレイ テストボーラスのピークタ イミングから2秒後 フォトンカウンティングCT症例報告 27 Siemens Healthineers Headquarters Siemens Healthineers AG Siemensstr.3 91301 Forchheim ドイツ連邦共和国 電話番号:+49 9191 18-0 siemens-healthineers.com Siemens Healthineers AG発行 / 注文番号 CT-00112-10C1-7600 / Printed in Germany / 15638 1024 / © Siemens Healthineers AG, 2024
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